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誰か異世界の常識を教えて!  作者: 三六九狐猫
第八章 想いを形に
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第69話 クリスマス前日

 

 こうして修学旅行は幕を閉じ、二週間が経った──。


 今日は終業式。明日から長期休暇となる。


 今年の長期休暇は、これで二度目。夏にあったものと、今日、冬にあるもの。


 休暇期間としては、今回の方が短いはずなのだが──。



「…妙に騒がしいな」



 夏の頃より、今の方が騒がしい。夏は夏祭りがあるし、何より約一ヶ月間の休暇があるため、夏が騒がしいのは分かる。


 しかし、冬はどうだろうか?咲桜に聞いたところ、冬休み中の行事は、大晦日・元旦という新年を祝うものしかないらしい。


 その内容を聞いても、蕎麦を食べたり、『年越しライブ』とかいう物を見たり、聞いた感じだとそれほど盛り上がる要素はない。


 やはり、長期休暇が楽しみなのだろうか?


 いや、しかし──



「ベラ、どうしたの?」



 悩んでいるとそこへ、咲桜がやってきた。と言っても、隣の席なのだが。



「なんか、夏の頃より皆騒がしくないか?何かあるのか?」



 先程まで考えていた事を、目の前の咲桜に問いかけてみる。


 これは前に一度した質問だ。咲桜もこの前と同じ答えを──



「い、いい、いや?ななな、何も無いよ?うん、この前言った通り、大晦日と元旦くらいしかないよ?うん、ね?何も無い何も無い。ほんとだよ?ほんとほんと」



 答えた咲桜の目は泳ぎまくっており、俺の机に着いた右手はぴくぴくと動いている。これは、嘘をついているサインだ。


 しかし、咲桜も真実を言うつもりは無い様子。


 こうなれば、他の奴に聞いてみるか。


 一度席を離れ、教室の一番後ろで話し込んでいる行飛の元へ。



「なぁ行飛、今回の長期休暇って──」



「お、噂をすればやん。イュタベラ、プレゼント何渡すん?」



 声を掛けた矢先、そう問い掛けられた。プレゼントとは?



「ん?どういうことだ?プレゼント?」



「あれ、イュタベラの地域っち無かったん?いや、あるよな?『クリスマス』」



「くりすます?」



 初めて耳にする言葉…では無いな、確か朝食をとっている時にニュースで流れていた。内容は聞いていなかったが──。



「咲桜さんになんかプレゼント渡すんやろ?何にするん?」



「クリスマスってまず何なんだ?俺がいた所には無かった行事なんだが」



 凄く癪に障る微笑みで俺を見る行飛。


 俺の問に対して、行飛は信じられない者を見るような顔をし、



「嘘やろ、クリスマス無かったん?クリスマスっちゅーのは、プレゼント渡しあったり、そこの広場でツリーが飾られたり、なんかいろいろあるんよ」



 学校の近くの大きな広場を指さしながら、そう説明する行飛。なるほど、それでプレゼントの話に──。


 しかし、いきなり言われて是非これを、と言えるほど俺は贈り物をした経験が無く、渡して喜ばれる物が分からない。


 それに、疑問が一つ浮かんだ。



「なんで咲桜はこの事隠してたんだ…?」



 こんなに楽しそうな事、咲桜が俺に言わないわけが無い。しかし、先程は分かりやすい嘘をついてまでも、この事を隠そうとしていた。


 一体、何故──。



「あ〜、イュタベラ?多分プレゼント何にするか考えよるんやろうけど、どうせなら一緒行かん?今日午前中に終わるし」



「何故……ん?一緒に?」



「おう。イュタベラこういうの実は疎そうやし、俺結構センスあるっち言われるんよ」



ドヤ顔でそう言う行飛。腹が立つ。


しかし、何だか焦っているような──。



「そんなに急がなくてもいいんじゃないか?クリスマスっていつあるんだよ」



「明日」



「──え?」



「明日よ。あ、そだ。おい真也!放課後付き合って!」



「用事あるけん無理!」




 そんな訳で、放課後は二人で買い物に行くことになった。

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