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誰か異世界の常識を教えて!  作者: 三六九狐猫
第三章 体育祭
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第22話 クラス対抗リレーその1


 その後昼休憩が終わり、いよいよ体育祭も大詰め。ここからは、各学年対抗のリレーが始まる。


 最初は一年生、次に二年生、最後に三年生。


 俺らは出番まで応援席で待つのだが、座ってばかりでは体が鈍ってしまう。


 ということで、体を解しつつ出番を待つことにした。


 因みに、今のところ、各競技の順位は、百メートル走が二位、大縄跳びが二位、俵担ぎが三位、スウェーデンリレーが一位、先程の玉入れが一位。


 体育祭では、順位によって点数が入るらしいのだが、競技によって点数の配分が異なり、それを生徒は知らない。


 故に、一位を取れば良いのだが、今のところどのクラスが優勢なのかは分からない。


 なので、このリレーでも優勝しなければ、というプレッシャーがかかる。


 点数さえ教えてくれれば、少しは気が楽になるのに。


 と、準備体操と共にそんな事を考えていると、どうやら一年生のリレーが終わったようだ。


 このクラス対抗リレーで、体育祭の全競技が終わる。気を引き締め直さねば。


「ベラ、もう始まるよ」


 両方の頬を叩いて気合を入れていた俺に、赤い顔の咲桜が声を掛ける。


 当初の目的、咲桜を楽しませるという事を第一に、リレーが始まろうとしていた。


 ――――――――――――――――――――――


 先程、昼休みでの事。


「ベラってばぁ、たまいれ?の時凄かったわぁ。お母さん感激しちゃったぁ。抱きしめていいぃ?」


「だめ」


 美桜子さんとタナーシャが作ってくれた昼食を食べながら、そんな会話をしていた。


 俺は『おにぎり』を頬張りながら、タナーシャは俺の隣で俺の肩に頭を乗せて、そう問いかける。鬱陶しい。


 早々にここから脱出するべく、昼食を頬張って応援席へ。タナーシャの頭を肩からどけると、「あぁ〜」と残念そうにする顔が見えた。


 まだ午後の競技まで二十分ほど時間があるため、応援席には人は余りいなかった。


 しかし、入場門側では、俺のクラスの人が集まって、何やら話している。


「ん?みんな、何話してるんだ?」


 その輪へ飛び込むと、皆は驚きの表情を浮かべ、すぐ様俺から視線を逸らした。


「?」


 訳が分からず呆然と立ち尽くしていると、後ろから咲桜が来る。


「ベラ、ちょっと早い…もう少しゆっくりしようよ…」


 肩で息をしながら、そう俺に文句を垂れる咲桜。咲桜が現れた直後にも、また皆は俺と咲桜から視線を逸らす。


「みんな、どうしたんだ?何かあったか?」


 どうしても気になり、そう問うと、一人が「えっと…」と言葉を発し──


「二人っち、付き合っとん?」


 ──ん?


 え?


「「なな、何いきなり!?」」


 咲桜と俺の驚きの声が重なる。


 その様子を見たクラスの皆は、今度はこれでもかとニヤニヤしながらこちらを見てくる。恥ずかしい。


「だって、お昼も一緒に食べよったし、いっつも仲良いやん?」


 それだけで判断するのは早計だろ…。


 とは思いつつも、咲桜とは良い関係を築きたいとも思い、胸中がごちゃごちゃしている。


 あぁ、そんなこと言うから、咲桜も顔真っ赤じゃん。


「まぁ、その話しよっただけ。お幸せにね〜」


 と、最後までニヤニヤしながら解散。


 ──気まずい。


「さ、咲桜…?」


 取り敢えず、意識がどこかに飛んでいる咲桜を呼び戻す。顔は赤いままだ。


「べ、ベラ…えと…」


 お互いに意識してしまい、会話がしどろもどろになる。


 と、そこへ──


「皆さん、あと五分で、午後の競技を再開します!生徒の皆さんは、応援席に戻ってください!」


 体育委員長の放送。そのタイミングの善し悪しはともかく、俺たちは応援席へ向かった。


「咲桜」



「ひゃいっ!?」



「そんなにビックリしなくても…さっきの話は、考えないようにしよう。競技に支障が出る」



「う…うん…」


 そして一年生のリレーがある間に心を落ち着かせ、現在に至る──。


 ――――――――――――――――――――――


 入場門に並んだ俺らは、体育委員長の指示を待っていた。


 数日前に一度、リハーサルという形でリレーを行ったことがある。


 その時は、俺らのクラスが圧勝していた為、今回も余裕を持ちたいが。


「本番は、何があるか分からないもんなぁ…」



「お待たせしたした!今から、二年生クラス対抗リレーを始めます!二年生の皆さんは、入場してください!」


 そう呟いたのと同時、体育委員長の放送。


 最後の競技、二年生クラス対抗リレー、開幕。

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