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過去

駅前スーパーのバイト先で店長を脅す。

「どうしてくれるの?昨夜はポルターガイスト現象まで起きちゃって!母や祖母まで怖がって泣き出しちゃったわよ!」店長はウッカリ話しただけで、何も悪くないが罪を擦り付ける。

「えーーッ、それ俺関係なくない?」店長は若い女の子雇ったつもりだったが、妙に太々しい子だった。

いつの間にか、店長にもタメ口を聞いている。

「…昔の建て替える前の噂知ってる奥方?このスーパーの顧客でしょ?教えなさいよ。

人の家の事、そんな陰口叩いて!根も葉も無かったら訴えてやるから!」店長は若い女の子を雇ったつもりだったが、ヤクザみたいなヤツを雇ったと後悔する。

女系家族の女はヤバいのだ。


九谷を連れて、その奥方の家のチャイムを押した。

なんと斜め向かいのお屋敷だった。年季が入った日本家屋で秋良の家よりよっぽど幽霊出そうな家だ。

木が鬱蒼として昼でも暗い。

「誰だい?」どうせお手伝いさんが出るだろうと思ったが、まさかのご年配の女性の声だ。

耳が遠いだろうに、ちゃんとインターホンの声を聞き取れている。

「向かいの家のものです。ご挨拶が遅れました。」と1年が過ぎて言う。

「ふん、そんな気無いだろうに!

どうせすぐ出ていくと思ったから要らないけどね!」矍鑠(かくしゃく)とした女性だ。

扉が開錠された。「いいよ。昨夜悲鳴も聞こえたしね。聞きたいんだろ?」口は悪いが親切だった。

「おやっ、アンタの顔は見慣れた気がする…」老婦人は九谷の顔をジッと見る。

「コロナ前に住んでた九谷です。ご無沙汰してます。」丁寧に頭を下げた。

「ああ〜っ、心配してたんだよ〜お母さん、良い人だったのに!

お料理を作りすぎたからと年寄りの一人暮らしを(おもんばか)って、良く煮物とか届けてくれて!」九谷の手を握り泣き出した。

「お元気かい?」微笑みながら聞く顔に残酷な結末を話すとその場に座り込んでしまった。

「実の娘なんかより、あの()こそ幸せでいて欲しかったのに…そんなあ…」奥方のお子さんはもう何年も実家に近寄りすらしないけど、向かいの九谷さんの綺麗な奥さんは察してオカズを届けたり果物もちゃんとカットして届けてくれたり、一人暮らしの奥方を足繁く見守ってくれていたそうだ。

「九谷君は線の細い子だったのに逞しくなって…」と言いながらまた、泣く。

「親が亡くなってからは施設で揉まれて、今は大学の寮で揉まれて逞しく育ってますよ。

天国の母に心配かけたくないですからね。」と優しく奥方の背中をなでた。

本当に素敵な人だったんだなあ〜と秋良まで貰い泣きしそうに。

だが、ココは心を鬼にして聞かなくてはならない!

「すみません!あの土地に昭和に住んでた家族の話を聞かせてもらえませんか?

私、玄関でザンバラ髪に毛玉カーディガンとブラウスの女の人見たんです!」秋良が思い切って話す。

「あ〜っ、アレは本当にヒドかったよ。

いつもビクビクしててろくに会話してくれなくて…

そうよ!ここらは鉄道会社が大学と高級住宅街をセットにして開発してて大きなお家しかない地帯なのにあの家の奥さん、旦那はベンツなのにいつも粗末な服しか着てなくて!それも10年くらい結婚前からの服を自分でつぎはぎして修理したものしか着てなくて…可哀想だったの!」古い記憶が徐々に戻ってきたようだ。

奥方は堰を切ったように話した。

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