不審者
スーパーの店長から好物を聞いたので手土産を置いておいとましょうとした時、奥方が気になってる事があるようで話してきた。
「あのね…更地になって新しいお家が建った後、奥さんに会ったのよ!」奥方が口に手を当てながら話す。
きっと気になってたが、誰にも話してなかったのだろう。
「夕暮れ時にフラフラと、まだ新しい持ち主も引っ越してきてない頃だと思うの。
それこそザンバラ髪で、もう絶対正気じゃない感じで。
だから2階の窓から見てるしか無かったんだけど…」胸の前で手を強く握りながら話す。
「新しい家の中?庭をずっと子供の名前呼びながら歩き回っていたの?探してるんだな…と思って、もう可哀想で警察に知らせなかったの。」奥方の秘密だったのだろう。
「それで、どうなったんですか?」秋良が聞く。
「そのうち、夜も更けて真っ暗になって声も聴こえなくなったわ。多分帰ったと思うんだけど…」
お宅を出ると本当に夕暮れになっていた。
九谷はまだ少し泣き顔だ。秋良が背中をさする。
「ごめん、お子さんの気持ちやお母さんの気持ちが自分と重なって…」声が震えてる。
「きっと自分が寒い助けて!と騒ぐとお母さんがまたお父さんに殴られるから我慢してたんだろね。上の子。
分かるよ。自分が殴られるよりお母さんが叩かれてるの見る方が心が痛いんだよね。」秋良が九谷の頭を撫でた。
九谷が静かに泣いていた。
九谷と別れ1人自宅に戻った。
まだ母や祖母が帰るまでに時間がある。
そのお母さんのつもりで庭を歩き回ってみる。
もう引っ越す前に雑草とか面倒なので、母がコンクリで固めてしまった。居間の窓のある部分だけウッドデッキを6畳ほど設けてある。
秋良の家は木造ではない。鉄筋コンクリートだ。だから、家屋の下へ潜り込むのは無理だ…と思ってたが、鉄格子の通風口が一箇所、家の裏側にあった!
「エッ、鉄筋コンクリートだよね…」こんな重厚な造りでレンガ貼りだ。木造だったら上が保たない!
キッチンの床下収納のを外した事がある。
が、床はコンクリだった。それまでの一戸建てが、床下収納外すと土だったから、この建物は鉄筋コンクリート造りなんだなあ〜と納得してた。
鉄格子は頑丈で秋良が揺すってもビクともしない。
「…だよね…そんな訳…」変な妄想が浮かんだが自ら払拭する。
もう暗い。明るい昼間にまた九谷と探ろう。
薄暗い…玄関の自動灯のみの明かりの中でのぞく。
少し風を感じる。後は湿気…カビくさいような…
「いやいやいや…」顔をブルブルして秋良は家に入った。




