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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ここは願いが叶う世界

作者: アルタイル

ここは願いが叶う世界。

人が心から願い事をすると

それがどんな事であれ

叶ってしまう奇跡の世界。


今日は初めての願い事。

人々はこう願いました。

「私は死にたくありません」


この世界の人々は

死なない身体になってしまいました。

怪我をしてもすぐ治り、病気はそもそもかかりません。


人々は死なない身体になったけれど

寝たきりで死なないおじいちゃんとおばあちゃんを見て

次の願いを思います。

「私は老いたくありません」


この世界の人々は

老いず死なない身体になってしまいました。

おじいちゃんもおばあちゃんも若い頃のピチピチの身体です。


人々は老いず死なない身体になったけれど

人口が増えすぎて

食料が足りなくなりました

今日も人々は願います。

「私は飢えたくありません」


人々は人の身体を食べる事が出来るようになりました。死なない身体、回復する怪我、食料はいくらでもあります。


人々は回復するけれど

食べられるのはとても痛いです。

そこで今日もまたまた願います。

「私は痛みを感じたくありません」


人々は痛みを感じなくなりました。痛みどころか苦しみも。身体の痛みだけでなく、心の痛みも痛くない。


するとどうした事でしょう。

人々は願い事をしなくなりました。


願い事どころか

人々は何も考えなくなったのです。


今日も自分の身体をむしゃむしゃ。人の身体をむしゃむしゃ。何も考えずにただそれだけをやっています。


あぁ、私はまた間違えた。


世界を作るのは難しいなぁ。


次の世界では上手くやろう。


そう思い、願いの叶うこの世界で、願いを叶えるのを辞めました。


こんな誰かの気まぐれで、世界は永遠の平和を手に入れたのです。

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