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異世界温泉狂旅日記  作者: 高岡トナミ
10/14

俺の知っている温泉、じゃない?

 入れる温度になるまで俺は大人しく待つことにした。爺さんは水質検査をするらしい。



「どんなことをするんです?」



 温泉、あるいは銭湯。風呂場を預かる裏方の仕事だ。ちょっと気になる。日本では、レジオネラや大腸菌など健康を脅かす雑菌が繁殖していないか見たりする。


 それだけじゃなく細かい数値もいくつかあるのだが、この世界でも似たような検査があるのだろうか。



「これを使う。イルも見ていなさい」



 そう言ってヴァルス湯父は、缶コーヒー程の大きさのフタつきの瓶と、それぞれに色が違う小さな宝石を3つ取り出した。


 俺は少し離れて、イルはかなり間近に寄って見ている。アーは暇そうにしている。あの宝石も、イルの杖や湯父のネックレスと同じで魔法つき、いわゆるマジックアイテム的なものだろうか。



「まず瓶に水を入れる。次に、湯霊石を入れる。今回はユモリーン泉に対してなので、水霊石」



 水色の宝石が瓶に入れられ、そのまま泉の水が掬われる。今はお湯、というか熱湯。湯気がかなり、ほかほかとしているが熱くないのか。


 日々の仕事の賜物だろうか。どうでもいいところで俺は感心してしまった。


 軽く瓶を揺らしながらヴァルス湯父の説明が開始された。



「湯霊石は、我々が魔法の発動媒体として使う以外にも属性を測れるという用途がある。今回はユモリーン泉の泉質が変化していないかを確認しているのだ。もしもユモリーン泉が他の三湯霊の影響を受けている場合、水霊石はその度合いに応じて変色する。クァザ様であれば赤、ティソ様であれば黄色、キイプンセ様であれば緑。それ以外のケースもあるが今回は省こう。また、強すぎる場合――例えば上位級にくくられるような別属性の温泉に対して使うとこの程度の湯霊石では割れてしまうことが多い。勿体ないので絶対にしないように」


 そう言って、イルの方を見る。イルは頷きで返し、孫の様子になんだか満足そうな爺さんがいた。



「結果として変色しない為、泉はユモリーン泉から変化していない」



 なるほど。やはり魔法があるような世界の水質検査は現代日本のそれと随分違うようだ。湯父は瓶のふたを開け、どこからともなく取り出した匙で水霊石を掬い取った。


 良かった。何事もなく素手でつかみ取ったりしたらかなりの衝撃を受けるところだ。



「次に、その下位、中位、上位。魔力から温泉の強さを測る吸魔晶。今現在は透き通っているが、1分ほどつけておくと光を持ち始める」


「光の強さで分かるのか?」


「簡易的だがね。第一位、第九位というほどまでは分からないが、まあ上位などめったにお目にかかれん。見たいのなら、四名泉にでも行けば間違いなく見られるよ」



 気になる単語が出てきたぞ。



「四名泉?」


「おいおいモグリかね。ユモリーン様を始めとする四大湯霊の聖地だぞ? 知らんのか?」



 確かにモグリだ。自分の夢に没入しているのも、モグリと呼べるのならば。



「イル、言ってみなさい」


「え? いいけど。ユモリーン様の聖地ギゲロロフ温泉でしょ、クァザ様の聖地マリアヒオゴ温泉でしょ」



 あれか。フロマエで聞いた泉質の話でいうなら、四大湯霊それぞれ第一位の温泉が聖地となっている感じか。


 扇風機様、もといキイプンセ様のようなふざけたネーミングセンスは聞いている限り入ってない。良かった。



「ティソ様のグンマーサック温泉」



 良くなかったわ。頼むよティソ様。そういうのはセンプウキ様の受け持ちだと思ってたよ。


 グンマーの破壊力凄いな。一発で引き戻された。グンマー、サック、グンマ、クツサ……群馬の草津。日本三名泉。俺はもう臭くはない。


 江戸時代、あるいはもっと昔から温泉の代名詞とされるいわずとしれた聖地だな、うん。入れ替えただけじゃねえか。


 ちょっと待て。この法則だと他のも怪しいぞ……いや、もう間違いないわ。


 ギゲロロフ、ギ下呂ろフ、岐阜県の下呂。


 マリアヒオゴ、アリマヒォゴ、有馬の兵庫。俺のネーミングセンスひどすぎない? 夢でよかった。良くない。


 三名泉使い切ってるじゃねえか。扇風機様はどこになるんだよ。炭酸泉系だったか? 有名どころどこなんだ?



