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誰か異世界の常識を教えて!  作者: 三六九狐猫
第六章 芽吹中文化祭
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第51話 文化祭開幕


 そんなこんなで、いよいよ文化祭当日…。


 高校等は数日にかけて文化祭が催されるらしいが、ここ、芽吹中学校は一日のみの開催となっている。その分、文化祭のクオリティは高校に引けを取らない。勿論、取るつもりもない。


 そして、喫茶店開店前のこと…。



 ――――――――――――――――――――――


「ベラ、そろそろ準備しないとね」



「分かってるから更衣室から出てくれ。ニヤニヤするなこっちを見るな」



 開店一時間前となった教室内はざわついており、ピンと張りつめた空気が、生徒全員の緊張感を表している。教室は、馴染みのある勉強机や椅子、教卓などが取り除かれ、その分スペースが広い。客も十五人ずつ程なら余裕で入るようになっている。


 また、これは全校生徒共通なのだが、各生徒の保護者には、生徒から事前に割引券が手渡されている。その割引券と各生徒によって、客が一人も来ないということは必ずと言ってもない。


 今日一日、頑張らなければ。


 幸いにも俺の仕事は午前中。午前九時から午前十一時までの為、午後からは文化祭をまわる時間がある。咲桜も俺と同じ時間なので、仕事が終わったら誘おう。



 ──さて、時間稼ぎはここまでとして、覚悟を決めなければ。




「──はぁぁぁぁ…」



 長くため息を吐いて、目の前、壁にかかっているメイド服に手をかける。それを慣れた手つきで着用し、更衣室を出る。性別逆転喫茶、『リバーシブルカフェ』のメイドとして、頑張ろう。




 ――――――――――――――――――――――



「…いつ見ても尊い」



「咲桜、俺の姿じゃなくて、目の前に集中しろ。そのパンケーキが焦げたらどうする」



「大丈夫。私、そこのとこ両立出来るから」



「一生しなくていい」



 などと、裏方で呑気に喋るが、開店までの残り時間は少ない。裏方には簡素なキッチンがあり、今は咲桜がパンケーキを焼いているところだ。ほのかに甘い香りが室内に広がる。ちなみにこれは俺と咲桜の朝ごはんだ。早朝から準備を手伝ったため、朝ごはんを食べていない。



「よし、できた!ベラ、一緒に食べよっ」



「はやく食べないと文化祭に間に合わないからな」



 そうして朝食をとり、俺と咲桜は裏方の幕をくぐり、廊下へ出る。そこには俺らのクラスメイトの姿があり──



 と、その時。チャイムの音が室内に響いた。



『お待たせ致しました。ただ今より、第72回芽吹中学校文化祭を開始致します』



 その直後、いや、ほぼ同時だ。



「リバーシブルカフェ、開店で〜す!」

「スイーツ、軽食、いかがですか〜!」

「男子のメイド服、女子の執事服、どちらも眼福で〜す!」



「おい最後の要らないだろ」

「まぁベラ、そう言わずに」



 こうして、文化祭が幕を開けた。

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