日記2 そろそろ抗がん剤治療が始まります
お父さんの化学療法(抗がん剤治療)は来週から始まる。今は痛み止めと癌による炎症を抑える薬を飲んでいるけれど、抗がん剤治療により癌そのものを小さくするのだ。
抗がん剤治療は癌を小さくはできるけれど、副作用も強く次第に効かなくなってくるらしい。
「お父さんねー治療始まったら、もうだめだと思うんだ」
お母さんがぽそりと言った。
今は炎症による痛みと薬の副作用が辛いようで、毎日痛みと気持ち悪さとにお父さんは戦っている。
これが、もっと酷くなるのか。
余命は延びるかもしれない。
でも、きっと辛い。
だから痛みあれどまだ日常生活がギリギリ送れるうちに、家族の時間を取ろうと思った。
「抗がん剤治療始まる前にさ、旅行行こ。温泉だとゆっくりできるでしょ?」
もしかしたら、最後になるかもしれないと思ったけど、それは口に出さなかった。
弟とも予定を合わせて、なんとか時間を作った。
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……というわけで、明日は家族旅行に行ってきます。
みんなで楽しんできます!!
《父の容体》(11月9日現在)
比較的痛みはない様子。
今日痛み止めをもらいに行って、1錠飲んでいたものを2錠にかえてもらったそうだ。
逆に薬の副作用である気持ち悪さが強いとのこと。
夜ご飯は生姜焼き1枚、納豆餅2つ、プリン半分。
「今日は調子いい」
と言って食べていたが、後半辛そうに顔をしかめる。
「食べすぎたな……」
と父が唸ると、母は
「〇〇(私の名前)がいるとよく食べるよね」
と少し嬉しそうに言った。