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韓流

インターホンを押すといかにも祖母や母が好きそうな韓流イケメンがモニターに映った。

「あの…ホームメイドシッターから参りました、九谷(くたに)と申します。お掃除のご依頼を頂いて参りました。」と慣れない感じで話す。

「はいはい、今開けます〜」バイト君だろうか?秋良と同じくらいの感じがする。

解除のボタンを押すと普通はそのまま映ったままになるはずなのにモニターが真黒になった。

「あれ?故障かな?」と覗き込むと一瞬ザンバラ髪の女が映る。

下を向いてるので顔は分からない。が、おかしいくらい髪が傷み乱れている。何か服装も古臭い毛羽立ったカーディガンにブラウスの女だ。

背景も玄関のはずだがタイル貼りで古臭い…

「 エッ?何!」秋良は思わず後ずさったが、すぐ玄関先の映像に戻った。

『何?今の?見間違い?』ビックリした。

安い屋敷だったので、最初は事故物件を疑ったが、1年住んで全然問題無かったのに…

玄関に行くと品の良い切れ長の端正なイケメンが立っていた。出てきた秋良に驚いている。

「奥様?ですか?」若過ぎて驚いている。

「いえいえ、娘です〜祖母も母も仕事なので、私が説明します。

だいたい掃除は私しかしてませんし!」笑いながらお兄さんを中に招き入れた。

ジャラジャラと瞬間、吹き抜けのシャンデリアが揺れる。

「地震?」秋良が呟くが、何か違う…

靴を脱いだお兄さんもしかめっ面になり止まる。

でも秋良も感じた。今まで、この家に居て感じたことない不穏な気配。

「…僕ちょっと霊感あるんです。なんかこの家に嫌われてる気がする…あっ、バイトなのに!すいません!」九谷が焦る。

「いえいえ、私も変な感じしました。…霊感とかないけど。それに…」モニターの話しをしょうと思ったが止めた。

せっかく掃除から解放されるのだ。

割のいいバイトして推し活資金を作りたい!


「そうなんですかあ〜お母さんとお祖母様がこの豪邸を買われたんですね、スゴい!」ちょっと変わった家なので説明する。

「何を思ったか急に3人家族でこんなデカい家買うもので、本当に、掃除が大変で大学生活もままならないんですよ!

掃除嫌いが、なんでこんな豪邸買うのか…」ここぞとばかりに秋良はグチる。

こんな家は専業主婦の奥様とお手伝いさんがいるような家族が住むものだ。

けっして母子家庭で働きづめの女が買うものじゃない!

まあ、祖母も母も憧れたのだろう。

深窓の奥様に。

しかし、そんな器の女じゃない!

男を差し置いて出しゃばり仕事して結果を出す。

男社会で何度頭を押さえ込まれようともへこたれない。

最終的に旦那は、「お前なら何してでも食っていけるわ!」と出ていってしまうのだ。

男のメンツを粉々にする女達なのだ。

話では曽祖母は戦後の闇市で着物を女達から掻き集め片言英語でアメリカ兵に売りつけて財を金に換えた。無声映画はあっという間に廃れて活弁士は職を失ったのだ。

曽祖母が生計を支えた。

闇市の資金を元手にパーマネント機器をアメリカから個人輸入し、戦後美に飢えた女性達の髪を巻き続けた。

そこで修行してたので祖母も美容室を自分でやろうと思ったらしい。

駆け出し俳優で収入の安定しない旦那を影で支え続けた…はずだったが、なぜか手広く店を広げてしまったようだ。

母もアシスタントで一生終える気だったが、父が浮気したので袂を分かち編集者の勧めもあって自作を投稿したら受賞してしまったらしい。

少年誌なのでペンネームを男性にして骨太な熱血スポ根漫画を描いた。

小さい時から少年漫画ばかり読んでたので、そういう作品の方が描きやすいのだ。

仕事はこの調子だが、心はしっかり乙女なのだ。

歌って踊り愛をささやきファンを全肯定してくれる王子様みたいなアイドルが大好きなのだ。

結婚して子供が出来て、初めて王子様の仮面が剥がれ落ちた男と修羅場を繰り広げる。

そうなると絶対勝ってしまう性分なので、捨て台詞吐かれて男は逃げて行ってしまう…

これを3代続けている。



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