懐が厚くなった‼
ニュースが終わると、結姫はソファーにもたれ掛かった。
「クラスの男子達がずっと話している気持ち少しわかったかも。ゲームのことはよくわからないけど、それでも気になるなとは思っちゃった」
「だろ~。結姫ですらそう感じるってことはゲーム好きはもうこのことしか考えられなくなるんじゃないかな」
「それはおにぃの実体験?」
「もちろん」
俺は胸を張った。
「それ自慢になんないし」
そう言いつつ結姫は笑っていた。
それに俺もつられて笑った。
「でもなんかいいな。次回参加のチャンスあったらチャレンジしてみようかな」
「おう、ならもし結姫がプレイするとなった時に教えられるように強くなっておくよ」
「ありがとうおにぃ! もしできたら結姫にゲームで稼げるように教えてね」
「お前可愛げがねーな」
「てへっ」
俺と結姫は二人してまた笑いあった。
「まぁ実際はそんな甘くないと思うよ。換金レートが高いからね。でも全く換金できないわけではないからやりこめば稼げるようになるかもね」
「え~じゃあ無理じゃん」
「諦めるの早いな」
「自分の限界を理解していると言ってほしいね」
「何カッコイイ言葉で誤魔化してんだよ。ただただめんどくさいだけだろ」
「あっ、バレた?」
「その程度でお兄ちゃんを騙せると思うな?」
そしてまた二人揃って笑った。
それから少しして母さんと結姫は旅行に行った。
父さんは途中で母さん達と合流するらしい。
家にいるのが俺一人になったから、とりあえず友人の一人に電話してみた。
すると二コール程で電話に出た。
「もしもし健二、ちゃんと起きてるか?」
『お前と違って起きてるよ』
「そりゃよかった。今から買い出し行くけどどうする?」
『もうそんな時間か。すぐ準備してそっち向かうわ』
「りょーかい。あっ、詳しいことはまた後で話すが例の件、昨日決まったよ」
『本当か!』
「おう、もう健二の分準備できてるから楽しみにしていいぞ」
『マジか、すぐ向かう。全力で向かう』
こっちの返事を聞かずに電話は切れた。
こうゆう時のあいつは言葉通りすぐ来るだろう。
それから10分ほどでチャイムが鳴った。
玄関を開けると、そこには息の切らせて膝に手を置いている健二がいた。
「まじで全力で来たのな」
「そりゃ早くあの話聞きたかったからな」
「そか、ならとりあえず店に向かいながら話すわ。持ってきた荷物はその辺に置いて構わないよ」
「サンキュー」
それから俺達は近くのスーパーに向かいながら色々と話した。
「それにしても本当に家使っていいのか?」
「ああ、家族は旅行に行ったし、ちゃんと許可も取ってあるから平気」
俺と健二は十二時から始まるGIWOを最大限楽しむ為に、俺の家に泊まりながらプレイすることにしたのだった。
「まさか二人ともGIWOに当選するとは思わなかったよ」
「それにプラスしてイグナルオンラインのキャンペーンに倉庫用キャラが当たるしな」
イグナルオンラインは俺達がよく遊んでいるゲームの一つで、GIWOの参加権利が抽選で1名に当たるキャンペーンがやっていた。
俺も健二も既にGIWOの参加権利は正規の抽選で当たっていた為、単なる気まぐれで応募してみた。
すると二人のアイテム倉庫用キャラとして使っていたアカウントが偶々キャンペーンに当たってしまい、余分に一つGIWOの参加権利を手に入れてしまった。
「全く、どんな確率だよって話だよな」
「だが、おかげで懐は厚くなった」
「結局どうなったんだ? 電話で決まったとか言ってたが……」
「昨日全ての手続きが終わって、無事振り込まれたよ」
「おおっ! で、で」
「聞いて驚け、最終落札価格はなんと2674万だ」
「……はぁ?」
「まぁそんな反応になるわな。俺も最初は目を疑ったし」
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次回は9/30㈬19時頃更新予定です。