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幻想絵巻  作者: パンドミ
8/31

第六話「魔物」

色々書き直しました。

創作するって難しいもんですね〜

「ライトはやっぱり風属性だったね!」

「うんまあそうだね」


 試した結果。

 ライトは風属性でリズは火属性だった。


「そう言えばさ! ユーリは何属性なの?」

「私は無属性だよ」

「えー! 凄い! レアなやつだ!」

「ふふっ、ありがとう。リズの火の属性だってカッコいいじゃない」


ユーリは柔和な笑みを受かべて答えた。


「そうかなぁ? 何かありきたりじゃない?」

「そんな事ないよ。ね、ソフィア?」

「ああ、特に多い属性というのは聞いたことがないな」

「でも火の魔術なんか村の皆使ってるし……」


リズは自分の属性が気に入ってないようだ。


「……リズは将来の夢とかはあるか?」


そんなリズにソフィアは夢を問い掛けた。

 

「夢? うーん、やっぱり冒険者になりたいなぁ」

「そうか、冒険者と言うのは大体が複数のパーティで動くものだ」

「パーティ?」

「そうだ。同じ目的を持った仲間の事だ。その中でも火属性と言うのは攻撃力が高く、氣功術とも相性がいいからパーティの主力になれる」

「え! そうなの? じゃああたしも強くなれるの?」


ソフィアはリズに微笑み、「もちろん」と答えた。


「だが、やはりそれだけではダメだ」

「?」

「パーティというのはな前線で戦う者、それを援護する者、傷ついた者を回復する者それぞれが機能して初めて強くなれる」

「……」

「自分の属性など関係なく、常に仲間の為に戦う者が本当の強者だ」


リズは真剣な眼差しでソフィアの話を聞いている。

 この世界の人類は魔術と共に進化してきた歴史があり、それゆえに男女の腕力の差は魔術で容易に埋めることができるため地球の価値観とは異なり、戦いの中に身を置く女性が非常に多くいる。


