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課金とガチャ、時々爆死

 真っ白な視界が戻ると、俺は大聖堂のような場所に立っていた。


「多分ここがリスポーン地点だよな? ってことは広場はこの建物を出て右に進めばいいのか」


 俺は事前情報にあった大まかな街の図面を思い出しながら進んだ。

 広場に向かいながら辺りを見渡すと、あちこちに同時期に始めたであろう人達がいる。

 ある者は体を動かしての自分の性能を確かめていたり、ある者は市場のチェックをしていたりとリリース開始から始めるだけあって皆やる気に満ち溢れていた。


 広場に着くと何人か人がいたが、噴水の塀に座り明らかに人を待っている男性が一人いた。

 明らかに健二が好んで作りそうな見た目である。

 その男性の方に近づくと男性もこちらに気が付き、わかりやすく笑みを浮かべ立ち上がった。


「その姿はもしかしなくてもスモバリーブだな」

「それがわかるってことはソーネクだよな」

「おう、結構時間かかったな。国間違えたんじゃないかと焦ったよ」

「ごめんごめん、見た目考えるのにちょっと時間がかかっちゃて」

「それにしてはどう見てもその見た目、現実の自分を参考にしただろ」

「やっぱりわかる?」

「まぁお前を知ってる人からすればわかる人もいるんじゃないか」

「そうか。失敗したかな」

「そこら辺の人からすれば誰だかわからないだろうし平気だと思うよ」

「それもそうか」

「とりあえず宿行くか」


 俺達は最初にあることをすべく、人に見られることのない宿に向かった。

 初期資金の半分である1000メルをそれぞれ支払い部屋を借りると、すぐさま俺達は画面を開いた。


「よし、しっかりと反映されているから俺はいつでもいけるよ」

「俺の方も問題ないな。よし、じゃやるか」

「「レッツガチャタイム」」



 この世界における通貨は2種類ある。

 1つがゲーム内での通貨をしてしようされる『メル』

 もう1つがゲームとリアルを隔てる通貨『金貨』


 『メル』はゲーム内で使われる通貨である。

 装備やアイテムの売買などに使用する。


 それに対して『金貨』はメルを現金にしたり、ゲームに課金したりする際などに使用する。

 その等価は100円=1金貨=10万メルであるが、等価交換をしようとした場合、交換手数料として10%の金額が上乗せされる。

 つまり現金から金貨、金貨から現金にする場合は110円→1金貨→90円といった感じになる。

 メルの場合、メルから金貨にするには、11万メル→1金貨と交換手数料10%かかるのは変わらない。

 しかし金貨からメルにする場合は少し違く、1金貨→1万メルとなる。

 これはゲーム内通貨のインフレを防ぐ為の予防策で、課金による差を少しでもないようにするためである。


 では課金するのは無駄と言うとそうでもなく、金貨を使用してできることもある。

 その一つがガチャである。

 1金貨、10金貨、100金貨と3種類のガチャがあり、その中身は様々である。

 NPCから買えるアイテムからオンリーワンのユニーク武器、土地の権利など様々な種類がある。



 ガチャ画面を開いている俺達は、二人して悪い笑みを浮かべていた。


「それにしてもリリースされて最初にするのが課金ガチャとは、俺達馬鹿だよな」

「しかもこんだけの金額、普通なら絶対やらん」


 俺は自分の画面に表示されている金貨の枚数を見つつそう言った。

 画面には『金貨 10000枚』と表示されていた。

 そう、俺達はそれぞれ110万円課金したのだった。


「よし、サクッとガチャ引いて冒険に行くか」

「これだけの金額課金してサクッとって言えるお前の度胸に呆れを通り越して尊敬すら感じるが、確かに早く冒険したいし引くか」

「100金貨ガチャ100連チャレンジ、まずは一回目」


 二人同時にボタンを押すと、目の前に白色のカプセルが1つ現れた。


 カプセルの色には意味がある。

 例えば青ならアイテム系、緑なら武器や装備などの装備系など、いくつか種類がある。

 白色はランダムである。


「最初は白か。中身は……強化補正有の槍っと。まずまずの結果だな。健二、じゃなくてソーネクの方はどうだ?」

「帰還の羽100個」

「1万円でそれと考えると、ダメージでかいな」

「ま、まだ99回残ってるから」

「そうだな、次だ次」


 2回目のガチャボタンを押すと、二人とも目の前に青色のカプセルが現れた。


「青はアイテム系だな。中身は風雷魔鉱石20個。そんなに悪くはないな、そっちは」

「帰還の羽100個」

「2連続それはきついな」

「ええい、次だ次」


 3回目、スモバリーブ・黄色、ソーネク・白。


「黄色は魔法関連だっけか。中身は、エリアハイヒールの魔導書。これは当たりだ。いいねこのわくわく感がたまらない。そっちは?」

「帰還の羽100個」

「……うん、次いこうか」


 4回目、スモバリーブ・白、ソーネク・白。


「中身は、おっ光槍の魔導書。いいね。ソーネクは……」

「帰還の羽100個」

「……うん、そんな気がしてた」


 無言の5回目、スモバリーブ・青、ソーネク・青。


「中身は中級ポーション50個。序盤から回復アイテム持ってるのはありだな。そっちは」

「……帰還の羽300個」

「…………」


 流石に何も言えなかった。

少しでも面白い、楽しいと思ってもらえたらブックマークや評価して頂けると嬉しいです。


次回は10/9㈮19時頃更新予定です。

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