「キイプンセ様のオイター温泉郷」



 なんでお前だけ大分全部なんだ。ずるいぞ。確かに温泉県アピールで有名だけどせめて別府だけに絞れよ。


 なんなら他の3人、いや3柱? 他のみんなが温泉郷単位じゃなくて温泉単位なんだから鉄輪だけとか、百歩譲って隣の湯布院とかさあ。



「イル、よく覚えてるなお前」


「常識の範囲なんだけど」



 アー君は若干頭の出来が残念なのかもしれない。根はいい子なんだ。強く生きていけるだろう。



「アズライトスもユマルもよく覚えておくように」



 俺も頭の出来が残念な扱いになっている。アー君と違って性根が曲がりつつある大人なので救いもない。ほそぼそと生きていきたい。



「さて、そろそろ良かろう……うむ、中位程の光だな。魔力量も変わってナシ!」



 そうらしい。瓶の中に入った無色の宝石は青い光を放っている。割と強くは見えるが、暗闇だと心もとない程度だ。


 上位級になるとどんな光になるのだろう。懐中電灯くらいだろうか、街灯だろうか。



「では最後に、全滅石」


「全滅石」



 急に物騒な名前のが出てきた。何を全滅させるのだ。俺たちか。


 俺が思わずつぶやいてしまった復唱で過ちに気付いたヴァルス湯父が、吸魔晶を取り出し、代わりに全滅石らしい、白い石を瓶に入れながら気恥ずかしそうに咳払いした。



「もとい、判定石。または白黒石ともいうがね。この石は実際は砂が固められたもので、一粒一粒に浄化の精霊の力が籠っている」


「そりゃ凄い」



 全滅させるのは悪しき精霊とか、悪さをする菌とかなんだな。現代で言う消毒剤なんだろうか。


 折角の源泉かけ流しの自噴する天然露天温泉に突っ込むのは正直嫌だが、ほんの一時のこと。ここは我慢しなければならないだろう。


 違うな。瓶の中に入れた。そこでアーが声を上げた。



「あ、おれ知ってるわ。浄化の精霊が勝つか、そもそも汚染されてない水なら白い砂。汚染されてて浄化の精霊が負けたら黒い砂に変わるんだろ」



 生存競争の見本のような石だった。全滅するかさせるかの実験かよ。やっぱり物騒じゃねーか。


 ヴァルス湯父に揺らされる瓶の中で解けていく判定石、もとい浄化の精霊たち。たまに黒く変わるのもあるが、黒く変わった粒の周りには白い粒が寄っていってるような気がする。


 最終的には一見する限りには白い砂ばかりが浮遊する結果となった。



「まあその通りだな、結果はこの通り。異常なしだ、良かった良かった」


「あれ? じゃ、昨日も今日も、波もどきはなんなの?」


「なんだろうな……」



 孫娘の問いかけに首を傾げる湯父が居た。説明がつかないようだ。流石に偶然ではあるまい。



「簡易的な水質検査では特に問題なさそうに見えるね。精密な検査であれば何か異常も分かるかもしれないが、今は分からんな」


「精密な検査が行える設備があるんですか?」


「村にはないがね。それこそ、ドワーフやエルフの得意分野だろうに」


「そうなのか」


 そうらしい。俺が素直にそういうものかとこの夢世界における新しい常識を学んでいると、湯父は失敗したという顔をした。俺の記憶が曖昧なことを思い出したようだ。実際は昨日来たばかりでゼロからはじまっている状態だが。



