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ブラックミスト  作者: 蘭夢
3/19

パラレルワールド?


……………………………



音が聞こえる?


ガーン、ガーンって、響くような音。


瞼から光を感じる?

どこか明るい所にいるような…

陽の当たる所?

朝なのかな?



「う…ぅ…」



目を開けようとしているんだけど、瞼が重くて全然開かない……というか、眩しいんだ。薄目にすると光の衝撃を感じる。



「おはよう。」



声がした…誰か居るの?

ここは?…家の中なの?

僕…どうしたんだっけ?


意識が誰かの声に反応すると、瞼がだんだん軽くなってきた。光の衝撃も気にならず、少しずつ周りの様子が明らかになっていく。



「あれ?」



ここは…お母さんの部屋だ。でも、何かいつもと雰囲気が違う。


…そうか、綺麗に片付いているんだ。


片付いている?

以前は、そうだったような…


何だか…よく分からないけど、お母さんのベッドに寝かせてもらえているみたい。ということは、目の前にいる女性はお母さん?


変だな…お母さんの顔がぼんやりとしていて、よく分からない。



「痛たた…」



少し動いただけなのに、体のあちこちが痛くてびっくりした。きっと、昨夜もあの人に酷い暴行を受けて気絶したんだろう。記憶が曖昧なのは、そのせいに違いない。



「今日は、学校に行くの?」



学校?!



「か、体が痛いから。」


「そうね……痛そうね。」



学校には確か、1週間か随分行ってない…と思ったけど。お母さんから学校の話があるとは思わなかったな。そもそも、僕に関心があったなんて…



「お腹空いたでしょ?お味噌汁と玉子焼き作ったから、食べたら?」


「作ったの?…朝ご飯?」


「そうよ、変な子。持ってきてあげる。」



変なのはお母さんだよ…もう何年もご飯作ってないじゃないか!


やっぱり、この世界はおかしい。

家なのに、家じゃない!


パラレルワールド?



「召し上がれ。」



お母さんじゃないかもしれないけど、目の前には白米とお味噌汁と玉子焼きがあって、それを見たら何も考えられなくなってしまった。



「痛!」



ダメだ…体を動かすと激痛がする。



「ごめんなさい。体が痛くて、起き上がれないんです。」


「そう…でも、体力をつけないと乗り越えられないわ。これなら、どうかしら?」



乗り越える?…何を?



「…わあ!」



あれ?起きれた…でも、腰から下の感覚が全くないし、腕は痺れて動かせない。



「少しずつ、運ぶわね?ゆっくりでいいから…食べましょう。」


「あ、ありがとうございます。」



お母さんのような人?…ぼんやりとした顔の表情から、穏やかな優しさを感じる。



「いただき…ます。」



僕を支える手が、優しくて温かくて…

お母さんかどうかというよりも、人の温もりが嬉しくて…


忘れていた…人って、温かいんだな。


涙のせいか、何もかもがしょっぱい味だったけど、この幸せな時間がもっと続きますように…



………………………………………………



「ご馳走さまでした。」



口の中も痛くて、あまり食べられなかった。



「お母さん、ありがとう。」


「どういたしまして。」



否定しなかった?お母さんで…いいの?


ぼんやりとした顔の表情が、何となく笑顔だったような…

でも、何でこんなにもぼんやりとしているんだろう。



ドクンッ─



あれ?


急に…眠くなってきた…


体が揺れて…いる?



ドクンッドクンッ───ドクンッ─ドクンッ──



「ダメよ!!」



…え?



「寝てはダメよ!」


「え?」


「まだよ!あの御方と話をするまでは、眠ってはいけないの!」



あの御方?誰かいるの?

お母さんが向かった先には、確かに誰かがいるように見える。背が高くて黒っぽい人影が、段々お母さんと近づいて来るのが分かる。


まさか……



「お、お父さん…?」



ああ… また殴られる… 嫌だ!

逃げたいけど体が動かない…



「ごめんなさい… ごめんなさい… ごめんなさい… 」



来ないで………



「君は何故、謝っているんだい?」



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