プロローグ
処女作です。
完結を目指します。
(ここは……俺は雷に打たれて死んだはず……)
其方の人生は満足でしたか?
(え? あなたは誰ですか?)
私は輪廻を司る転生の女神。
魂を浄化して、次の生へ魂を送るのが仕事です。
(……では、ここは天国とかそう言う場所ですか?)
いいえ、ここは此岸と彼岸の狭間にあるただの空間です。
本来なら魂は彼岸にて浄化され、また輪廻してゆくのです。
(本来なら?)
其方は雷に打たれて死にました。
(……)
その雷の正体は人が雷獣と呼ぶ妖です。
雷獣は人がまだ無知だった頃、雷への恐怖、空への畏怖の念から生じた嵐の化身です。
(妖? 妖怪ってこと?
マジで、そんなのがいんのかよ……)
その力は地上の神々ですら持て余すほどに強大でした。
其方の魂は雷獣の魂を道連れに死に、その時に何故か其方の魂と雷獣の魂が融合してしまったのです。
(何故かって……)
このままでは魂の浄化ができず、其方の魂はこの何もない空間に未来永劫、彷徨い続けることになります。
(そんな……)
この偶然は神々にも予期出来なかったこと
(……神様にも予期出来ないことがあるのですね)
……そこで其方に提案があります。
(なんですか?)
其方にはそのままの魂で転生してもらいます。そして、そこで天寿を全うし満足する死を迎えられれば、魂を浄化でき其方を正しい輪廻へ導く事ができるでしょう。
(天寿……満足する死……)
ただし一度だけです、浄化していない魂は二度の転生には耐えられません。
(……)
提案……とは言いましたが、それ以外に方法はありません。
(人と妖怪が融合した魂……
俺の来世は化け物ですか?)
いいえ、其方は人として転生します。ただし、その身に雷獣の力を宿して生まれることでしょう。
雷獣は人の負の感情より生まれた存在、恐怖や悲しみ、怒りといった感情に心が侵されると雷獣の魂が優位に立ち、其方の自我を喰らい破壊の限りを尽くします。
(ハハッ、十分化け物だ)
そして……詳しくは言いませんが、自然死としての寿命は数百年から数千年。
(……それは……天寿を全うするには、あまりにも長い時間ですね……)
来世の人格に影響を及ばさないように、前世での人格、価値観に関する情報だけ削除します。
そして、一つだけ女神の加護を与えましょう。
(加護?)
其方には三度目の誕生月に黒い宝石を送ります。
それを誰かに飲ますと共に生きられる長き寿命を得る事ができます。
其方の長き人生を共に歩んでくれる者を見つけなさい。
(……)
それ以外は其方の人生、世界に介入する事はありません。
其方の人生に幸多き事を……