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誰か異世界の常識を教えて!  作者: 三六九狐猫
第三章 体育祭
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第24話 閉会式


 その後、閉会式にて、結果発表。


「それでは、2年生の結果発表に移ります!」


「第4位!96点、4組!」



 皆の拍手に合わせ、取り敢えず俺も拍手。正直、優勝以外は眼中に無い。




「続いて第3位!99点、2組!」






 先程はリレーに勝ったが、この体育祭はあくまでも得点制。全体での得点が高かった方に軍杯が上がる。




「そして、優勝は──」





 皆が祈る中、体育委員長が告げる。








「僅か1点という僅差で、103点、3組です!おめでとうございます!」



 この時、俺の心中は悔しさで満ちていた。


 3組の方から歓声が上がる。


 対する1組は、俺の心中とは裏腹に拍手で称賛している。なぜ、そう素直に称賛できるのだろうか。悔しくないのか?


「それでは、結果発表を終わります!次に校長先生の話です!」



 その後の話は欠片も頭に入らず、この体育祭を終えた。


 ――――――――――――――――――――――


 ──その後。


「ベラたち負けちゃったけどぉ、楽しかったわぁ。初めて見るものばっかりだったぁ」


 と、俺の頭を撫でながら感想を述べるタナーシャ。


 俺はそれを仕方なく受け止めながら、深く、深く反省していた。


 もっと俺が頑張れば、優勝出来たのではないか。俺が俵担ぎに参加していれば、こうはならなかったのではないか。咲桜も、優勝したかっただろうに。


 当人は俺のリレーの結果をベタ褒めしたが、果たして咲桜自身は楽しめたのだろうか。




 考え事をしているうちに、テントの片付けが終わり、帰路に着いた。学校から家が近いので、家族全員で歩いて帰る。



 ──俺の後悔は、心中に留めたまま。


 ――――――――――――――――――――――


 その日の夜──。


「ベラ、ちょっといい?」


 扉の奥から、咲桜の声が聞こえる。


 こうして俺の部屋に咲桜が来ることは珍しい。どうしたのだろうか。


「ん、いいよ」


 今まで体育祭の反省をしていた俺は、負の感情を心の奥底に閉じ込め、扉を開ける。



「咲桜から来るなんて、珍しいな」


 咲桜を部屋に入れ、机を挟んで向かい合って座っている。


 そうして向かい合っている間、咲桜は俺をじっと見つめ、何も言わない。恥ずかしいな。


「ど、どうした?咲桜?」


 視線に耐えきれず、本題に移させる。


 今も尚じっと俺を見る咲桜は、少し躊躇いをみせ、その後観念したように口を開いた。


「え…と、その、…」


 目を泳がせ、人差し指を合わせる咲桜。余り言いたくないのか、口がパクパクと動くのみで、音は発せられない。


「咲桜、ゆっくりでいいから。何かあった?」


 ゆっくりと深呼吸させ、落ち着かせる。


 すると、頭の整理がついたのか、再びこちらを真剣な眼差しで見つめ──、


「ベラ、何かあった?」


 そう、俺に問いを投げた。

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