「いや、そうなんだ。まあ、この辺りではクロイドという大きな街にあるフロマエが一番近かろう」


「研究施設まで複合してるのか……」



 フロマエとは一体。現状だと銭湯に付属して休憩所と市役所と病院と公民館と学校と研究所が一緒にあるぞ。


 ここまで来るとフロマエに居住区画も内包した巨大都市フロマエが誕生していて欲しい。コンビニ並みに風呂場があって広場には巨大な源泉が湧きだす噴水が。


 ただの温泉街だな。そういえば各村のほとんどにフロマエがあるということはこの国では、あるいはこの世界全体に存在する村や町はすべてが温泉街ということになるのだろうか。


 日本には3000か所近い温泉地があるそうだが、この夢世界の温泉名人、仙人達は生涯をかけて温泉を回っているのかなあ。俺もそうなろうかな。


 待っていろ、あまねく温泉よ。温泉マスターに、俺はなる。


 決意を新たに少し収まってきた湯気に手をかざしてみる。なんとか入れるかもしれない。



「そろそろ入ってもいいですか?」


「まあ、いいんだがね」「本当に入るんだ……」「倒れても助けねーぞ」



 よし、止めるヤツは誰もいないな! タオル一枚あればいい。入浴できればハッピーだ!




***********




 木々の葉、魔物ではなさそうな普通の虫の様子からすると、春から梅雨の間くらいだろうか。


 まだ空気には湿気を感じず、時折葉を揺らして吹く風が心地よく肌を撫でまたどこか遠くへ向かっていく。


 全身全霊で風を、自然を、なにより天然露天温泉を感じている。全身全霊で。


 ユモリン様の加護は健在だったようで、時間がたつと少しづつだが泉は満ちつつあった。


 ヴァルス湯父は念のため、温泉以外の近辺を調べておきたいということでイルも随伴。特に温泉に興味がないアーもそちらにいった。


 俺も温泉に興味がなければそうしていた。温泉があるので温泉を優先するが。



 かけ湯をしようにも、桶はさすがに持ってきていなかったため今回はそのまま失礼させてもらう。


 しまったな、入浴セットとして桶を忘れないようにしないと。辛うじてタオルは持ってきていたが、まだ俺も意識が足りていない。


 足先をつけて確認すると昨日とは違い、肌に強く当たるほどの熱さ。良い。これだよこれ。長湯はできそうにないが、なんとか入れそうだ。


 ゆっくり熱さに慣らしながらくるぶし、膝、腰と少しづつ入っていく。


 「はぁー……!」


 声にも力が入る。湯はホットでも頭はクールに、まずは腰までの半身浴からだ。


 適当に斜面になっている地点で座る。温泉が湧き出ているというだけで舗装も何もしていない泥の為、若干座り心地が悪い。


 一区画だけでも手を加えても構わないだろうか。後で湯父に聞いてみよう。泥をどう舗装したらいいかなど分からないので木の板を敷く程度のアイデアしか今はないんだけれど。檜ぶろとか欲しいな。檜などあるか分からないし、特に杉や松などと違いも知らないのでナゾノキ風呂でもいいや。


