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誰か異世界の常識を教えて!  作者: 三六九狐猫
第三章 体育祭
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第13話 体育祭練習


「今日から体育祭の練習があるから、放課後は帰らずに運動場に行くぞ〜」


 朝のHRの時間、矢野先生がそう言ってきた。


 『体育祭』が何の事かは分からないが、皆の反応を察するに、何か楽しい物なのだろう。


 しかし、隣の咲桜は何やら残念そうな顔をしている。


 はぁ、とため息を吐いた咲桜に、体育祭とは何かを問いかけた。


「体育祭って言うのは、こう…走ったりダンスしたり人が人を担いで帽子を取り合ったり…色々する行事のこと」


 なるほど、体を動かすのが主体となった行事か。そりゃ皆喜ぶ訳だ。


 ん?ということは…


「咲桜もしかして、運動苦手?」


 この行事を嫌がるという事はつまり、そういう事だろう。思えば、咲桜が走っているところを見た事無いし、ずっとベッドに座って本を読んでいるイメージがある。


 その俺の質問に、咲桜は目を細めると、


「気にしてるから、そういう事言わないの。これ『常識』だから」


 と、若干怒りながらそう言った。


 ―――――――――――――――――――――――


 そして、体育の時間─。


「それじゃあ、組体操の練習を始めるぞ〜。皆定位置につけ〜」


 そう指示を出すのは、体育の先生である木山(きやま)先生だ。


 その先生の指示のもと、クラスの背の順(俺が学校に入ってすぐ身体測定というものがあり、その中の身長を基にした並び方)で並ぶ。


 背の順4列で並んだ俺を含めた男子全員は、先生と体育委員の掛け声のもと、『準備体操』を開始。


 それが終わると、先生から授業内容についての説明を受けた。


「では、今年も男子は組体操、女子はダンスに別れて練習する。組体操の内容は去年と殆ど同じだが、忘れている人もいるかもしれないので、一応1つずつ確認しながら練習を行う。」


 そこで1度咳払いを入れ、再び説明続ける。


「それじゃあ左右でペアを作れ。作り終わったら始めるぞ。」


 その言葉を合図に、皆が隣の人と向かい合う。


 が、しかし。


 「あの、すみません」


 俺はあることに気づき、先生に声を掛ける。


「ん?どうした?」


「このクラス奇数なので、僕だけペア組めないんですけど…」


 このクラスは、合計31人で構成されている。


 女子は14人と偶数だが、男子は1(人。ペアを作るのなら、1人溢れてしまう。


 それを聞いた先生は、それじゃあ、と俺を指さし、


「それじゃあお前は前のペアに加わって、そこだけ3人のグループになってくれ。多少人数にズレがあってもいい。」


 そう言って、先生は俺の前のペアを指差す。


 その指示に従って俺は前のペアに近づき、3人のグループを作った。


「あ、あぁ〜、よ、よろしくな」


「よろしく…」


 と、ペアの人が俺に声を掛けてくる。


 その声に聞き覚えがあり、視線を説明している先生から2人に移す。


 その2人を、俺は知っていた。


 クラスの人だから、という訳では無い。こいつらとは、クラスが同じでも話す機会がなかった。


 そう、こいつらは…


「お前ら、咲桜を虐めてた…」


 俺が最初に日本に来た時、初めて会った人間だった。

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