お骨
「結局言えなかったね〜」温泉から戻ってきた九谷が浴衣で縁台に腰掛けて団扇で扇ぎながらお茶してる秋良に話し掛ける。
そうなのだ。霊と約束したし、子供を探してるはずなので何とか会わせて上げたいのだ。
が、すでに父親と眠っているお骨を貸してくれとは言いづらい。
「やっぱり行方不明だったね。お向かいの奥方が屋敷の周りを彷徨う千鶴さんを見たのが、きっと最後なんだろね。」2人の間に気まずい空気が流れる。
「アルバムはどう?見つからない?」話題を変えて九谷に聞く。
「お祖母さんにもう一回聞いても良いかな?その分担した部屋で見つけたのかどうか?」やはり見つからないようだ。
「家具だと、もしかしたら新しい持ち主の好みに合わなければ変えられてしまうと思うんだ。だから、そんな場所では無いと思うんだよね〜」九谷がアゴに指を当ててトントンする。
「それより調べて欲しいと言われた住宅基礎、あの家の調べたよ。鉄筋コンクリート住宅はベタ基礎が普通なんだけど、
あそこは布基礎っと言って柱だけ鉄筋入りコンクリで土の上に建てられてる。」九谷が説明する。
「でもキッチンの床下収納の下はちゃんとコンクリだったよ。ベタ基礎なんじゃないの?」秋良が話す。
「いや、布基礎は杭をベタ基礎より深く打ち込んでると言う意味で、ちゃんと虫避けや湿気避けで土に砂利入れて防水シート掛けてコンクリで床を固めてるんだよ。ただ、完全な除湿はベタより弱い。」九谷が説明してくれるが良く分からない。
「じゃ、あの裏の通風孔は床下の湿度を換気するためなのかな?」なんか気味悪くて結局まだちゃんと調べてない。家で2人一緒で動くのが恐くて。
「そう!地震とか考えたら、土に箱が乗っかってるより杭が深く刺さってる方が良いだろ?津波で家がプカ〜と浮いて流れるのはベタ基礎だからだよ。」九谷が説明してくれる。
つまり、ベタ基礎の良い所と布基礎の杭の深さの良いとこ取りしたのが我が家らしい。
「うん、ちゃんと高さを取ってシロアリや湿気から床を守ってるんだよ。」九谷が話す。
「う〜ん、つまり高床式?」言われればキッチンの床下収納もめちゃくちゃ深かった気がする。
「そう言えば、前にランドリーの床下に潜り込んんでたよね?」秋良が聞く。
「やっぱり〜そこから見てたんだね。探したかったけど、基礎で部屋ごと区切られてるからランドリーの床下しか見れなかった。」九谷が首を振る。
「他の区画には移動できないの?」秋良が何気なく聞く。
「いや、横穴はあるんだよ一箇所ね。ただ水回りが集中してる辺りはその横穴に管がハメられてるから移動出来ないんだよ。
もしかしたら、居間とか広い区画まで横穴から抜けられたら…」九谷が近寄ってくる。
「僕は身体が大き過ぎるんだよ。お祖母ちゃんやウチの母ならその横穴に入れるかもしれないんだ。
…秋良もね。」九谷がニコッと微笑む。
「もしかして…アルバムが居間の床下にあると思っているの?」秋良が聞く。
「可能性の問題だよ。だいたい、どこからそこへ入れるかも分からないし…その通風孔の扉どうなってた?」九谷が聞く。
「押しても引きても動かなかったよ。あれって外れるのかな?」秋良が説明する。
「やっぱり…2人でチャレンジするか…外なら、もしかしたらポルターガイスト現象もヒドくないかも?」
2人とも自信が持てなくて首をひねる。




