表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
誰か異世界の常識を教えて!  作者: 三六九狐猫
第九章 年末は家族で
89/123

第88話 大晦日だよ、イュタベラくん

 

 こうして、様々な進展があったクリスマスは終わりを迎え、今年最後の行事が幕を開ける──



「今年ももう終わりだね〜。早いなぁ」



「ん、そうだな。色々あったが、楽しかったな」



「ベラはそうだよね…。あ、私達もだ、えへへ」



 今はまだ冬休み。咲桜とのんびりソファで寛ぎながらテレビを見ている。


 あの日から咲桜はめでたく恋人になった訳だが、だからといって特別何かある訳でもなく、今まで通り過ごしている。


 そんな他愛のない会話を楽しみつつ、俺は残りの冬休みと、日本での生活を謳歌していた。



「あ、大晦日スペシャルあるかな?ちょっとチャンネル変えるね」



「ん、わかった。──ん?ちょっと待て、このニュース…」



 咲桜がチャンネルを次々と切り替える中、あるニュースが目に留まる。



「うん?これのこと?──あれ、もしかして…」



 咲桜も違和感に気づき、眉をひそめる。



『──繰り返します。本日午前九時頃、京都府と奈良県の県境にて、謎の光の様なものが出現しました。この映像を撮影した、京都府在住の──』



 テレビでの映像とともに、女性の声が淡々と告げる。


 その映像に映っていたのは、天をも貫く、大きな円柱状の白光。それは、この世界──日本には存在しえないものだ。


 しかし俺は、直感的に()()が何か分かってしまった。それが正しければ──



「これ、ベラの──」



「兄さんかミロット、父さん、母さんの誰かだな。まったく、みんな暇なのか?」



「それ、今のベラにも同じこと言えるよ??」



 咲桜の言葉にはっとしながら、取り敢えずはアニメを見た。



 ──その日の午後。



「いやー、ごめんねサク、イュタベラくん。お店混んでて遅れちゃった」



「代わりにお菓子とか色々買ってきたから、テレビでも見ながらだらけよう。今日くらいは良いだろうから」



 玄関の開く音がし、美桜子さんと健蔵さんが買い物から帰ってくる。


 カリステアでは年越しには祭りを開いて皆で祝うのだが、日本では大半の人は家でだらけるようだ。祭り楽しいんだけどなぁ。


 まぁ、郷に入っては郷に従えって言うらしいしな。今年くらいは怠けていいだろう。


 咲桜と共に、午前と変わらぬ隣同士の位置でテレビを見ながら、突如来る眠気と戦う。


 と、その時だ。


 ──ピンポーン


 滅多にならないインターホンが鳴った。


 直後、今朝のニュースが思い出される。


 異世界から日本には来るのには莫大な量の魔力が必要となるが、同じ世界での転移にはそれほど魔力を消費しない。


 そして今朝観測された、謎の光──。あれは、転移魔法によるものだ。だが、気になるのは──



「前までこんなこと無かったのに…」



 今まで、父さんと母さん、ミロット、そして兄さんとヘレナさんが日本には来たが、こんな光が観測されたことはなかった。あんなに大きな光、見逃すことは無いはずだ。


 なら、一体なぜ──


 インターホンが鳴り、それに反応して美桜子さんが玄関へ向かう。


 パタパタとスリッパの音が心地よい。


 そして同時に、右肩に重みが。


 そっと右を見れば、そこには──



「さっきから静かだと思ったら、寝てたのか」



 静かに寝息を立てて眠る咲桜が、俺の肩を枕にして寝ている。


 以前なら恥ずかしくて直ぐに起こしているが、最近はそっとしている。


 そこへ、美桜子さんが玄関から戻り、俺に告げる。



「イュタベラくん、御家族が来てるわよっ!今日は泊めるわね!」



「あぁ、やっぱりですか。放置しててもいいんですけど…」



 やはり、ここに来たか。さて、誰が来たかな?


 寝ている咲桜の頭を反射的に撫でつつ、美桜子さんが連れてくるのを待つ。


 そうして、美桜子が案内したのは──



「お久しぶりです。あれからイュタベラは元気ですか?」



「あらぁ、ベラと咲桜ちゃん?仲良しねぇ。左は私が貰うわぁ」



「ここがお兄ちゃんが住んでるとこなんだね!広くてきれー!」



「ミロット様、走り回ると転びますよ」



「ヘレナ、予知はあってたな」



「イュタベラくんと咲桜さん、経緯は分かりませんが、近いうちに結ばれるのは見えてましたから」



 カリステア一家+メイド長&婚約者が、異世界転移してきたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