ボス戦 ホブウルフ
「ホブウルフとウルフ10匹か。ウルフは全部任せていいか?」
「後衛職にモンスター任せるのってどうなのよ。まぁいいけど」
「そう言いつつモンスターハウスの時バリバリ一人で狩ってたじゃねーか。それに最悪お前にはあの武器があるから平気だろ」
「そうだけど、できればあれ使いたくないんだよね」
「まぁ使う使わないは自由だけど、殺られだけはするなよ」
「誰に言ってんだか。サクッと倒してそっち援護に行くから、それまで倒されるんじゃねーぞ」
「ぬかせ、誰が殺られるかっての」
いつものように軽口を言い合い、そしてお互いの拳をぶつけ合い、それぞれ行動を開始した。
ソーネクはホブウルフに向かって真っすぐ進み、俺は左に走りつつファイアーボールで牽制を行い注意を引き連れた。
牽制の攻撃でホブウルフ達がこっちに来ようとした所を、タイミングよくソーネクがホブウルフに攻撃を仕掛けた。
攻撃されたホブウルフは前足でソーネクに斬りかかるがそれを盾で防ぎカウンターを仕掛けるが、ホブウルフは素早く後ろに下がり避けた。
それと同時にホブウルフと場所を入れ替わるように取り巻きのウルフ達がソーネクに向かって突進を仕掛けるが、そこにすかさずファイアーボールを叩き込みウルフを数匹吹き飛ばす。
その頃には最初の牽制でこっちにタゲを向けていたウルフ達が来ていたので、地面に向かってウィンドカッターを叩き込み砂埃を起こし、ウルフ達とは逆方向に走り出した。
走っている間もソーネクとホブウルフの戦闘を見て、ウルフが攻撃を仕掛けようとしたタイミングでこっちが先に攻撃を仕掛け妨害し、ホブウルフ以外のタゲを引き連れた。
「よし、これでウルフは全部だな。これ絶対後衛職がやる役割じゃないだろ」
俺は文句を言いつつ後ろから追いかけてくるウルフに魔法を次々当てて、徐々に数を減らしていった。
「俺の方はなんとかなるとして、ソーネクの方はどうだ」
後ろから迫るウルフ達に注意をしたまま、俺はソーネクの方は見た。
ソーネクとホブウルフでは圧倒的にホブウルフの方が素早く、ソーネクを翻弄させるかのようにあちこちから攻撃を仕掛けていたが、ソーネクはそれを全て盾で防いでいた。
余力があれば反撃をするようにもしていたが、あくまでも防御がおろそかにならない範囲での攻撃でしかなかった為、中々ダメージは与えられずにいるようだった。
「これは早く援護に行くようにしなきゃ。ってやべぇ」
いつの間にか1匹のウルフが俺の傍にまで迫っており、突撃してきたがギリギリのところで躱すことができたが、万全の状態での回避ではなかった為、若干怯んでしまった。
その一瞬で他のウルフ達も追いつき、俺はウルフ達に囲まれたのだった。
「あちゃ~、失敗したわ。残りは1、2……全部で5匹か。まぁこれくらいならなんとかなるだろう」
俺の言葉かわかったのかわからなかったのは知らないが、言い終わると同時にウルフ達は攻めてきた。
前から攻めてきたウルフ2体にそれぞれファイアーボールを打ち込み牽制し、その隙に突っ込んでくる左のウルフにウィンドカッターで首を落とし、右のウルフを杖で殴りかかった。
それと同時に後ろから影が現れたので勘で避け、振り向きざまに蹴りを叩き込み吹き飛ばす。
そしてタイミングをずらしたウルフが突っ込んで来るのを杖で防ぎ、カウンターをお見舞いしつつ前足をウィンドカッターで切り落とす。
怯んだ隙に蹴りを入れたウルフにファイアーボールを当てて倒し、残りは3匹。
「残りは杖で片目潰したウルフと、前足を切り落としたウルフ、それとまだ健全なウルフの3匹と。楽勝だな」
俺は口を吊り上げると残りのウルフをサクッと倒し、MPを回復させた後ソーネクの援護に向かった。
「おーい、まだ生きてるかー」
「見りゃわかるだろ。生きてるよ」
「そうかそうか。とりあえずヒールっと。で、どんな感じよ」
「普通のウルフと攻撃パターンは変わらないが、速さと一撃の重さが全然違うな。それにウルフと違って多少考えて行動してやがる。だが多少だ」
「なるほど、りょーかい」
それを聞くと俺はファイアーボール2球出し、ソーネクが退くと同時にソーネク左右ギリギリにファイアーボールを通しホブウルフに目掛けて打ち込んだ。
ソーネクが先ほどまでと同じ行動だと思ったホブウルフは、突然ソーネクの左右ギリギリから通ってきたファイアーボールに対処できずに直撃する。
怯んだホブウルフは一度後ろに下がるが、それを想定していた俺は回避軌道を予測し、ウィンドカッターを当てる。
度重なる予想外の出来事にホブウルフは吠えるが、俺は冷静にファイアーボールをまた2球だし、見えるようにさっきと同じ軌道で打ち込んだ。
ホブウルフはさっき受けたファイアーボールと全く同じ軌道、それも丸見えで自分の方にやってくるファイアーボールを難なく避け、打ち込んだのが俺だとわかると俺に向かって突撃してきた。
その突撃に合わせてファイアーボールを1球だし、打ち込んだ。
丸見えの攻撃など当たるはずもなく、それも避けられ俺に向かって前足を振り落とすが、わざとそうなるようにタイミングを合わせてファイアーボールを打ち込んでいた俺はその攻撃を躱す。
ホブウルフは避けた俺に対して噛みつこうとした。
「いいのかそんな単調な動きをして。さっきまでてめぇの相手していたのは誰だ?」
俺は伝わるはずないがホブウルフに問いかけた。
そして答えはホブウルフの後ろから返ってきた。
「それは俺だぁぁぁ」
ソーネクは求めていない返事を返すと同時に渾身のジャンプ斬りをホブウルフに叩き込んだ。
ホブウルフもソーネクに気が付き避けようとするが気が付くのに遅れた為、まともに攻撃をくらってしまい大きく怯む。
怯んだ隙にソーネクは追い打ちをかけるのではなく、なるべくホブウルフから離れたよう距離を置いた。
「これでお終いだ」
ソーネクの攻撃と同時に戦線から離れた俺はMPポーション飲み、MPを回復させると俺が今打てる最大魔法、炎獄魔弾を打ち込み、直撃させホブウルフを中心に爆発させた。
爆発後、爆心地にホブウルフの姿は無く、微かに白い討伐エフェクトが煌めいていたのだった。
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次回は……来週のどこかには投稿します。