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落札金額の理由と買い物

イグナルオンラインのキャンペーンで当たり手に入れたGIWOの参加権利だが、既に俺達は正規の方法で当選した権利を持っていた。

 その為特に持っていても余り意味がないから、話し合ってオークションに出すことにした。

 その結果、GIWOの参加権利は最終的に2674万で落札されたのだった。


「待て待て、オークションは定期的に見るようにしていたが、一週間前の段階ではまだどこも八百万から千万くらいだったぞ。それでも十分やばいと思うが、それがどうしてここまで飛躍した!?」

「四日前の時点でオークションに出店してある権利は俺達だけになってたんだわ。で、その後も出店されなかったから急に金額が伸びたわけよ」

「マジか」

「マジマジ。しかもそれだけでなく、落札途中の履歴を見たら、三日前の夜から一昨日のオークション終了までの間にアメリカ国籍の富豪と思われる3人がどうしても欲しかったのか、落札価格を一気に跳ね上げてヒートアップして競りを行ってたわけよ。んで、その結果が2674万ってわけ」

「なんじゃそりゃ」

「そう思うよな……。金ってあるとこには沢山あるもんなんだな」


 俺は空を見上げつつ、しみじみそう感じたのだった。


「ここまで来ると俺達の運って相当すごいな。もしかして一生分の運を使っちゃったんじゃないか?」

「ありえそうで怖いな」


 GIWOの抽選に二人揃っての当選、イグナルオンラインのキャンペーンに当選、そしてオークションの急激な競りによる相場以上の落札。

 確かに一生分の運を使ったのではと感じてしまう。

 なんとなくそう思うと運がなくなっていく気がした為、俺は無理やり話を変えた。


「話は変わるが、前に一緒に作りに行った銀行口座って健二はまだ親知らない感じ?」

「ああ。まだ親に話してないしバレてもいないよ。のぶの方は?」

「俺もまだ知られてはいない。でもなら良かった」

「何がよかったんだ?」

「本当は確認してからにしようと思ったんだが、今日から休み明けまで振り込みって無理だろ? だから昨日の段階でオークションの落札価格の半分を健二の口座に振り込んじゃったのよ」

「はぁ? つまり、今俺の口座には……」

「そう、落札価格の半分である1337万が入っているはずだよ」


 それを聞き、健二は歩みを止めて茫然としていた。


「どうした?」

「いやな、どう反応していいのかわからなくてね。嬉しいんだけど金額がでかすぎて実感が湧かないって感じ、かな」

「あーね。俺も最初そうだった。とりあえず途中でコンビニにでも寄って確認してくれば?」

「そうするわ」


 それから健二はコンビニに寄り、口座の確認に行った。

 戻ってくる時にあの緩んだ顔を、今にもスキップしそうな歩き方は印象が強く、正直気持ち悪かった。


 しっかりと金額が振り込まれているのが分かった俺達は、当初の予定通り必要な物を買いにスーパーにやってきた。


「そういえば冷蔵庫にはどれくらい入るんだ?」

「旅行行くからってだいぶ中減らしてたから、結構入ると思うよ」

「そっか……あっ、そう言えば言い忘れてたんだけど」

「奇遇だな、俺も丁度健二に言わなきゃと思ってやことがあるんだけど」

「「俺、料理できないわ」」


 俺達の間に気味の悪い沈黙が流れた。

 だがその沈黙は長く続かず、すぐに酷い言い争いが始まった。


「えっ、のぶ料理できないのかよ」

「そう言う健二だって料理できないだろ」

「逆に聞くけど、俺の見た目からして料理できると思うか? 普通思わないだろ」

「開き直るなよ。そこは頑張れよ」

「のぶは家庭科のテストの点数高いんだから料理くらいできるだろ。てかできろ」

「座学と実技を一緒に考えるなよ。馬鹿か」

「なっ、馬鹿って言ったな馬鹿って。馬鹿って言う方が馬鹿なんだ」

「お前は子供かっ!」


 それから俺達は周りの視線などお構いなしに言いたい放題言い合った。

 そしていつしか俺達は膝に手を乗せながら息を切らしていた。


「はぁ、はぁ……なぁ、この話題やめね? 言ってる内に段々俺自身が悲しくなってきたわ」

「そう……だな。できないことを言い争っても無駄なだけだな。で、どうするよ」

「そうだな、とりあえず冷凍食品をいくつか買って、後は最悪出前でいいんじゃね? 幸い今の俺達は懐がだいぶ厚いわけだし」

「大金入った瞬間それかよ。まぁ、作る手間とかかからないしそれでいいか」


 それから俺達は簡単に作れる冷凍食品やカップ麺、飲み物やお菓子なんかを大量にカゴに入れた。


「とりあえずこれだけあれば十分でしょ」

「そうだな、足りなくなったらまた買いにくればいいだろう」


 お昼前だからか、どのレジにも数人の列が出来ていた。

 俺達はその内の一つに並び待っていると、不意に後ろから声をかけられた。


「あれ? もしかしてそこにいるのは信彦と健二じゃん。やっほー」


 振り返ると、そこにはクラスメイトで幼馴染の高山小雪がいた。

少しでも面白い、楽しいと思ってもらえたらブックマークや評価して頂けると嬉しいです。


次回は10/2㈮19時頃更新予定です。

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