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誰か異世界の常識を教えて!  作者: 三六九狐猫
第九章 年末は家族で
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第91話 年越し蕎麦

 

 楽しい食事は終わりを迎え、後は風呂に入って、歯を磨いて本を読んで寝るだけ──と、思っていたのに。



「みんなー!年越し蕎麦食べましょー!」



 階下から聞こえる、二度目の美桜子さんの声。ミロットや兄さんと、お互いの近況を話している最中だったので、そのまま三人で下へ向かう。


 扉を開けると、いつもの如く咲桜と、そしてヘレナさん、シャランスティと目が合った。


 六人で、階段を下る。階段には既に、食欲をそそる良い香りが漂っている。そういえば、先程の食事のときも、最初に言ってたな。「年越しそばを食べるから、食事は少なめ」と。


 食卓へ着くと、親四人組が既に蕎麦に手をつけている。


 テレビでは、聞いたことの無い音楽が流れていた。



「蕎麦でも食べながら、来年の抱負でも言い合いましょう?」



 席に座り、本日二度目の食事をいただく。


 蕎麦をすする音と共に、会話を弾ませる。



「いやぁ、来年の抱負というか、今年はイュタベラと高峯家の皆さんに迷惑をかけましたね。イュタベラを置いていただき、本当にありがとうございました。」



「いえいえ、こちらこそ。僕達も、イュタベラくんにはお世話になってます。それに、これからもお世話になります。主に咲桜がですが」



「もうっ!お父さん!」



 父さんと健蔵さん、仲良いな。赤面している咲桜も可愛い。


 他七人がその会話を暖かい目で見ながら、時間はゆっくりと進んでいく。


 蕎麦の優しい味わいを口いっぱいに感じながら、他愛のない会話を楽しむ。この日常がもう、当たり前になっている。その事に、感謝をしながら。



「あら、そろそろカウントダウン始まるわね」



 ふと、美桜子さんが手を叩く。それと同時、テレビでも、カウントダウンが始まっていた。右下に出ている数字は──『六十』。



「え、なになに!楽しそう!」



 いきなりのその発言に、ミロットは大はしゃぎ。しかし、他の異世界人は戸惑う。



「あ、えっとね、このカウントダウンが終わったら、新年ってこと!日付が変わるの」



 咲桜が隣で説明してくれたので、ひとまずは落ち着く。


 そして、誰が言うでもなく、皆でカウントダウンを始めた。



「さんじゅ!にじゅきゅ!にじゅはち!──」



 今年の思い出を振り返りながら、カウントダウンを始める。


 今年、咲桜と会って一目惚れして、日本の文化に触れて、人々の温かみに触れて──


 本当に、色々なことがあった。どれも楽しくて、忘がたい思い出だ。


 まぁ、俺は()()()()けどな。


 そんな事を思って、そして──



「さん!にー!いち!ぜろ!」



 新年の幕開けだ。

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