表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/3

1話 まず自己紹介します。

桃太郎は「きびだんご」でイヌ、サル、キジをお供にしたという話。

私はそんな話絶対ないと思う。

「きびだんご」だけでお供になるなんて絶対ない。

ない。ない。ない………と思ってた。

「今日はどこに行くんスか?」

「またそんな服着て。もっとキラッキラの服着なよ。まだ21でしょ?」

「ちょいとは静かにしろや!やかましい。」

えーここにおられますが。

私とは真逆のホスト、キャバ嬢、そしてヤクザです。もうこの時点でカオスです。

「今日は買い物だけだからこの服装でいいの。」

そして私はただの一般女子(21)です。

右手に買い物メモと左手にエコバックを装備して今まさにスーパーに向かうところです。

「何作ンスか?」

「チャーハン。」

「うっわ。ふっつー。てか栄養偏り過ぎ。」

ホストとキャバ嬢の間に挟まると自分の容姿に自信なくすな~。

チャーハン美味しいし、いいじゃん別に。

「じゃあ、鍋にすっか?今の時期ならちゃんこ鍋はどうよ。」

どうよじゃないですよ。ヤクザさん。

まさかの大人数でしか目にしない上、私には一生縁がないはずだった『鍋』。

そんなこと言ったら。

「あ!おじ様ナイスアイデア!じゃあ今夜は酒持って飲み明かすわよー」

「姉さん。男っ前ぇ~!とゆうわけでこの買い物メモはポイっすね!」

ホストが装備の買い物メモをポイする。

ほらみてみ。食いついた。

今夜の私のひっそりの晩御飯の予定はホストとキャバ嬢とヤクザの謎の鍋パーティーに変わったのだった。

「最悪。どうしてこうなったんだろう。」

----------------

私の都合で鍋パーティーの中継です。

ついでに自己紹介しようと思います。

私は佐々木千代(21)。

片耳難聴【左】女子です。

一応仕事してましたが

連れじゃなく自分がうつになりまして今は休養中の身であります。

「見て見て千代!これ今日のお客さんがくれたのよ。有名ブランドバック。可愛くない?」

このブランドバックを見せびらかす金髪美女は

明智光希(26)職業はさっきも言ったキャバ嬢。

見たまんま派手です。普通の私とは比べもんにならんぐらい。まつ毛とネイルなんてもうすんごいんです。あと胸も…

「ちなみにいくら?」

「えっと。96万?」

え、今なんと?96万のバック?

私の、安売りの2000円のバックですけど?

「俺はね今日はシャンパンタワー3つも立てちゃった。」

「ちなみにいくら?」

「んー1000万?」

光希より上?さらに上があると!?

あ、涙出てきた。私の給料砂同然。今給料ないけど。

「どったのちよりん?あ!もしかして!俺の勇姿に泣いちゃった系?」

「断じて違う!」

この…チャラチャラしてる金髪美男子が春宮尚(23)

シャンパンタワーでもう分かる。ホストです。

しかもNO.1です。そのNO.1が今コタツに入ってぐーたら寝っ転がってます。

客がこの姿を見たら発狂するな。

「ガキども。ちょっと道開けろや。渡れんだろが」

「あ、すんません。」

「全く。ほれもう食べ頃だ。」

この言葉が荒っぽくサングラスが良く似合うのが桜田宗二(54)。

鍋とか用意してくれて具材も用意してくれたこのお方。実言うとヤクザの組長です。マジで。

「ありがとうございます。桜田さん」

「ありがとう。おじ様。」

「おうよ。やけどにきぃつけろよ。」

桜田さんはヤクザ顔だがそこまで怖い人でも無いのだ。ただし…例外もあり。

「あざっす!おっさん!」

バシッと大きな音がした。

お分かりいただけただろうか。

そう、ヤクザのパンチをホストが顔面でくらっています。想像出来ない絵面です。

「誰がおっさんだ!

てめぇは、礼儀ってのを覚えろ!」

それな。いつもの事だけど。

「痛って….一応俺ホスト!顔は商売道具なんですけど!?」

「尚チョーうける!アハハハハ!」

「そう言う姉さんだって『おじ様』スよ。

意味一緒じゃん!」

確かに。私は怖いし分かんないから苗字で呼んでるけど。

「光希は『様』が付いてんだよ。

テメェは『おっさん』。全然ちげぇよ。」

「ふふっ。そゆこと。残念でしたー」

なるへそ。結構細かいこと気にするんだ桜田さん。

「細けーの。じゃあ、『旦那』だったらいい?」

「おっさんよりマシだな。採用」

「ヨッシャ!」

「ほれ、冷めねぇ内に食え食え。」

鍋を覗けば具沢山。栄養満点花まるなこの鍋何度も言うようですが作ったのヤクザの組長です。でも美味しそう。いい匂い。

「千代も早く食わねーとチャラいのに取られちまうぞ。」

「あ、は-い。いただきまーす。」

そして私達はひとつの鍋をつつきあったのだった。

こんな三人と私、なんの関係がないと思うでしょう。そうでしょう。私もそう思っていました。

でも出会ってしまった。何故なら私は与えてしまったのだ。恐怖の物体「きびだんご」を。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