7、後悔
お父さんが帰ってきてからはやっぱりひたすらに泣いた。ティッシュ一箱なくなるんじゃないかってくらい。
この時の私はだいぶ混乱していたんじゃないかな。ただ自分の気持ちの赴くまま酷いこともたくさん言ったと思う。それぐらい、気持ちが荒れていた。
「もー!!なんでなん?!もっと早くわからなかったの?!?!」
「本当に死んじゃうの?」
「お母さん可哀想だよ」
「タバコずっと吸ってるからだよ!」
「なんでもっと早くにわからなかったの」
こんなこと言うんだもん、お父さんをちょっと怒らせちゃったりもした。
……酷いこと言ってごめんね。
たくさんたくさん泣いて、お母さんも泣いて、お父さんはただただ涙を堪えているように見えた。
癌の中でも特に膵臓癌は発見が遅れてしまうことが多いそうで、最短で分かっても3ヶ月から1年前だったそう。
検査もしてもらっていたけれど、ある程度大きな病院でしゃないとわからなかったみたい。
ここすれば良かった、ああすれば良かったと後悔はたくさん出てくるけれど、今更後悔しても遅いのだ。
キッチンには5年前に横浜に遊びに行った時の写真が飾ってある。お父さんとお母さん、ツーショットでにこやかに笑っている写真だ。
これを見てお母さんは、
「この頃にはもう癌になっていたのかな……」
と悲しそうに呟いた。