表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
誰か異世界の常識を教えて!  作者: 三六九狐猫
第10章 誕生日の偶然
108/123

第107話 ホワイトデー

 

 一ヶ月後。


 あれから俺は、スマホで日本の行事について調べ、咲桜が隠し事をしても無駄なように知識を蓄えた。


 その結果、今日が先月のバレンタインデーでチョコを貰った人にお礼をする日、『ホワイトデー』なのだということを知った。


 勿論咲桜は何も言わず、素知らぬ振りをしている。


 そうして油断している時に、サッとホワイトデーのお返しを渡す。できるだけスマートに。


 咲桜は俺が何も知らないと思っているだろうから、たいそう驚くことだろう。ふふっ、楽しみだ。



「イュタベラ、笑っとる顔キモイ」



「よし、戦争だ」



 頭の中で咲桜のリアクションを想像していると、真也から罵倒された。隣で行飛も頷いている。二人まとめてかかってこい。


 と、なぜこの二人が一緒にいるかと言うと、冒頭で説明したホワイトデーのお返しを一緒に買いに来たのだ。


 ただし、今回買い物をするのは俺だけじゃない。行飛、そして真也も、バレンタインデーにチョコを貰っていたのである。


 行飛は不特定多数の女子から、そして真也は、なんと想い人の梓から貰ったという。


 しかも、現在付き合っているらしい。最近付き合いが悪かったのはそのせいか。


 よって、今日は三人で仲良くキャッキャウフフしながら買い物を楽しむ。


 談笑しながら街道を歩き、過ぎ行く景色をゆったりと眺める。


 そうして、すっかりお馴染みになったショッピングモールへ着き、中へ入った。


 バレンタインデーの時ほどではないが、店内には微かに甘い香りが漂っている。


 その香りに誘われ、やってきたのは先月と同じく、チョコレートを大々的に取り扱っている店。


 行飛と真也もこの店を気に入っていたようで、満場一致でこの店でホワイトデーでのお返しを買うことが決定した。


 咲桜は手作りのチョコレートをくれたが、俺にはあれほど美味しく作ることが出来る自信が皆無のため、大人しく市販のものを渡すことにした。


 どれがいいか、と悩みに悩んでいると、いつの間にか二人とも買い物が終わったらしく、俺が悩む様を覗いていた。


 俺が視線に気づくと、二人は近づき「まだ悩みよん?」とニヤニヤしながら聞いてきた。こっちは至って真剣なのだが。


 何はともあれ、買い終えた二人に、買うかどうか悩んでいる二つのチョコレートを見せる。



「こっちとこっち、どっちがいいと思う?」



 その質問に、行飛と真也は顔を見合せる。


 そして、二人の意見が一致し、同時に指を指す。


 右手に持った物か、左手に持った物か──。



「いや、そんな凝ったやつやないで、自分で作れよ」



 呆れてそう言う二人は、どちらとも俺を指さしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