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誰か異世界の常識を教えて!  作者: 三六九狐猫
第九章 年末は家族で
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第89話 カリステア家 in 日本

 

 ソファに腰掛け、右肩には寝ている咲桜、左肩には抱きつく母さんがいるこの状況に脳の整理が追いつかないが、取り敢えず放置。


 それよりも気にする事は──



「あの──いくら何でも来すぎじゃない?」



 目の前の五人に、そう文句を垂れた。


 小さなテーブルを挟んだ向こう側、テレビの前には、カーペットに各々座る五人──父さん、兄さん、ミロット、シャランスティ、ヘレナさんが。


 俺はいつの間にカリステアに帰ってきたんだ?このメンツを見ると、カリステアに帰ってきた気分になる。


 まぁ、各々理由はあるのだろうが…。



「まぁ、来たこと自体はもう何も言わない。みんな一回こっち来てるから。そんな事より、問題は──」



 そう、この状況があるということは、とある問題が発生している。


 俺は少し声の調子を落とし、カリステア家(ミロット以外)を睨みつけると──



「ミロットは良いとして、兄さんと父さんはなんでここにいるんだ?今日は祭りのはず。祭りの主役が何でここにいるんだ?今年は兄さんとヘレナさんのお披露目もあるし、仕事もあるだろうに。カリステアはどうしたんだ?」



 一国の国王と、次期国王となる兄さんがここにいるということは、カリステアは現在王が不在。仕事も大晦日なこともあって大量にあるだろうに、こんな所で現を抜かすとは、なんたる怠慢だ。


 両肩にそれぞれの人の暖かみを感じながら、腕と足を組み、背もたれに寄りかかる。


 父さんと兄さんはそれを聞いて互いに顔を見合わせると、一度頷き、俺へと視線を移す。何か言いたいことがある顔だ。言い訳くらいは聞いてみよう。



「えーっと、カリステアなんだけどな?」



 兄さんが頬を掻きながら、苦笑して父さんを見やる。


 それが合図だったように、父さんが頷き、仕事モードの真剣な眼差しでこう言った。



「仕事は全てミロットの身体強化と思考加速で終わらせ、祭りは予定通り開催している。」


 ここで一呼吸。取り敢えずミロットが万能すぎることは分かった。



「肝心の僕たちがここにいることについては、ミロットとワイガーが協力し、ここへ来た六人分の分身を作った。行動パターンも教えこんで普段の僕達とそう大差ないだろうから、民衆はいつもと変わらない祭りを楽しむだろう」



「長いし情報量が多い」



 えっと、つまりは、ミロットがめちゃくちゃ頑張ったってことか?



「おい、俺も頑張ったんだぞ。さっきの転移もあって魔力枯渇寸前だ」



「簡単に心読まないで」



 不服そうな顔をして兄さんが抗議するが、そこは隣に座るヘレナさんがなだめる。


 と、唐突にミロットが家を探索し始め、それにシャランスティが着いていく。二名離脱。残りの三名。


 まぁ、向こうに影響がないなら良いか。父さんたちが頑張ったのは分かるから。



「そうそう、俺たち頑張ったから。な?」



「だから、人の心を勝手に読まないで」



 この兄はすぐ他人の優しさにつけ込む…。


 と、そこまで話がまとまって、もう一つ疑問が。



「あの、すみません、美桜子さん?」



「はーい?」



 この場にいない高峯家の代表、美桜子さんを呼び、キッチンから出てくる。


 少し大きな声を出したからか、咲桜が少し動いた。起こしてしまったか?


 と、違う違う。確認しなければ。



「こんなにいますが、大丈夫ですか?部屋足ります?やっぱり追い出します?」



「冗談きついよ?」



 父さんの声が聞こえた気がするが、まぁ無視。


 現在この家に住んでいるのは、俺、咲桜、美桜子さん、健蔵さんの三人。


 今日はそこに、父さんと母さん、兄さんとヘレナさん、ミロットとシャランスティの六人が加わる。


それに対し、部屋の数は俺の部屋、咲桜の部屋、美桜子さんと健蔵さんの部屋の三つ。もちろん足りない。


 そのことについて言及すると、美桜子さんは少し考える素振りを見せ、一言。



「よし、じゃあ今日は男子会と女子会をしましょうか。あ、カリオンさんとタナーシャさんは私たちの部屋で、保護者会でもしましょ?」



 ──今夜は寝れなさそうだな。積もる話もあるし。

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