絶望の数
親は2人しかいないし、夫は基本1人だし、子供の数もだいたい1〜5人くらいだし。仕事も転職含めて1〜5カ所。
人のデーターなんて似たりよったりだ。
その中で別離が遅い早いかだけなのだ。絶望の数は皆人生トータルするとトントンなのだ。
1人だけ不幸なんて事はあり得ないのだ。
つまり早い人はそれだけ経験値が高い状態で過ごす人生が長くなるだけ。
まず、「私って可哀想」と苦労話する人に引っ掛からない。
『ガンなの?病院行けよ!旦那が浮気暴力?シェルター行けよ!親が…児童相談所行けよ!』
と即答するので、そばに寄り付かなくなる。
まず、『本当にピンチの時に人間は絶対人に弱みなんか見せない!』と知ってる。
自分がまずそうだったから。
この事を体得するのが小中高時代だと言うだけで、同級生とはレベル違いに大人に成長する。
つまり、『どうせ人生のどこかで絶望に出会うなら、早めに体験するのはダメージキツい分ラッキーなのだ。』と。
小さい頃、家がゴタゴタしていた秋良は思う。
本当に家の中が悲惨だと、赤の他人の同級生やその親なんかの嫌がらせやイジメられても屁の河童になる。
好きや大事な人と争う痛みに比べたら、外野なんて先生か警察に訴えれば良いだけだから…
向かいの奥方にお土産を持って行って、事の顛末を話すと愉快そうに笑っていた。そして涙していた。
「奥さんて呼んで千鶴って名前すら知らなかったわ…奥さん同士って意外と下の名前知らないのよ、お互い。
あの旦那も被害者なんだね。長男だと言うだけで甘やかされて特別だと勘違いさせられて…挙げ句の果ては大きな赤ちゃんに育って追い出されて東京に来たんだね〜その弟さんも許してあげなよ。
そうするしか生きる道が無かったんだよ、その人にも。」2人は大きな愛に感動する。
「呪いの家だけど、アンタ達には出会いの家だね。
広い東京の無数の人の中で出会ったんだから。」奥方がニヤニヤと送り出してくれた。
屋敷の前でしっかり手を握り合い、門を開けた。
のっけから開かない!
ロックは外れてるのに錆びついたみたいに開かない!
「子供達連れてきたから、開けて!お願い!」秋良が叫ぶ。玄関の自動灯が点滅して、門が開いた。
秋良は家の中の明かりを付けれるだけ付けた。庭の照明もフルに付ける。
その間に九谷は、店で買ってきた防災グッズのサーチライトに電池を入れて家の裏の通風孔の格子扉をいじり出す。
秋良が通風孔の所へ来ると、すでに扉は外れてた。
「エッ、どうやって?」秋良は驚くが九谷は事も無げに
「押したり引いたりで開くと動物なんかも入るから、だいたいこういう扉は持ち上げるか左右に押すんだよ。
点検口でもあるから入れないと話しにならないからね。」内側に引っ掛ける所があり、格子がそこにハマって閉じられているのだ。
「く〜っ、格子扉を見た段階で分かるんだ。さすが東大!」秋良が悔しがる。
「違う違う!ウチは大学の寮がボロくて、故障しまくりだから。自分達で何でも直して暮らしてるんだよ。
秋良も人生で一度は3万以下の部屋とか暮らしてごらん。
生活力つくから。」と笑われた。




