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午時葵に抱かれて  作者: 雲雀 聖瑠
一章 一節 ブレスブルク王国 王都ベイランズ
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2夜.手に入れたもの

学園の警備を担当していた騎士に案内され、少し広めの応接室で私たちは各々の保護者を待った。

ブレスブルク国王陛下と王妃。グラン公爵夫妻。フラン公爵夫妻。そしてヘブンリース国王陛下と王妃、+馬鹿王子。

今思うと凄い権力密集地帯。

話し合いは夕方ごろから日付が変わるまで続けられた。


結果としては、あの馬鹿王子の提案が受理されることとなった。

あれだけの騒動の後だ、もうアリシア王女とユールラテス殿下の結婚は絶望的だろう。相手がヘブンリースなら尚更。

時と場合によっては不倫罪に死刑があてられることもある国だ。表立って二心を暴露したからにはヘブンリースの心証は最悪の一択。


というわけで、私の婚約者は浮気男から鉄仮面男へと変わったのでした。

意外だったのがこれを承諾したヘブンリース側の対応だ。

というより国王のあの様子からすると王位継承の問題の種を外に出したいのだろう。


ヘブンリース、というよりユールラテス殿下が婚約にあたり要求してきた条件は三つ。

1つ、籍はブレスブルク王国とし、爵位として公爵を得る。

2つ、王都より離れた領地を得る。

3つ、姓は新たに、「テランリース」とする。


1つ目は妥当なところだ。他国とはいえ王家の血を引くものの爵位としては。

2つ目は、彼らを拒絶したいが故だと思った。浮気をされた上に公衆の面前で、自国の王子が醜態をさらしたのだ。もう社交界からも遠のきたいのかもしれない。

3つ目は両国に波紋を生むことになった。

ブレスブルクでは、「ラン」の名を姓に刻むことは王位継承権を意味するからだ。「リース」の名に関してもヘブンリースでは同様だ。もっともあの国は分家というものがないのだが。


両国国王からそれぞれ反対があった。つけるならせめて「ラン」と「リース」どちらか一方にしろと。そうしたら彼は、


「この誓約は世界の安寧の成就と同時に両国の和平の象徴でもある。文句があるのならこの話は無効といたしましょう。

ですが勇者の血はともかく、救世主の血は私しか引いていない。その意味がお分かりにならないわけではありますまい」


その一言ですべてが片付いた。


その後、私は彼にエスコートされ、二人で話す場面があった。


「殿下は、此度のことをどうお考えで?」


「好都合、はお互い様といったところですよ」


彼の言葉に私は口端を釣り上げた。


そう、今回のことは私にとって好都合なのだ。

ブレスブルクには王位にしろ貴族の家にしろ女性の相続権はない。

私の父は、私や妹に政治の知識を叩き込んでくれたが、それが国政にしろ、領地運営にしろ、女性の活躍できる場はないのだ。

私は、こう見えて野心家だ。

地位はどこまでも上に行きたい。現王家にはアリシア王女以外の子供はいないから、もし彼女と配偶者に何かあれば継承権は「ラン」の名をもつ公爵家から選ばれることになる。

もしも偶然、王女に何かあったときのため、女王就任のための法改正の地盤固めや他の公爵家への根回しを行ってきた。

だが、今回もっと簡単に女王になる術が見つかったのだ。


「頑張りましょうね。独立に向けて」


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