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息づかい

完全な静寂の中で電気系のジーッと言う低周波の音だけが際立って聞こえる。

元来た通路を戻れば良いのだが…

なんとアルバムが横穴よりデカいのだ。昔のアルバムなので表にシルクの布貼りの本格的なものなのだ。

「ど、どうしたら良いの?九谷君、教えてよ〜」返事の無い携帯に話し掛ける。

何だかそばに人が居るような気配がする。

こんな場所に人が潜んでる訳無いんだが…いや、でも

秋良くらい小柄な女性なら…

そう考えた瞬間に背筋が寒くなる。

「もしかしたら…千鶴さんは…」呟いた瞬間に姿は見えないが、隣の区画から人の息づかいが聞こえる気がする。

「ま、まさか…」秋良は後ずさる。隣の横穴から白い手のようなものが…長い髪の毛の頭が…あのザンバラ髪でモニターに映ってた女が這い出てきた!

「ぎゃあああーーーっ!無理!ムリムリムリーーーーッ!」アルバムに差し込んだ光はきっと居間の照明だと思う。上には居間があるはず!

デカいソファがあるが、きっと違う場所だ!

「クソッ!開けよ!開けよ!ぎゃあああ〜っ!

本当にムリなんだよ〜」頭でガンガンと天井を頭突きする。

その間もジリジリと横穴から長い髪のボロボロの女が這い出てくる。頭と肩と寝転んで足で天井を、多分居間の床を下から蹴り上げる。

ガシャアアアーーーーン!!

コタツくらいの大きさの板状の大きなフタが外れて天井が開いた!

立ち上がると!そこは居間の丁度ソファに囲まれたコーヒーテーブルの位置だった。

カーペットとテーブルが飛んで床板が開いたのだ!

とにかく秋良は床下から這い出る。

見えてた女は姿も形もない。アルバムが床下のコンクリの上にむき出しであるだけだ。

「九谷くん!」玄関から通風孔へ出る。

なぜかスーパーの店長がグッタリした九谷君を抱きかかえていた。

「なんで店長が!それより九谷君は?」首に手形がくっきり付いている。

「中に頭だけ引き釣りこまれて首を絞められていたんだ。大丈夫、助けた!

でも、そっちへ霊が戻ってしまったが…どこから出てきたの?」店長が首をひねる。


「なんで、ココに店長がいるんですか?」やっと目覚めた九谷と秋良と店長で居間の秋良が出てきた場所へ戻った。

「俺は副業で霊媒師やってんだよ〜金持ちはゲンを担ぐから実入りが良いんだ。

でも、ココのは俺の範疇(はんちゅう)を越えるほど強くてな、持ち主さんに何とかしてもらおうとね。」秋良に向かって舌を出す。

秋良が店長の首を絞める。

九谷はアルバムを拾いページをめくり涙ぐんでる。

「…母さん…父さん…ただいま」アルバムを抱きしめた。

一緒に泣きそうになったが、秋良には気懸かりがある。

「店長!隣の区画への横穴、覗いて下さいよ!」秋良が店長を突き落とす。

「エッ、やだよ!何でだよ!」店長が拒否る。

「金ならある!」弟さんから貰った札束を見せる。

「クソッ!10万だぞ!いいな!」店長が言いながら渋々横穴を覗く。

「あ〜ッ、強力なはずだわ。ご本人が居るわ〜警察案件だな、コレは。俺じゃないわ!」店長が頭を突っ込んだまま手で秋良に伝えた。

程なく、警察が来て居間のソファを退けて床板を剥がした。

そこにはミイラ化した千鶴さんの遺体があった。

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