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デジャブ

結局働いてる母と祖母が、九谷くんと実際会うのはこの日が初となった。

2人は希望者の中でプロフィールの写真に見惚れて決めていたのだ。

「写真よりイケメンじゃない〜っ♪」母は浮き浮きだ。祖母も喜んでるが、何だか不思議そうに九谷を見る。

「あの…どこかで会ったことない?小さい時だと思うんだけど…」祖母は何かを思い出そうとしてる。

「いえ、今日が始めてですが…」九谷が困ってる。

「それどころじゃないよ!この家、とんでもない家なんだよ!

前の持ち主は会社倒産して夜逃げしてるし、その前も前も仕事失敗して没落するのだけでも恐ろしいのに!

建て替えられる前は、首吊り自殺とその遺体と同居してたキチガイ奥様とか…とんでも物件だったよ!

そりゃ、安いはずだよ!」秋良が一気にまくし立てる。

「でも、ウチはこの1年何とも無かったよ?」母は首かしげる。

「そうなんだけど、九谷君が来てから変な事ばかり起きるんだよ!

さっきも2人だけの時、玄関をドンドン叩く人いるからインターホン見ても、誰も居ないんだよ。

この間のマイセンだって私達が居間のソファ居るのに

ダイニングテーブルの上の皿が宙を飛んで床に落ちたんだよ!」秋良が必死に説明するが、母は疑いの目で見る。

祖母は相変わらず九谷君の顔をしげしげと見てる。

「まあさ、実害らしい事もないし、九谷君だけや秋良だけの時は大丈夫なんでしょ?

バイトも始めたし、あまり顔合わさないようにしたら?」母はあまりこういう話は苦手だ。

めちゃくちゃ怖がりなのだ。

だから信じたくない。

九谷と秋良は顔を見合わす。

実際には体験してないとこんな反応なのか?

「でも、なんで今まで何も無かったのに…僕が『男』だからかな?」九谷は自分の胸に手を当てる。

「お願い。九谷君、自分を責めないで。

その最初の旦那さんが首吊り自殺して、奥さんが子供亡くしておかしくなった話、詳しく知ってる人いないかな?

私ね、九谷君が初めてこの家来た日に…九谷君のすぐ後に変な女の人見てるんだ…」秋良が告白した。

「イヤーッ、そういう話、だめなのよ〜!」母が耳をふさぐ。

「多分だよ?女だけの時は何も無いのは、こんな家住むのは、普通はお父さんが会社経営してる家族でしょ?

男性の経営者とか社長とかをすごく憎んでる霊なんだと思うの。

その最初の持ち主はDVを奥さんや子供をしてたらしいのよ。その子供達の不慮の事故ってのも偶然としてオカシイ話だし。

でも昔だから、家庭内の事に口出しできなかったんだと思うの。

…奥さん、もしかしたら偽証をさせられたんじゃないかな?

生活力ない女性だと、我が子を夫にしつけと称して殺されても何も出来ないと思うの。」九谷を見る。

夫に逃げられたお母さんの苦労を見た九谷には理解できるようで大きくうなづく。

「生活力の全てを夫に頼るのは、実は危険なんだよ。

性善説なんか僕は信じない。

男は、いや人間は卑怯で姑息ですぐ立場の弱い人間を虐げて遊ぶ残酷な生き物なんだ!」九谷がそう言った瞬間!

家が揺れる。地震かと思ったが、違う。

誰かが家を故意に揺らしてるような…作為的な揺れだ。

「キャアアアアーーーーッ!!」母と祖母が抱き合って悲鳴を上げる。

「九谷君の話が、霊現象の核心なんだよ!

この家自体にその子供を殺されたのに偽証させられ旦那の言う通り生きるしか無かった無力な母親の無念が取り憑いてるんだよ!きっと!」秋良は九谷の手を握った。

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