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ばけもの子供の物語

ばけもの子供の物語 迷

作者: リィズ・ブランディシュカ
掲載日:2022/06/28





 世界のどこかに、要らない子供をすてる迷路があるんだよ。


 そこに捨てられた子供達は、さんざん彷徨った後で、ばけものに食べられちゃうんだって。





 そんな噂を聞いた事がある私は、すぐにその迷路に捨てられている事に気が付いた。


 ああ、私って大人達にとっては要らない人間だったんだな。


 すぐに事の次第を理解した。


 現場を見ていなくたって、どんな事を言って、どんな風に私を捨てたのか、すぐに分かった。


 食いぶちを減らすために、仕方なく。


 なんてきっとそうじゃない。


 愛情はあるけど、生活がまわらないから泣く泣く。


 なんて事でもない。


 ただ、要らなかったんだろうな。


 私は人と違って、髪の色が真っ白。


 とても目立つ存在だから。


 今は誰かにイジメられたりしていないけれど、将来もそうなるとは思えない。


 だから、きっとそれが理由で捨てられたのだろう。







 私は森の中を歩いていく。


 できそこないの、裁縫の失敗作みたいな、つぎはぎされたヘンな木の間を、縫う様にして。


 その木々はたまにケタケタ笑い出すけれど、怖いという感情はわかなかった。


「かわいそうに、かわいそうに」


 どこからか哀れむ声がする。


「もうすぐ死ぬよあの子。もうすぐだ、もうすぐだ」


 どこが嗜虐心に満ちた声が聞こえてくる。


 けれど、その声のどれにも、感情は動かなかった。


 やがて、ひときわ大きな木の前にたどり着いた。


 そこには、長い髪の男の子が眠っている。


 私と同じヘンな色の髪をしていた。


 紫色だ。


 私が近づいたら、その男の子が目をぱちりとあけて、髪の毛をざわざわ動かした。


 紫色の髪の毛が蛇に変身していく。


 けれど、私の髪の毛を見て、「あっ」と声をもらした。


 蛇だった髪の毛はすぐに元に戻ってしまった。


 男の子は安堵した様子で、「なんだ仲間かぁ」と屈託なく笑った。


 私は何がおかしいのか分からないけれど、なぜか「あはは」と笑ってしまった。


 男の子は「ようこそ」と、笑いかけてきた。


「ここは要らない子供達が捨てられる迷路の森だよ。普通なら食べちゃったり殺したりしちゃうところだけど、仲間は殺せない。歓迎するよ」


 私はどうやら仲間と認められたらしい。


 心が少しだけ動いた。


 普通なら不気味がるところなのに、ぜんぜんそんな気持ちにはならない。


 ああ、ここにいればも捨てられる事はないんだな。


 そう思ったからだろうか。


 私の髪の白蛇が、私の感情を表すように、ざわっとうねった。



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