45 豆腐
前世日本では「畑の肉」とも呼ばれていた大豆、そのタンパク質は豊富で、さらに植物の中で最もと言っていいくらいビタミンB群が多く含まれている。
生の大豆を煮物にすると、まだ茶色味が残り、信仰心の深いエルフ国育ちのイヴァンナさんには受け入れ難いかもしれないが、豆腐に加工してしまえば、栄養素を保てたまま、ご飯よりも真っ白な食べ物に変身できる。
水に浸けた大豆をきめ細やかに潰し、海水から作ったにがりを加え、型に詰めてから重石をして数十分放置すれば、豆腐の完成!
「おおおお!なんという真っ白な食べ物だ!」
アドルフさんは初めて見る豆腐の感動して、くるくると豆腐を回しながら観察した。
「あの豆からこんな食べ物ができるとは…お嬢さん、これを娘に食べさせれば本当に病気は治るのか?」
「ええ、即効性はないが、毎日食べれば、一週間程度の効果が見られるでしょう」
「まぁ、とっても美味しいですわ!」
早速試食してみたイヴァンナさんに好評のようで、久しぶりに白いご飯と味噌汁以外の食べ物を口にしたからか、あっという間にぺろりと平らげた。
「しかしながらお嬢さんは医学に詳しいの…どこでこんなことを勉強したんだ?」
ぎくっ、そう言えば私は今リリアーヌではなくて、子爵令嬢のリリーとしてエルフ島にきているのだった。
「えーっと…」
「リリーはセレスタンの王立カレッジで、デイビッド準男爵に師事していましたので」
私があたふたしていた所、ルイ殿下が助け舟を出してくれた。
「ああ!あの有名なデイビッド準男爵の教え子だったのか!」
「まぁ!すごいことですわ!」
ルイ殿下がデイビッドの名前を出した瞬間、アドルフさんもイヴァンナさんもパッと顔色が明るくなった。
「いやー、通りでこんな最先端な知識に詳しいわけだ、デイビッド準男爵と天才令嬢リリアーヌ様の話は、エルフ国でも有名なんでね」
突然自分の名前が出されて、思わず体がびくっとした。
「そうですわ、抗生物質や解熱鎮静剤は今やエルフ国の民間薬局にも常備しているほど、素晴らしい効果のある薬ですわ、あのデイビッド準男爵の教え子さんのいうことなら、間違いありません」
どうやら、抗生物質と解熱鎮静剤の輸出と同時に、デイビッドと私の研究話も一緒にエルフ島に伝わったようだ。
目の前で絶賛されて、なんだかとても恥ずかしい…
「そうだお嬢さん、この食べ物はなんという名前なんだ?」
そう言えば、豆腐はまだこの世界にとって初めての食品で、名前がついていなかった。
「豆から作った柔らかい食べ物なので、書物には「豆腐」と名付けられていました」
「なるほど!早速、料理人の友人にも広めて、他の妊婦さんにも食べさせてみよ!あのデイビッド準男爵の教え子が作ったレシピと知れば、みんなこぞっと食べてくれるさ」
イヴァンナさんだけでなく、他の妊婦さんにも豆腐を広めようと息巻くアドルフさん、せっかくだから、イヴァンナさん以外にも脚気に苦しむ妊婦さんがいれば、ぜひ豆腐を食べて症状を改善してほしいと思ったが、これは後に大事件に発展するとはつゆほども思わなかった。
キリが悪くて今日の更新は短めです。(人д`o)ゴメンネ




