表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/17

11話

 僕は大きめのクッカーをアイテムボックスから取り出し、魔法で水を入れて焚き火にかけた。クッカーに入れた水が沸くのを待ちながら、レンチンご飯の蓋を開け中のご飯をポリ袋に入れる。


「白い粒々?」


「これはお米って言って、今からお湯で温めて、残したカップラーメンの汁に入れて食べます!」


「残りの汁に入れる? また新しい食べ物ですね」


 猫の瞳が輝く。その姿を見ながら、今覚えた鑑定をその猫に使った。


 ――え、なにこれ?


 僕は猫のステータス画面に絶句。それは、鑑定魔法で鑑定した猫のステータスに「魔女にクビになった使い魔」と書かれていて、猫の名前が乱暴に消されていた。


 それよりも僕を驚かせたのは……使い魔の消滅まであと一時間だと書いてある。猫のステータスは真っ黒なのは、この猫が使い魔だからと推測した。


(猫が、あと一時間で消滅⁉︎)


 僕はすかさず、神様にどうしてか、わけ聞いた。

 帰ってきた神様の答えは「使い魔は呼ばれ、名前をもらいご主人様に仕えます。しかし、ご主人様からいただいた名前を取り上げられると、用無しとなり消えます」


 ――消える?


《はい、存在価値無しとなりますので》


 ――じゃあ、この猫は自分が存在価値なしで、ここから消えることを知っている?


《おそらく、ご主人様と契約をするときに伝えられています。あと一時間の間に新たなご主人様を見つけ、名前をもらえれば消えることはありませんが、彼らにとってご主人様は、はじめての方であって、その唯一のご主人様に名前を取られ、捨てられてしまえばそれまでです》


 ――使い魔にとってご主人様は大切な人。名前を取られて、捨てられてもそれは変わらない。……そっか、教えてくれてありがとう。


 猫は名前を取られた時点で、全て受け入れているのだろう。まだ過ごした時間は少ないけど、僕はなんでもいいから、猫に消えて欲しくないと思う。


「クッカーのお湯が沸いたね。ご飯入れた、ポリ袋を入れてあっため……るんだ」


「たのしみです。……ああ、そうですか。その表情、あなたは俺っちのステータス画面を見たんですね。使い魔として使いものにならず、捨てられてしまいました」


 そう言って、猫は悲しそうに笑った。


「ねぇ、猫は消えてもいいの?」


「え? 俺っちの消滅時間まで見えたのですか? これはすごい、あなたな魔力はご主人様より上なんですね」


 オール♾️(無限大)だから、上だと思う。

 猫は僕をチラチラ見ながら


「えっと再解約をする場合は、俺っちに新しく名前をつけていただければ完了です」


 と教えてくれる。


「君に名前を付ければ、再契約の完了?」


「はい。普通なら使い魔を呼んだご主人様より、魔力が上の方はいません。使い魔を呼べるのは、多くの魔力量を持つ者だけです。この国に魔女より多くの魔力を持つものは、ほかに魔族しかいないでしょう」


 ――魔力の多いものが魔女、魔族しかいない?


 あ? ああ、思い出した。あのとき、神様は勇者を召喚すると言っていた。猫が言った、魔力が多い魔族というのは魔王だったりして……その猫が言う通りなら、魔王よりも僕の魔力はそれ以上⁉︎


 神様が選び、国の魔法使いか召喚した勇者が、僕より魔力が低かったら?

 

 おいおいおい、ばれたら面倒ごとに巻き込めれやぁ、しないかい。僕の額から変な汗が垂れ流れた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