システム紹介
今回も説明的な感じか多いかもしれません。
「さて、改めまして今日の12時よりリリースされる新作ゲーム『Growing Intelligence World Online -グロウイング インテリジェンス ワールド オンライン-』の詳しい解説を高崎アナにして頂きたいと思います」
「はい、まずこのゲームなのですが既存のゲームと異なる点が大まかに6つあります。細々とした違いも含めると正直この番組の放送枠じゃ全然足りないですね」
高崎アナの軽い冗談で会場内に笑いが起きた。
「そんなわけで今回は大まかとした違いとこのゲームの魅力について紹介したいと思います。まず一つ目は『全世界共通単一ワールド』ってことです」
「全世界共通単一ワールド?」
「はい、そうです。清水アナは普段ゲームなどはやられますか?」
「私は余りやらないですね。やっても短時間で一人でできるまったりとしたゲーム少し触るくらいですね」
清水アナは少し照れ臭そうにそう答えた。
「そうなると余りピンと来ないかもしれません。従来のオンラインゲームではワールド、つまり遊ぶための世界はサーバーごとに分かれていることが多く、他の人と遊ぶとなると一緒のワールドにいないと遊べなかったんですよ」
「それは辛そうですね。うっかり違うワールドでキャラを作ったりしたら……」
「一緒に遊べませんね。遊ぶには同じワールドで誰かがキャラを一から作るしかないです」
「せっかく育てたのを最初からってのはきつそうですね」
「そうなんですよ。もちろん最初から新しく作れるのがいいって人もいますが、大抵の人は嫌ですね。ですが、この『Growing Intelligence World Online -グロウイング インテリジェンス ワールド オンライン-』、通称『GIWO』では世界が一つしかないんです」
「おお、それはいいですね」
「そうなんですよ。これには理由があり、その理由が丁度二つ目の魅力とも関係しているんですよ」
「その魅力とは?」
「ゲーム内にいるNPC一人一人が自立型人工知能を搭載しているってことなんです」
「自立型人工知能といえば14年前に新藤さんが公表したあれですよね」
「そうです。当時は公表しかされなかったあの技術です」
「どんどん進化していく人工知能と触れ合いながら遊べるってのは確かに魅力的ですね。ですが一つ目の魅力との接点があまりない様に感じますが……」
「そんなことはないですよ。新藤さんが世間から姿を消す前に言った宣言は皆さん覚えていますか?」
高崎アナは視聴者にも考える時間を作った。
少しの時間を待ち、答えを言った。
「新藤さんは姿を消す前にこう宣言したのです『人工知能達のみの世界を用意する』と。つまりこの『GIWO』はそもそも人工知能達の為の世界なんです。私たちで例えるとこの地球と同じです。地球が二つも三つもあったらおかしいですもんね。故に世界共通単一ワールドなんです」
「なるほど、そんな意味があったんですね」
「他にも意味はいくつか思いつきますがあくまでも憶測な部分も多い為、今回は説明を省きたいと思います。では3つ目の魅力を紹介したいと思います」
「もう既にだいぶ魅力を感じていますが、まだあと4つもあるんですよね」
「まだまだありますよ。って言っても3つ目は2つ目とほぼ同じようなことなんですけどね。3つ目の魅力は世界構築が全て人工知能によって行われている点です」
「ここでもまた人工知能ですか」
「そうです。本来のゲームであれば運営によりイベントや各ストーリー、その他調整などが行われます。しかしこの『GIWO』ではその全てが人工知能によって管理・運営されます」
「運営と人工知能、この二つではやっていること自体は同じなんでは?」
「やっていることは同じかもしれませんが意味はだいぶことなります。まずは調整ですが運営がするとなるとどうしても対応までに時間がかかってしまいます。その点人工知能であればその都度調整されるため、時間がかかりません。それに人工知能であれば膨大なデーターをすぐに解析、そして複数同時に対応することが可能です」
「なるほど、ゲームをする側としてはやはりすぐ調整される、時間がかからないってのは魅力ですね」
「やはりゲームの調整って難しいですし、時間がかかりますからこれは大助かりです。他にもイベントや各ストーリーなのですが、先ほど人工知能達の世界って言ったのを覚えていますか?」
「はい、言っていましたね」
「つまり、人工知能達にとっては向こうの世界が本物なのです。何かが起こった結果がそのままイベントやストーリーになるんです」
清水アナはわかるようなわからないような表情をした。
それをみた高崎アナは一度考え、例えを出した。
「そうですね、わかりやすく例えるのであれば、埋蔵金あるから地面を掘るのか地面を掘った結果埋蔵金が出るのかですかね」
「わかるようなわからないようなって感じですね」
「前者は埋蔵金がこの付近に埋まっているという情報、つまり運営によるイベント告知があり地面を掘り埋蔵金を出す。それに対して後者は地面を掘った結果埋蔵金が出てくるというイベント起こるってことです」
「ってことは何かを行った結果がイベントとして起こるってことですか?」
「そうゆうことです。何かをした結果イベントとして何かが起こる、それがこのゲームの魅力なのです」
「なるほど、確かに人の手ではできないことですね」
清水アナは納得のいったように深く頷いた。
「だいぶ濃い魅力ですが、これでまだ3つですもんね」
「そうなんです。まだ半分残ってます」
「これは残りの3つも期待しちゃいますね」
「期待していいと思いますよ。4つ目の魅力はゲーム内自動翻訳機能です」
