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短編

小説を書くことができない

作者: 見伏由綸

小説を書くことができない。


これまでにたくさん小説を読んできたおかげか、自然な流れのいい文章は書ける。

それこそ、思わせぶりな導入だって、いろんな人物の口調だってお手の物。

だけど、小説が書けない。


理由は何だと思う?

答えは至って簡単、覚えていられない、からだ。


小説の設定を覚えていられない、話の流れを忘れてしまう。

文章の調子だって一晩寝たら変わってしまう。

何よりも、つい今さっき思いついたはずの一節が、少し油断した隙に分からなくなる。

流れるように書いていたら、間違って数行消してしまい、もうその部分は永遠に思い出せない。


私が気づいた小説を書くのに必要な才能とは、自分の頭の中にあるものを忘れない力だと思う。

そして、多くの人が普通に持っているのかもしれないその才が、私にはない。

読んだ小説や物語の内容は覚えられても、明確な形になる前のイメージや発想を覚えていることができないから、自分で物語を生み出すことができないのだ。


それこそ、超短編のような話なら数回書けたこともある。

しかし、私は長編が好きで、長編を書きたいのだ。

それなのに、前の日に書いた小説の続きを書こうと思って読み返してみても、昨日何を思って何をイメージして書いていたのかも、その小説をどうしたいのかも、思い出せない。

あらすじを書き残してあっても、何を考えていたのかが分からないせいで、他人の書いたあらすじを読んでいるみたいに遠くて、書いても書いてもしっくり来ない。


そして、書きかけのお話のかけらと、お話になり損なったもはやどんなお話だったのかも思い出せない数行が、数を増していく。

そして、心が折れていく。


しばらくすると、また、何かを書きたくてたまらなくなる。

そうして、なろうのページを開いて、何かを書き連ねていく。


しばらくして、また心が折れる頃には、日の目を見ない言葉がただ、積み上がっている。

そうして、時間は過ぎていく。私が小説を書けないままに。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

感想をいただけたら大変嬉しいですが、無くても構いません。

みなさんの小説ライフが、さらに充実したものになりますように。愛を込めて。

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― 新着の感想 ―
[一言] 僕は小説ではなく漫画なのですがすごく共感を得る。記憶力ってやっぱり大事だよ
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