日記5 母の生活
仕事が終わってからすぐに実家に帰った。
週末は母の顔を見に行くようにしている。
お父さんの面会もコロナウイルスの流行のせいで、今まで15分だけ会えていたのが当分中止。
お母さんも相当気持ちが沈んでいる。
それはそうだ。
子育てが終わってからはずっと2人で暮らしていた。
それが今はあんなに広い家に1人で住むのか……。
お母さんは今はパートの仕事も辞めて、1人で家にいる事がほとんどだから、誰とも喋らないしYouTubeで膵臓癌の動画を見るばかりで、気がおかしくなりそうだと言っていた。
ノートにはYouTubeで見たであろう動画の内容を書きまとめた文字の羅列。
難しい用語や、ドクターの名前、薬など……。
「見てどうするの?」
「決まってるでしょ、お父さんが少しでも楽になれる方法を探してるのよ」
ほぼ毎日といっていいくらい、YouTubeで勉強してる。どうしたら、お父さんの力になれるか。どうしたら、お父さんが生きられるか。お母さんはそれをずっと考えている。
「ごくたまにね、癌が消える人もいるんだって!」
お医者さんから言われたごく僅かな可能性を信じている。
その可能性にすがって、頑張っている。
でも、私は思う。
おそらくもって半年。
期待が高すぎるよ、と。
そんなに期待したら、後が辛くなるよ。
覚悟は決めておいた方が良いよ、と。
そんな私もまだ、自分の気持ちに蓋をしているのだと思うけれど、お母さんの前ではせめて強気でいる。
お母さんが少しでも気分転換できるように。
寂しくないように。
1人にならないように。




