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誰か異世界の常識を教えて!  作者: 三六九狐猫
第三章 体育祭
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第14話 体育祭練習その2


 俺の両隣に座る、2人の人物。かつて咲桜を虐めていた2人とグループになった。


「お前ら、咲桜を虐めてた…」


 不意に口をついて出たのは、その一言だった。


 右に座っているのが、俺と手合わせをした大柄な男子。筋肉質な体をしており、髪は極端に短い。坊主だ。切れ長の目をしており、悪役にはピッタリな容姿をしている。


 一方左に座っているのは、細身の男子。気の弱そうな面持ちで、前髪は綺麗に切り揃えられている。


 そんな2人は、俺の言葉を聞くと、バッとこちらを向き、


「「い、今は違うし!」」


 と、大声で否定した。


 ──先生の話の途中何だけど、そんな声出して咎められないのか?


「お前ら!うるさいぞ!」


「「ひゃい!すみません!」」


 ほら見た事か。


 怒鳴られた2人は、もう一度俺の方を向くと、小声でこう言った。


「あの時は、その、すまんって。悪いっち思っとるけん。」


 申し訳ない、と少し頭を下げた。


 その言動に体格とのギャップを感じつつ、組体操の練習は始まった。


 ―――――――――――――――――――――――


 そして、体育の授業が終わり、帰りのHRが始まった。やった、帰れる!


 家に帰ったら何の本を読もうかな、とプランを立てていると、矢野先生が教室に入ってきた。


 先生は教卓に立つと、いつも通り明日の連絡を済ませる。


 今日から体育祭練習のため、毎日体育があるそうだ。


 と、そこまではいいのだが。


「今日から、放課後にクラスで体育祭の自由練習がある。HRが終わったらグラウンドに集合しろよ。」


 ──え、帰れないの?


 そう告げた先生は、んじゃまたグラウンドで、と教室を出た。


 気づけば、教室には男子しか居らず、皆体操服に着替え始めている。


「帰りたいな…」


 そう独り言ち、仕方ないと俺も体操服に着替えた。


 ―――――――――――――――――――――――


 グラウンドにて。


 『ジャージ』に着替えた矢野先生が中心となって、今日の練習内容を話し合っている。


「お前ら、何をする?一応大縄とバトンは持ってきてるが」


 と、長い縄と赤い色をした筒状の物を両手に持ち、俺らに問いかける。


 『大縄』と『バトン』と言ったが、あれで何をするというのか。縄は色々と使えそうだが、バトンは何の役にも立たなそうだぞ。


 そう思っていたのだが。


「それじゃ、大縄がしたい奴〜」



「…」



「…リレーがしたい奴〜」



「「「はい!!!!!」」」


 それぞれの道具を掲げ、再び問いかける先生だが、バトンを上げた瞬間に皆が賛同した。そんなに価値があるのか?バトンには。


「それじゃあまず順番決めないとな。去年と同じく50m走の記録順にまずは並んでくれ」


 そう指示を出す先生。しかし、50mとは何だ?聞いたことあるような気はするが。


 すると、俺が戸惑っていることに気づいた咲桜が、こちらへ近寄ってきた。


「50m走、走ったでしょ?ほら、学校に来て数日後に走ったやつだよ」



「──あ〜、なんか走らされたな。で、その数字の通り並べばいいのか」



「うん。何秒だった?」



「5秒84って言ってたな」



「…1番前に並べばいいよ」



「そうか?」


 記録を言った瞬間、咲桜が驚いたような顔をしていたが、何なのだろうか。そういえば、走った後で先生が『ストップウォッチ』と俺を交互に見ていたが、そんなにおかしな事なのだろうか。


 そんな事はさておき、咲桜に言われた通り徐々に出来てきている列の先頭に並んだ。


 すると、後ろにいた背の高い男子──クラスのリーダー的存在、蓑原行飛(みのはらいくと)が声を掛けてきた。


「イュタベラ、何秒やったん?俺より速いん?」


 そう腕を組んで尋ねる彼は、どこか威圧的だ。


「5秒84だったけど…」


 そう、咲桜に伝えたのと同じように伝える。


 しかし、その返答を聞いた直後、咲桜と同じように驚きの表情を見せた。


 彼はその表情を隠さないまま、嘘だろ…と肩を落としている。


 何がなにやら分からないが、同タイミングで皆が並び終わったので、言及はしなかった。あまり喋ったことないし。





 その練習の最中、行飛が妙に俺と張り合ってきたのは、また別の話だ。

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