8、休憩
家族で予定を合わせて旅行に行くことになった。
遠方にいる弟とは現地待ち合わせで、私たち3人は車で目的の場所まで向かう。
いつもならお父さんが運転するところを、今日はお母さんが運転する。
しかも、ずっと車に乗っているのは辛いので途中途中で休憩を挟みながら。
2時間くらいの距離なのに、
「30分おきで休憩な」
とお父さんは念を押していた。
膵臓は背中の方にあるから、どうしても座っているのが辛いみたい。
たわいもない話をしながら、まずはサービスエリアでちょっと休憩。その後、すぐ近くで滝が見える食堂みたいなお店でお昼ご飯。
お父さんは知っているような素振りで、
「高速道路ができる前はここも流行ってたんだよ」
と教えてくれた。周りを見渡すと確かに、ちょっと昔な感じがしなくもない。
「へー。滝後で見に行く」
チラリと窓から外を見ると崖の下の方に滝が見える。すぐ行けそうな距離だ。
「うん、行っておいでー」
お母さんはコートを忘れてきちゃったから、車でお留守番。
ちなみにお昼に食べたのはおでんとお団子だ。「おいしー」「なかなかうまい」「おでん味がしみてて美味しいわ」となかなかの評判だった。
「また帰り寄って食べましょうね」
とお母さんは嬉しいそうだ。お父さんがいつもより食事を取れているからかな。
食べ終わってから、お父さんと滝を見に行く。
「紅葉でいいな。ここも悪くない」
といつになく弾んでいるような声色だ。
そんなお父さんを写真でパシャリ。
撮れる時はなるべくお父さんの写真を撮るようにしているのだ。……ちゃんと形に残したいし。
そろりそろりと階段を登る時は「気を付けろな」と声をかけてくれた。
降りてから滝の写真もパシャリ。ついでにお父さんももう一枚パシャリ。
お父さんも私にカメラを向けてニヤニヤしながら写真を撮っていた。お父さんが私を撮るなんて珍しい……。
たまに見返したりするのかな……。
そう思ったらなんとも言えない気持ちになった。




