数引けばいいのも当たる?
「なぁ、これって帰還の羽以外でるのか?」
「出る出る。これからだって」
「全部で帰還の羽700個。俺どっかの商人か?」
「無駄に需要あるけどそんなにいらないとこが絶妙だよな」
そういいつつ次のガチャを引いた。
6回目、スモバリーブ・白、ソーネク・黄色。
「おっ、黄色じゃん」
「やっと違うのがきたか」
ソーネクが黄色のカプセルを開けると、1冊の本が出てきた。
「魔導書か、当たりじゃん。で、で、どんな魔導書なんだ?」
「内容は……帰還の書」
帰還の書
MPを消費することで、最後に訪れた街に移動することが可能。
「なぁ?」
「な、なんでしょうか」
たった一言でもわかる、明らかに悲壮感と負の感情が籠った声に思わず敬語で返事を返してしまった。
「今まで出た帰還の羽どうすればいい」
「……後で露店でもするか」
「……そう、だな……」
「で、でも違うのが出てきたし、ここからだよ」
「そう……だな、よし気を取り直していくか」
7回目のガチャボタンを押すと、ソーネク前には青色のカプセルが出現した。
中身は言わずと知れた帰還の羽100個である。
「このクソガチャがぁぁぁ」
「おい暴れるなって、ってこっちに投げるな馬鹿」
それから程なくしてソーネクは落ち着き、ガチャを再開した。
ちなみに俺は薬草300個だった。
ぶっちゃけいらない。
重い空気の中7回目、スモバリーブ・緑、ソーネク・緑。
「これ出てきたのが帰還の指輪とかだったら、絶対このゲームもうやらん」
「流石にそんな装備はないだろ……あっ、一応装備としてあるのな。って落ち込むな、まだ希望はある。……多分」
開けると指輪が出てきた。
「なぁ、引退していいか」
「いやいやいや、まだ決まった訳じゃないだろ」
「そうかな……ん? あれ? 普通の指輪だ」
「よかったじゃん。どんな指輪なんだ?」
「指輪の名前はマティリング、効果は強化又は耐性されている際、その属性バフをプラス10%アップ」
「普通に強くね」
「ああ、てっきり帰還の指輪だと思ってたから、急に強い装備きて戸惑っている」
「この調子なら俺もいいのが、指輪だ。さてさて効果は、おおっ、これは大当たりじゃない?」
アイテムリング
使用者のインベントリの枠数分、追加で枠を拡張
他者からの干渉に影響されない
シリーズ強化補正有
「インベントリの枠数分ってことは元のインベントリの枠数増えたらこっちも増えるのか。それでもって他者から干渉されないってことは無理やり装備を外される心配もないと」
「それでいて他の同シリーズ揃った時、追加補正有ってチート領域じゃね?」
このゲームに限らず大抵のRPGにおいてインベントリ数ってのはかなり重要である。
その枠数増えるだけで狩りのドロップ品を多く拾うことができたり、不測の事態に備えて装備やアイテムを多く揃えとくことができたりする。
その為、ゲームによっては課金でインベントリの数を増やすことができたりもするところもあるほどだ。
「確かにチートレベルだけど、今現在インベントリの数増やす方法って見つかってないんだよな。それにこのシリーズ、100金貨ガチャ専用アイテムみたいだし、揃えるのは難しそうだな」
「そりゃそうだ。これだけの性能を持った装備が簡単に手に入るはずがないだろ。てか、ちゃっかり俺の指輪よりいいの引き当ててムカつくな」
「悔しかったら当てることだな」
「絶対当ててやる」
それから俺達はガチャを再開した。
再開後はソーネクにも帰還の羽以外がでるようになり、順調に装備やアイテムを揃えていった。
いや訂正、時々帰還の羽は出るものの、ほぼ順調に揃っていった。
そして残すは最後の1回となった。
「意外と長かったな」
「流石にこれだけ引いて毎回確認してたら長引くだろ。110万使ったと思うと短いのかもしれないがな」
「こんだけやっててまだ冒険どころか、初期職業すらまだ決めてないもんな」
「早くしないと狩場も人でいっぱいになりそうだし、早く済ませて冒険に行こうぜ」
そして最後のガチャ、現れたのは二人揃って金色だった。
「おっ、金ってことはオンリーワンな何か。最後の最後にいいのでたな」
「お前それ金2つ目だろ。ほかも全体的に引き良かったし、ずるしたな」
「してませーん。純粋な運だよ、運」
「うわぁ、運を強調してる当たり腹立つな」
「まぁそっちも金出てるんだしいいじゃん。どっちから開ける?」
「始めての金だし、先に俺開けるわ」
「おっけ」
ソーネクは慎重にカプセルを捻り開けると、中から輝く白で統一された剣と盾、それと防具一式がでてきた。
「何々、白竜エフィルレイアンの装備一式セット。内容は、なるほどなるほど、これはチートだわ」
「簡単に要約すると?」
「聖属性関連と俊敏性、それと体力が大幅に強化され、この装備を当てた段階で聖騎士の職業を選択取得可能。隠し強化及び能力有り」
「うわっ、何そのチート装備。見た目に反して俊敏力上昇って初見殺しじゃん。しかもただでさえ聖騎士は体力多いのに体力上昇有り。最悪だな」
「はっはっはっ、なんとでも言いやがれ。これは冒険が楽しみになるぞ」
「よし、俺も流れに乗っていいの引くぞ」
金のカプセルを勢いよく開けると、中から一枚の紙が出てきた。
その紙に書かれていた内容に俺達は理解が出来ずにいたのだった。
自分はソシャゲにおいて確率表記されているものは出るまで引けば出現率は100%と思っているタイプの人です。
なので作中ではあえてガチャの中身は完全ランダムって感じにしています。
少しでも面白い、楽しいと思ってもらえたらブックマークや評価して頂けると嬉しいです。
次回は10/12㈪19時頃更新予定です。