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誰か異世界の常識を教えて!  作者: 三六九狐猫
第六章 芽吹中文化祭
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第52話 開店、リバーシブルカフェ


 その後、リバーシブルカフェは、他クラスを圧倒する盛況ぶりを見せた。


 他クラスは、『お化け屋敷』や『研究発表』、『劇』などをやっていたが、客の数は圧倒的に俺たちのクラスが多い。現在俺は接客中だが、ちらと廊下を見たところ、三十人程の列が出来ていた。午前中ということもあってか、客が所望するのは朝食に適している軽食。咲桜が先程作っていたパンケーキや、サンドイッチなどだ。


 そういった客の需要が、ばっちりこの店に当てはまったようだ。



「ベラ、二番席にこれ運んで〜」



「了解」



「いやそこは分かりましたわ、でしょ?」



「言うか!」



 裏方から咲桜の指示があり、接客を終えた俺は裏方へ。そこで渡されたパンケーキを持って二番席へ。



「お待たせしました。パンケーキです」



「ありがとう。可愛いねぇ」



「男ですけどね」



「似合っとるよ」



 と、軽く客と言葉を交わしながら接客するのが俺のやり方だ。他のクラスメイトは料理を渡して終わりのようだが、それだけでは足りないと思い、こうして会話をしている。


 現在開店から一時間しか経っていないが、この接客方法が幸いしたのか、俺の人気が結構出ているらしい。咲桜が言ってたので、信憑性はある。


 と、また指示があり、次は一番席へ。今度は三番席。エトセトラ…。



「ふぅ…疲れた」



「あと一時間、頑張ろうね」



 残り一時間、この疲労ではまだ行けるだろう。というか、今日の運ぶもの全てパンケーキなのだが、なんだ、パンケーキってそんなに人気なのか?


 などと考えている間にも、オーダーが入る。さて、次は二番席か。


 足早に二番席へ向かう。と──



「え、美桜子さんと健蔵さん!?」



「あぁ、折角の文化祭だからな。行かないといかんだろう」



 二番席にいた客は、なんと健蔵さんと美桜子さん。多少驚いたが、健蔵さんの言葉で納得。仕事のことは…いや、聴かないでおこう。



「にしてもイュタベラ君、メイド服似合ってるわねぇ。女の子と間違えられたんじゃないの?」



「あー、さっきご飯に誘われました。男だって言ったら『そういえばここ男がメイド服着るんだったな』とか呟いてそそくさと出ていきました」



「なにそれおもしろ」



 先程の男客のことを話すと、暖かい目で見られた。なんか腹立つ。



「それで、注文はどうしますか?」



「イュタベラ君、そこは『ご注文はいかがいたしますか、ご主人様?』でしょ?」



「なるほどこの親にしてこの子ありとはこの事か」



 咲桜と同じベクトルの助言を無視し、今日で何度目かのパンケーキの注文を裏方へ。



「お待たせ致しました〜パンケーキ二人前です」



「ご主人様は…」



「言いません」



「でも…」



「言いません」



 なぜこうも親子揃って…。はぁ。なんか疲れたなぁ。あと三十分か…。



 頑張らねば…。



「あ、これ美味しい!サクが作ったの?」



「あ、はい。裏で作ってます。どうも紳士服姿を見られたくないみたいで、一応着てはいるんですけど。ずっと料理してます」



「いいお嫁さんになると思わない?」



「あぁ…はい…そうで、す…ね…」



 疲労が溜まったのだろうか?少し視界がぼやけてきた。眠気も凄い。



「イュタベラ君?」



「は、ぃ…」



 そこで、意識は途切れた。

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