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初めまして、夏野リジーです!

令嬢ものとファンタジーものが大好きな妄想オタクです!

同じ趣味をお持ちの方はぜひ楽しんで読んでいってください〜

冬の最中、1年で最も雪が積もる日のことだった。

入退院を繰り返す弟のヒリトが、もう話すことも難しくなり、医師から今年の冬を超えることはないだろうと告げられた。


「僕、姉さんの弟に生まれて本当に幸せだった」

「両親が居なくても、こんな病気にかかっても、僕はこの人生で良かったと思う」

「来世があれば、また姉さんの弟に居させてください、今度は僕がお姉さんを幸せにするよ」

そう言って、リヒトは微笑みながら静かに目を閉じた。

「ひくっ…馬鹿ね…リヒトが居てくれたから、姉さんもう幸せだったよ……っ…ヒリトっ…」

目の前が涙でボヤけているのに、弟の最後の笑みだけははっきりと脳の奥に焼き付けられた。

なぜリヒトだろう…こんなに優しくて姉思いで、ゲームが好きで、勉強が嫌いで、ただただ普通な男の子なのに…

なぜ…神様は私のたった1人の弟まで奪ってしまうのだろう…


--------


私とリヒトはずっと2人きりだった。両親を早くに亡くし、施設で育った。

幸い施設の先生たちはとても優しく、両親が残してくれた遺産もあり、私たちは特に不自由なく成長した。

しかし弟のリヒトが中学生に上がった春の日、突如として私たちの生活は一変した。

リヒトは今の時代ではまだ治癒するのが難しい病気にかかり、闘病のため1年のほとんどを病院で過ごすようになった。

私は可能な限りリヒトの通院に付き添い、さらにリヒトの病気を治そうと、医学部に進学した。


「姉さんが絶対病気を治す方法見つけるから、ヒリトも頑張って、絶対2人で幸せになろう」

「うん、僕、姉さんの旦那に「うちの姉さんは渡さん!」って言うのが夢だから(笑)」

「そんな元気があったら勉強でもしなさい」

「えー、僕姉さんみたいに頭良くないからー」

そんなたわいない話を2人で良くしていたものだ…


後のことは正直あまり覚えていない。

リヒトを亡くしてから私は茫然自失となり、葬式などほとんど何も覚えていなかった。

そんな生ける屍状態な私だったが、トラック事故に巻き込まれ、リヒトのあとを追うかのように、同じ年の春に亡くなった。


あ…神様…もし本当に来世というものがあるなら、どうかもう一度私にチャンスをください

たった一人、最愛の弟を健やかに育て、2人で幸せな未来を掴めるチャンスを…


遠のく意識の中、リヒトの最後の笑顔を思い浮かべ、私は神様に一世一代のお願いを捧げたのだ。

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