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誰か異世界の常識を教えて!  作者: 三六九狐猫
第七章 修学旅行
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第65話 学力向上への道

 

 法隆寺を離れ、タクシーを使って一時間程。長時間車に揺られ、たどり着いたのは北野天満宮だ。


 ここには学問の神様が祀ってあるらしく、主に学生が来るようだ。なんでも、日本の学校には『受験』というものがあるらしく、その結果によってより上の学校に行けるのだそうだ。カリステアで言うところの、ギルドの昇級試験のようなものだろう。


 そして、俺たちは現在中学二年生。咲桜たちは来年に受験があるらしい。しかし俺は残り三ヶ月でカリステアに帰るため、俺の用事はない。ただレポートを書いて終わりだ。


 しかし他はといえば、ここへ着いた瞬間、表情が強ばっている。無論、咲桜もだ。


 分かりやすく緊張している四人を見て、不覚にも笑いそうになった。


 と、このままじっとしている訳にもいかず。



「ほら、行くぞ」



 俺が声をかけると、四人は同時に肩を跳ねさせ、「う、うん」と一歩踏み出した。


 そうして俺達は、中へと入っていった。



 ――――――――――――――――――――――



 北野天満宮、最奥。



「なるほど、大きな建物だな。あれは…賽銭箱?だったか?」



 自然の溢れる大通りを抜け、俺達は北野天満宮の最奥へ辿り着いた。


 道中皆緊張しており、軽い話を入れるような雰囲気ではなかった為、北野天満宮に入ってからはこれが第一声となる。


 大きく古びた、木造の建造物。清水寺や法隆寺もそうだったが、こんなに大きな建物を何故木で造ろうと思ったのだろうか?


 より昔の日本への疑問が深まったところで、四人が静かに前へと歩き出す。


 それに倣って俺も前へと踏み出すと、大きな鈴のような物から下がった綱を、行飛が体全体を使って揺らした。


 シャラン、シャラン──


 重く響く鈴の音。その音の余韻に浸っていると、今度は四人一斉に手を二度鳴らした。


 乾いた音が境内に響く。そして──



「「「「どうか、受験に受かりますように!」」」」



 四人の声がひとつになり、辺り一帯に木霊する。俺も一応手を鳴らし、無言で拝んだ。


 そうして一段落した様子の四人は北野天満宮に背を向ける。


 すると今度は、境内の端、小さな小屋のような所へ一直線に行き──



「お守り買っとこっか」

「これ買わんとダメやろ」

「あぁ〜、ミロット君から貰いたかったぁ〜」

「あ、このお守り…って、ベラ、こっちこっち!」



 やっと口を開いたかと思えば、先程の荘厳な雰囲気はどこへやら。いつもの調子に戻り、居心地も良くなった。


 そうして咲桜たちの傍へ行けば、色とりどりのお守りが所狭しと並んでいる。



「ベラ、これどう?可愛くない?」



「学問の神に可愛さを求めるのか?」



「いいじゃん!これだと勉強のやる気出そう!」



 桃色の花が刺繍されている、水色のお守りを見せつけ、俺の目の前でヒラヒラと揺らす。


 それを手で押しのけ、会計を済ませろ、と指をさして促す。


 そうして四人が買い終えると、これで北野天満宮の用事は終わりだ。



「次が最後よね?地主神社やっけ?」



 行飛が確認をとり、全員が首肯する。



 さて、これで京都巡りも最後だ。カリステアでの土産話の材料として、最後まで張り切らねば。

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