表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/20

4、溢れたもの




「〇〇病院に行ってね、そう言われてきたの。で、今度東京にセカンドオピニオンで別の大きな病院に行ってくる」

「…………!」


鈍器で殴られたみたいな感覚。

キャリーバックが必要っていうのはそういう……!?


「え、いつわかったの?!」

「先週の……火曜日だったかしら。あんたたちが結婚式から帰って次の日」


私と旦那は義兄の結婚式で出かけていたのだ。

その次の日?

もう1週間も前じゃん!!


「なんでもっと早く教えてくれなかったの?」

「運転がおそろかになったら……危ないから……」

「それ、意味わかんないから」


人の心配してる場合じゃないよ……!

そこで母の声色が突然変わった。


「これからだったのに……。やっと一緒にゆっくり過ごせると思ってたのに……。寂しくなる……。私1人になっちゃう……!!あと30年、どうやって生きればいいの……」


まるで母が母じゃないみたいだった。

初めて見る母の姿。

いつもあんなに明るいお母さんが、こんなに……。


母は顔をくしゃくしゃにして大粒の涙をこぼしていた。


そこでやっと、事態の深刻さに気付いた。

気付いてしまった。




「お父さん、、死んじゃうの?」




気づいたら前が何かで覆われていた。

熱くて止め処なく流れてくる。

止まらない止まらない止まらない。


お父さん、、。

あのお父さんが?

癌?



「ばか、じゃん」



目の奥が熱くて、その熱いものは止まらなくて。

ティッシュで押さえつけても間に合いそうになくて。


何度も何度も自分の中で反芻する。

お父さんが、癌……。

まだ飲み込めない。

飲み込みたくない。


あぁ、余命って……?


「ステージは……?」


癌には症状によってステージがあるって聞いたことがある。お父さんのステージはどれくらい……?


「ステージ4……」

「末期じゃん」


まじか。


「もう……1年も生きられないってこと?」

「そう、かな………」



「ばかじゃん」



なんで私は……こんな言葉しか、出ないのだろう。





仕事が終わってからすぐに実家へ帰省。

評価下さった方、ありがとうございました。

お父さんに「お父さんのこと忘れないように、小説書いてる」と伝えたら、「泣いちゃうよ?」と冗談っぽく言っていました。


《父の容体》(11月7日現在)


ソファにもたれかかり、だるそう。

聞くと、背中からお腹にかけて突っ張るように痛みがあるとのこと。

10段階で7くらいの痛み。


食欲は変わらずなく、痛くて食べられないことが殆ど。

食べられるときに少量食べるようにしているそう(母談)。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