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誰か異世界の常識を教えて!  作者: 三六九狐猫
第五章 家族旅行in長崎
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第38話 ジェットコースター


「さ、そろそろ出番だな」



「待ちくたびれたよぉ」



 なんやかんやあったが、無事に出番が回ってきた。咲桜は、三十分立ちっぱなしだったので、少し膝が痛むらしい。


 順番になり、係員に誘導されて施設内に入る。中は少し薄暗く、ジェットコースターが来る、キキィ…という音が、施設内に反響していた。



「では、お次の方、こちらの席にお願いしまぁす」



 係員にそう言われ、指定の席に咲桜と隣合って座る。



「それでは、お客様のお背中にあるレバーを引いて、苦しくない程度の位置に固定させてくださぁい。そのレバーはシートベルトの様なもので、お客様が前方に倒れても、そのレバーは動きませんのでご安心をぉ。それではご準備出来ましたら、お客様の右側のボタンを押してくださいませぇ。赤いランプが光れば、準備が出来たものと見なし、全てのランプが点灯しましたら、出発いたしまぁす」



 皆に聞こえるように、大きく間延びした声で説明する係員。その説明通り、後ろにあるレバーを両手で引く。カチカチと小さな音が鳴り、丁度良い位置にレバーを引いてボタンを押すと、ガコンっ、と音が鳴った。どうやら、レバーの位置が固定されたようだ。隣にいる咲桜も同様に作業を済ませ、出発を待つ。





「それでは、皆様準備が出来ましたようですので、間もなく出発いたしまぁす。万が一準備が出来ていない方はいらっしゃいますでいょうかぁ?──はい、皆様大丈夫ですねぇ。それでは、行ってらっしゃいませぇ」



 そう言って係員が一礼すると、どこからともなくプー、と大きな音が。その音に共鳴するように、ジェットコースターがゆっくりと動き出す。



「ベラ…うるさかったらごめんね」



「叫ぶのか?そんなに怖いのかこれ…」



 いや待てよ?あの牢獄病棟も楽しかったし、ジェットコースターもそんなにか。






 そして、ジェットコースターは加速した。


 ――――――――――――――――――――――


「ふぃー、楽しかったね、ベラ。…ん?ベラ?どうしたの?」



「う、動きが激しくて…うぉぇっぷ…」



 現在、ジェットコースターを堪能(?)し、次の目的地を決めようと、咲桜が地図を出していた。


 結論から言うと、俺はジェットコースター苦手らしい。ただ、怖いとか怖くないとか、叫ぶとか叫ばないとかいうことじゃない。とてつもない倦怠感。吐き気。これが乗り物酔いか…。カリステアの馬車でも、酔う人はたまにいるようだが、俺は全然大丈夫だった。まさかここで乗り物酔いを体験するとは…。うっ、気持ち悪い…。



「ベラ…?ほんとに大丈夫…?一旦吐いてスッキリした方がいいんじゃない?」



 心配して、背中をさすりながらそう提案される。しかし、遊ぶ時間がギリギリで、あとひとつアトラクションを遊べるかどうか。その時間を、俺のせいで浪費してしまうのは良くない。



「だ、大丈夫…。さ、次はどこに…」



「むぅ……。ベラ、気分悪いなら、早く治して!これ、『常識』だから。どうせ、遊ぶ時間が無くなるから〜とか思ってるんだろうけど、気分悪いまま遊ぶ方がよっぽど迷惑だから。はい、手洗い場に行った行った」



「う、ちょ、押されると…うっぷ…」



「わ、ちょ、ここで吐かないでよ?」



 正論をぶつけられ、ぐうの音も出ない。後ろから咲桜が背中をさすってくれて、背中に温もりを感じる。


 相変わらず、優しいな…。


 そう思いながら、手洗い場へと駆け込んだ。


 ――――――――――――――――――――――


 一旦不快感を物理的に吐き出し、戻ってくると、咲桜は「大丈夫?」と駆け込んで来る。



「あぁ、すまんな。もう時間が…」



「いいのいいの。ベラが気分悪いと、なんだかこっちまで気分悪くなるもん」



「それ、どういう意味だ?場合によっては怒るぞ?」



 結構失礼な発言をされた。悲しい。



「じゃあ、もう時間も無いし、早くここ行こうよ」



「ん?ここって?」



「こーこ、フラワーロード!」

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