3話 和室
結局、途中で雨が降り、それでも急いで帰る途中あの、苔むした廃墟が気になってしまった。
まずいな、今は洗濯物の方が大事なのに。急いで帰って洗濯物を取り込もう。その後、自分はお風呂へ入ろう。と決意を固めた。
急いで家へ帰るとやはりというべきか、当たり前のように洗濯物が濡れていた。
「あまり乾燥機使いたくないんだよなぁ。面倒くさいから、まぁ、しょうがないか。」
そう言い、やる事をやり終え風呂へ入り、着替えて昼食を食べ、しばらくするとなんだか眠くなってきてしまった。
「まずいなあ、今寝ると変な時間に起きることになるぞ。」
現在の時間は午後の5時。ここで寝るとヤバいことは分かっているのだが、睡魔の波に抗えず寝てしまうのだった。
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目が開き、ボッーとしているとやっと意識が覚醒したのか、動き出せるようになった。
「あ〜、午前1時になってしまった。寝なければよかった。」
ふと、廃墟がある方の窓を覗くと、どうしても和室が気になり行ってみることにした。まるで、おいでおいでと呼んでいるみたいな気さえした。
「あまり夜更かしは、したくないんだけどな。」
光に誘われる蛾のようにふらふらと廃墟へ来てしまった。昨日と同じように中へ入ると昨日とは違い少し暖かさを感じるような気がした。
「よし、和室へ着いた。」
やっぱり和室の空間が歪んでいる。和室を詳しく調べようとしたその時視線を感じた。視線の方を向くと何もいない。
「確かにいたはずだったのに。まぁいいしらべてみるか。」
和室の中へ入りタンスの中を調べると何もなく空っぽだった。今度は空間が歪んでる方へ行くと目の前が白くなっていく。
「どういう事だ!?昼間でもないのに周りが明るい。」
「とりあえず眠ってもらって、連れ去らされてもらおう。恨むなよ。」
突然脳天に衝撃が走った。
ぐらりと視界が暗くなり意識が遠のいていく。
気絶する瞬間、能面のような真っ白い仮面をつけ、黒い髪で長髪の人みたいなのが見えた。