「でもリズはこの村を村長から継いで盛り上げなくちゃいけないだろ?」

「う......はぁ~」

「あの村長この森の中の村を発展させるんだ! って息巻いてるじゃん」


 リズは半ば諦めたようにそれに同意して頷いた。


「そうなんだよねーこの村は大好きなんだけど、ちょっと退屈っていうか、もっと色んな世界を見たいなぁ......お父さんだって昔は冒険者やってたのに......」

「ほう、村長は元冒険者か」


意外だったのか、ソフィアは感嘆とした声を出した。


「うん、そこそこ有名だったって自分では言っているよ」

「冒険者はちょっと怖いけど、色んな所に行けるのがいいね」

「ユーリも一緒にやろうよ! 絶対楽しいよ! あ、ライトも入れてあげてもいいよ?」

「なんでちょっと上からなんだよ。ユーリは将来王女様になるんだから冒険者は無理だろ」

「あ、そうか! 残念......絶対楽しいのに」

「ごめんねリズ、冒険者も楽しいと思うけど、私はこの国をもっと豊かにして、この国の人たちを幸せにするのが私の夢で、それが王家に生まれついた者の務めだと思うから」

「......ユーリは今何歳?」

「え? 10歳だけど......どうしたの急に?」

「いや、偉いな~と思って」

「え、偉くなんかないよ全然! ライトは3つも下なのに全然私より大人っぽいし......」


 ライトは本心で思っていた。前世では30年ほど生きた、だから子供の頃に語った壮大な夢などはたいてい夢のままで終わるという事を知っている。

 それでも、わずか十歳の子供が自分の夢を明確に話す姿は今の自分より余程大人に見えた。



「「「「!!」」」」


 その時、村の方角から、轟音が鳴り響いた。


「な、何? なんの音!?」

「ソフィアさん二人を頼む! 村の様子を見てくる!」


 ライトは轟音を聞くや文字通り風の速さで村に飛んで行った。


「ライト! 待って! あたしも行く!」

「あ! リズ、待って! 一人で行ったら危ないよ!」


 ユーリの制止も虚しく、リズもすっ飛んで行ってしまった。


「ソフィア! 私達も行こう!」

「ああ!」











 村はモンスターに強襲されていた。

そこで一人戦っていたのはリズの父でありアークス村の村長であり元冒険者のカカだった。


「おじさん!」

「ライトか、危ねぇから下がってろ!」


「グルゴオオオオオーー!」


「おじさん、こいつらは?」

「レッドベアとウィンドウルフだな」


「ちっ!」


 会話を続けるライトとカカに赤い毛並みの熊の魔物はゴウッっと口から火弾(ファイヤーボール)撃ち込んできた。


ライトとカカは同時にその場を左右に飛び退いた。


「魔物化してやがる!」


 カカがレッドベアに毒づいている時、強風が緑の毛並みをした狼に集まっていた。


 集まった風は風の刃と化し、カカに猛烈な勢いで襲い掛かった。


「ちっ! ウィンドウルフもか……」


モンスターは本来魔術を使えないが、人を食らい続け年月を経たモンスターは魔力を帯び、魔物と化すことがある。


「おじさん! あれっ!」


 ライトが指差す方向にはもう一体のレッドベアの姿があった。


「……ライト、すまん。……ウィンドウルフは任せていいか?」

「いいよ! 任せて!」

「危ねぇと思ったらすぐに引けよ! いいな!」


 新たなレッドベアの存在を認識したカカは、やむを得ず比較的弱いウィンドウルフをライトに任せた。そのカカの表情は苦く、子供に戦わせなければならない自分の不甲斐なさを恨んでいるようにも見えた。



そして、その場を任されたライトは直ぐさま稲妻を放ったがウィンドウルフはそれを難なく躱し、風の鎧を纏ってライトに向かって突進してきた。

 ライトはそれを上回る速さで突進してきたウィンドウルフの背後を取り、妖力の通った獣の如き爪で胴体を真っ二つにした。






 カカは巨大な戦斧を肩に担ぎ、左手に魔力を巡らせると、バレーボールほどの水球を作り出し、レッドベア(左)に向けて高速で打ち出し、同時に自身も大地を蹴り駆け出した。

 氣功術によって大幅に向上した身体能力に物を言わせ、一瞬でレッドベア(右)に肉薄した。と同時に凄まじい勢いで戦斧を振り下ろした。

 それをレッドベアは飛び退いて躱す。空を切った斬撃はそのまま大地を抉った。


「ストーンブラスト!」


 空振りに見えたカカの攻撃は躱された時の為に二段構えになっていた。

 捲れ上がった土が岩の礫となって二体のレッドベアに襲いかかった。


 レッドベアが飛び退いた方向はもう一体のレッドベア、そうなるようにカカが仕向けた。

 カカの攻撃が決まる瞬間、


「ッ!」


 レッドベアが高熱の炎を吐きストーンブラストを無力化してしまった。


「ファイヤーブレス……魔物化したとはいえ、レッドベアってこんな強かったか?」


 カカは愚痴るように独り言を吐きつつ、油断なくレッドベアを見据えていた。

 その横にスッとライトが降り立った。


「おじさん、二人でやろう」

「……危険だが、頼む!」


「ライト! お父さん!」


 山道から帰ってきたリズがライト達に駆け寄ろうとした時、そばにあった木が突如動き出した。

わさわさと動く根のような足、太い枝のような手、所謂トレントと呼ばれるモンスターだろう、それが頭の部分から触手のような枝を伸ばしリズに襲い掛かった。


「リズ!」


 ライトは即座に稲妻を放つ、直撃はしたがトレントは耐久性が高いのか大したダメージを受けてはいなかった。だがその一瞬でライトはリズとトレントの間にすべ入り込んだ。


「くっ!」

「ライト!」


 リズを庇ったライトは肩から少なくない量の血が流れていた。


「ヒーリング!」


 ユーリの声がすると、突如淡い光に包まれライトは痛みと共に傷が癒えていくの感じた。


「大丈夫? ライト」

「ユーリ、ありがとう助かった」


「ライトこいつは私に任せろ」

「ソフィア、大丈夫?」

「ああ、これでも宮廷魔術師だ、君は村長さんに加勢してくれ」


 ソフィアはそう言うと、両方の掌を上に向けテニスボールほどの大きさの火球を作り出していた。


「わかった! 任せたよ!」


 ライトは全身に小さなスパークを迸らせながら村長の方に飛んで行った。



 触手が凄まじい速度で蛇のようにうねりながらソフィアを襲う。


「フロンスシールド!」


 ユーリはソフィアを包むように半径1mの範囲に球体の結界を展開した。

 ソフィアはユーリの結界の援助を予めわかっていたかのように微動だにせず構えていた。

 触手は結界にぶち当たるとボロボロと朽ち果てるようにくずれていく、

 その隙に火球を撃ち出すとそれを魔力で遠隔操作しトレントの迎撃を躱し直撃させる


「あぁぁ……ぁああ……あぁ!」


 一瞬で業火に包まれたトレントはどこか、切なさを感じる悲鳴をあげながら灰と化していった。





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