 両手でお湯を掬い、顔を洗う。頭まで湯船につかるのはマナー違反だが、これくらいはいいだろう。よくあってくれ。今日の俺は昨日の俺より人が変わったくらい綺麗なんだ。


 かなり気持ちいい。朝も味わったばかりだが、ほんの数時間温泉から離れたら、いや1時間だけでも同様に気持ちいい。何度でも気持ちいい。



「あー!」



 声だって漏れるわ。しかし、これからもこの夢世界で湯めぐりを続けるなら自分用の湯めぐりセットが必要だ。


 桶、タオル。歯ブラシにカミソリ。石鹸。これで最低限のセット。持ち運ぶのに邪魔にならない小袋。


 それから下着を用意したい。あとは着たり脱いだりしやすくて、出来たら虫の体液とか浴びてもはじいてくれるような服。


 軽くて通気性と防水性を兼ね備えるというのは難しそうだが、ファンタジー設定らしきこのトンチキ夢世界ならきっと見つかるだろう。俺の夢だ、見つかるに決まっている。


 足元も同じく脱ぎやすい靴、靴と言うかサンダルがいいな。アウトドアサンダルみたいなのどこかに売ってないかな。小石とか砂とか入らない形状がいいな。


 今もサンダルだがこれ湯父の借りてるだけだしサイズあってないんだよな。だいたい材質が皮っぽくて食い込んでいたい。


 とにかく色々欲しい。金は持っていないのだが。そもそも仮に財布が見つかったとしてユマルって一体いくら持っているんだ。


 百歩譲ってもお金持ちは思えないのだが、ドワーフの十二神将とかいう要素が背中のモンモンから判明したのでワンチャン、宝箱の中には金貨がザクザクとかいう可能性もある。


 十六氏族だったかもしれない。どっちでもいいんだけど。少し熱くなってきた。



「ふうー」



 立ち上がる。熱いのも気持ちいいが、熱さから解放された空気も気持ちいい。無意味に仁王立ちのポーズをとってみながら空を見る。


 太陽がまぶしい。昼から入る露天風呂はとてもとてもいい。素晴らしい。



「ふうー」



 二度も三度も息は出る。銭湯でも良く見かける奴だ。子供の頃見たオジサン、おじいさん達はみんな戦いを終えた戦士のように見えた。


 お姉さん含めおばさんおばあさん達側ではあまり見かけなかった。


 今俺も戦士のように見えているだろうか。



 ……仮に戦士でも今イルとかが戻ってきたら敗走ものだが。這う這うの体もいいところだろう。


 とりあえず、今その気配は感じられない。これそういえばあのムッシー君達って当然ながら今この瞬間も襲ってくるのかな。


 だとしたらなかなか厄介だな。斧は近くにあるものの、ユマルがフルな状態で戦えるほどの度胸や覚悟がない、気がする。

 

 そもそも温泉に争いとか持ち込みたくない。小さな虫さん達がぷかぷか浮いてしまってるのとはわけが違うぞ。


 大きな虫さん達の体液とか切り落としてしまったいろんなパーツがぷかぷかしてるのは致命傷だろ。


 いやだいやだ。俺は温泉で癒されたいんだ。ここは単純ユモリーン泉。透き通った無色透明の湯なんだ。



 静かにしている今、水面には青空と周囲の緑の木々。見るからにドワーフから、鼻が目立つおじさんとなった俺の顔。


 この美しさを守らなければならない。美しいとまでは言わないが、俺の顔はもう少しなんとかならないものか。


 まあでも大分マシになったな。髪と髭を切って捨てたのは大正解だ。鼻を忘れれば。鼻さえなければ、普通のおじさん。実はおじさんと言うほど老けてもいない気がする。



 ……気のせいか。気のせいだな。勘違いはいけない。誰も幸せにできない。



 それはともかく、折角の露天だから安全は大事だな。


 聖なる泉だから近くまでは来れても入っては来れないとかいう設定になってねえかな。俺の夢だし。


 んなことはないか。だって今さっきもこの泉にスライムが泳いでたしな。


 いや、スライムはユモリン様の眷属だから例外なのかな? じゃ、ないな。波もどきは本来精霊温泉には居ないものらしいし。


 魔力量が飽和するとかなんとか言ってたな。この夢の中じゃ温泉はもっとも魔力とやらが強い液体なんだっけ。魔力か。


 案外と、温泉の気持ちのよさは魔力由来なのかもしれない。



「いや、何気なく受け入れてたが魔力ってなんだよ」



 思わずセルフ突っ込みしてしまった。いかん。独り言は老人くさい。


 もちろん魔力くらいは分かる。意味は分かる。オタクじゃなくてもファミコン誕生以後、ゲームをしたことがある少年少女達、あるいはかつて少年少女だった大人たちならまず分かる。


 そもそも温泉の魔力で虫も巨大化したり、まあ、その、魔物になったりしているという理屈だったか。


 ということは俺のように長風呂したりする人間は結構ヤバいのじゃないだろうか。人間って魔物になったりするのか?


 どうなんだろう。どんなんなるんだろう。ただ癒されるだけじゃないのか?


 エッドス親分が言ってたように、あるいはヴァルス湯父が言うようにぶっ倒れたり瀕死になったりスライムになったりするのは魔力のせいなのか?


 さっきの水質検査の説明だと強い温泉はイコール魔力も強いのだそうだが、そうすると下位レベルらしい村の温泉よりかなり強い中位レベルらしきこの温泉は。


 スライムを通り越してなんかデビルみたいなのになったりするのだろうか。もっとアカン感じのバイオでハザードみたいになってしまうのか。


 ユモリーン泉だからスライムになるのであって、他の種類だと違うのか。クァザ泉だと角が生えてヤクザになったりするのか。違った、鬼だ。


 温泉とは一体。俺は温泉を勉強しているつもりだったが温泉とはかくも奥深いものだったのだろうか。いやこれ温泉という同一名の何か別なモノなのでは。


 どうなんですかユモリン様。



 フニャ。



 温泉とは何かを考え始めた俺の足を何か柔らかいものが触った。


 足元を見るとドロドロした液体が俺の足を包み込もうとしていた。


 「おお!!」


 思わず全力で右足を振るとスライムはそのまま茂みに消えていった。ああビックリした。やばい、思わぬ動きに少し攣ったかも。痛い。


 なんだか気持ち悪いので温泉に足を突っ込んでバシャバシャと洗う。俺を食べようとしていたのだろうか。


 幸い、粘液とかなんかそういう感じのは残らず綺麗に洗えた。油断も隙もない。良く分からないが「どうしてこんなことするのぉ!」などと叫ぶ生首が先ほどのスライムとフラッシュバック。


 なんでだろう。ここが夢だからか、この1日2日、最近懐かしとなったキャラ達がふっと頭をよぎる。


 もしかするとこれは走馬灯。現実の俺は過労死しようとしているのでは。目を覚ました方がいいのだろうか?


 でも目の覚まし方が分からないんだよなあ。だいたい、温泉には入れたがまだまだ俺の知らない温泉がこの夢世界にはありそうなんだが。


 どうせ死ぬのなら、せめてさっき聞いたその四名泉くらい楽しんでからでもいいだろう。過労死ラインを超えたという仮定ならば、恐らく俺に残された時間は短い。


 少なくとも目覚めて秒でお近くの温泉地をググって電車で2時間ガタンゴトン、温泉に入って1泊2日、できたら連泊してビバノンノンなんて時間はないだろう。


 それなら、せめて夢の中でくらい温泉を楽しませてもらっても罰は当たらないはずだ。俺は満足するまで温泉に入って死にたい。


 スライムに襲われて少し寒くなった俺は2度目の入浴。今度は胸まで使って汗をかくまで。3度目は肩までつかるのだ。


 軽く攣った足をマッサージしながら俺は考える。


 それでもリミットの1時間は経たないはず、3度入ったら一旦休もう。横になれる場所はないだろうか。


 水分も欲しいな。この温泉、スライムとか居たけど飲んでも大丈夫な奴だろうか。水質検査的には問題ないんだったか。


 なら問題ないとごくごくと飲んだ。味はしなかった。味はないが、やはり美味しい。



 馬鹿野郎お前俺は魔力に勝つぞお前! この精神でいこう。



 しばらくして、帰ってきた3人に温泉が美味しかったことを告げると湯父は絶句していたしイルとアーには異常者を見る目で見られた。


 何もそこまで引かなくても。

実際のところ飲泉不可の温泉はありますがその理由は様々です。

そもそも水質検査を行っていない場合、水質検査の結果が飲用に適していない場合。

中には飲むと本当にお腹を壊す以上の悪影響を残す場合もあるので飲用不可の飲泉は避けたほうがいいでしょう。


ちなみに飲める温泉でも味的な問題で飲めない温泉もあります。

個人的にはおいしい塩味のナトリウム系の温泉が嬉しいです。

温泉も飲泉もルールを守って楽しみましょう。

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