「なんとなくわかりました。このゲームはファンタジーな世界と聞いていますので、エルフやドワーフといった種族の言語を自動で翻訳してくれるってことですね」
清水アナはドヤ顔でそう言った。
「おお、いい線いってますね。ですが半分だけ正解です」
「半分ですか……」
「確かにエルフやドワーフといった人間種とは別の種族も居て違う言語も使う為、それらも翻訳してくれます。ただそれだけではなく、我々の言語も翻訳してくれるのです」
「我々の言語?」
「そうです。一番最初に言いましたよね。この『GIWO』は世界共通単一ワールドだと。つまり日本人以外もプレイしているわけです」
「つまり、アメリカやフランスといった国でもやっている人がいると」
「そうです。そしてゲーム内では別の国の方とも交流ができ、そして自動で翻訳してくれる為会話することが可能なんです」
「それは素晴らしい。他の国の方とスムーズに交流できるのはいいですね」
「なんでも脳の神経と直接やり取りするフルダイブ型だからこそできる技術みたいですね」
「そうなんですか。今後この技術を普及すれば国や距離など関係なく会議などできそうですね」
「もちろん企業などで使うとなるとまだ問題も多いようですが、間違いなく今後期待される技術ではあります」
「今後に期待ですね」
「さて5つ目の魅力ですが、それは現実とゲーム内での時間の進みが違う点です」
「一気に現実離れした話になりましたね」
「そう思うかもしれません。自分も最初は疑いましたからね」
高崎アナは苦笑した。
「ではその詳細ですが、ゲーム内では現実の二分の一の時間速度で進んでいます」
「二分の一の時間経過ですか?」
「そうです。わかりやすく例えるならゲームの世界で一日過ごしても現実世界ではたったの十二時間しか経過していないってことです。逆に現実世界での三十分はゲーム内で一時間にあたるわけです」
「それはなんとも不思議な感じですね」
「これができるのも直接脳とやり取りできているおかげだそうです」
高崎アナは一度言葉を止め、視線を引き付けてからまた話始めた。
「最後の魅力ですが、今まではゲームのシステム面に対して話ましたが、最後は私たちの生活などにも影響のある魅力です」
「ゲームなのに生活に関係あるですか?」
「そうなんです。それはRMTが可能と言うことです」
「RMT?」
「リアルマネートレード(Real Money Trade)、ゲーム内で得たお金を換金することにより現実のお金を得ることができるんです」
「つまりゲーム内で稼いだお金を現実に持っていけるってことですか?」
「そうです。もちろん換金レートなどは高いようですが、元々従来のゲームではありえなかったことです。そもそもRMTは利用規約上ダメなところが多いですから」
「ではどうして『GIWO』では可能なのでしょうか?」
「そうですね、こちらも話すと長くなるのでざっくりと説明しますと、まずはこのゲームは複数のアカウントを作ることができないんです」
「一見デメリットのように思えますが……」
「そうですね、確かにデメリットですが、同時にメリットでもあるんです。先ほどこのゲームは人工知能達の世界ってことを言いましたよね。つまりもう一つの世界なんですよ。なのに中身が同じ人間が複数いたら気持ち悪いじゃないですか」
「確かにその通りですね。現実世界で中身が同じで見た目が違う人が複数いると思うと怖いですね」
清水アナはわざと両手をクロスさせ肩に手を置き震えた。
「それにこのゲームフルダイブ型なので脳と直接電波のやり取りをします。その為アカウントと脳の電波信号をリンクさせているそうなんです。だからキャラを複数作ることも作ったキャラを売ることもできないそうです」
「なるほど確かにデメリットではある反面、ちゃんと考えられているんですね」
「そうなんですよ。単一アカウントのデメリットの代わりのRMT機能ととらえられなくもないです。RMTができる理由の2つ目は、提携企業の多さですね」
「これはまた一気に現実の話にかわりましたね」
「RMTで換金できるのはお金だけじゃないんです。提携企業の商品や特別権利なんかも買えちゃうんです。それも世界各国の企業から」
「それはまたスケールのでかい話ですね」
「それだけ新藤さんは信頼と成果を残しているってことですね。その提携企業からの莫大な利益、そして世界規模の提携による経済の活性、これらによりこのゲームはRMTが可能なのです」
「話の規模がでかすぎて想像がつかないですが、確かに魅力的ですね」
高崎アナはまとめに入った。
「今回は大まかな魅力を6つ紹介しましたが、これ以外にも魅力的な点、これから期待されるであろう点は沢山あります。それらを考えるとこれだけ騒がれているのも納得できるかと思います」
「そうですね、あまりゲームをしない私でもすごく興味が出てやってみたいと思いましたよ」
「私も説明しながら早くやってみたいと考えてましたよ」
「やっぱりそうですよね。ちなみに今日からプレイが出来る人達はもう決まっていますが、次回の抽選や参加方法の詳細は出ているのでしょうか?」
「実はまだ出ていないんです。ですが、リリースから一か月ほどで何かしらの情報でるみたいです」
「一か月後ですか」
「そうです。どうやらリリース後の負荷や各プレイヤーの行動、システム面など諸々を分析して次に活かす為、一か月の程の猶予を設けているみたいです」
「なるほど」
「今後もこの番組では定期的に情報や実際プレイしている方の声なんかも聞いていきたいと思ってます」
「それでは次回またお会いしましょう」
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次回は9/28㈪19時頃更新予定です。