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第18話『おっさん、奴隷商館へ行く ジ・アザーサイド 後編』

 天帝に直接刃を向け、弓を引いたものは大逆により例外なく死罪となり、その罪は本人にとどまらず一族にも波及する。

 そして天網監察などの天帝直下の組織に逆らうこともまた大逆となり、一族に及ぶということはないが、本人は死罪となる……、一応は。

 

 しかし実際のところ、天帝に対する明確な叛意がないものをそうホイホイと死罪にするということはない。

 一応拘束し、事情を聞き、大抵の場合は犯罪奴隷などに落とすといったあたりでお茶を濁すのが通例である。

 

 マーガレットらの前に立ちはだかったゴロツキ連中にしたってそうだ。

 リーダー格の3人くらいは見せしめに死罪となる可能性は高いが、他の者については重くて終身犯罪奴隷、軽ければ期限付きの犯罪奴隷となるか、場合によっては労役や罰金で済まされる者もいるだろう。

 

 ――だが、いま目の前に広がる光景はなにか。


 歯向かう者は首を飛ばされ、立ち尽くす者は燃やされ、逃げる者は射抜かれる。

 『天監に逆らうものは大逆であり、大逆犯は例外なく死罪』という建前を理由に、マーガレットは3人の冒険者によって繰り広げられる惨劇をただ傍観していた。

 

「うまく踊らされたのかもしれんなぁ」

「え……?」

 

 マーガレットの傍らで、おなじく呆然と立ち尽くしていた憲兵隊長のドラモントがぼそりと呟いた。

 

「中の奴らは、我らに歯向かうつもりがあったのだろうか?」

 

 あのまま迅速な投降を促していれば、案外ランバルグ商会の連中は投降に応じたかもしれない。

 抵抗の意思さえ見えないのであれば、いくらヘタレ憲兵とは言え拘束くらいはできるだろう。

 そして拘束のため商会の敷地に入っていれば、門を閉めてゴロツキ連中をやり過ごせたかもしれない。

 

「ありもしない危険を告げられ、恐怖心を煽られたのかもしれん」

 

 屋敷の連中が歯向かってきたら? それは実戦経験に乏しい憲兵にとって悪夢でしかないだろう。

 

「あの3人の事情は知っているかな?」

「はい。長く山賊に囚われていたと……」

 

 行動をともにする以上身辺調査は必須であり、憲兵や天監であればその程度のことを調べ上げるのは容易い。

 そして今回の件は彼女らを監禁していた山賊団『森の野狼』と直接関わりのあるものである。

 復讐心から暴走する危険性はあったのだが……。

 

「メリダという弓使い。あの者がいれば暴走はないと思っていたが、どうやら見誤っていたらしい」

 

 直情型のシーラをメリダが窘め、ライリーは黙ってついていく。

 短時間であれシーラたち3人と付き合えば、このパーティがそういった役割を元に成り立っているというのはすぐに分かるだろう。

 実際、軽い打ち合わせをした程度の仲であるマーガレットとドラモントもそう判断したし、その評価は概ね間違っていない。

 ただし、山賊を始め盗賊の類に対する恨みの深さに差異はないのだということを、彼らは見落としていた。

 今回のように、天帝のお墨付きを得たうえで犯罪組織を撃滅できるような機会を逃すほど、シーラはもちろんメリダもライリーも甘くはないのだ。

 

「結局、ひとり残らず殺し尽くしたか……。よかったのか? 黙って見ているだけで」

「……まぁ、法的に問題はありませんし、正直あの状態の彼女らを止める度胸は私にはありませんね」

 

 マーガレットはまだ少し青ざめたまま、ドラモントに対してわざとらしく肩をすくめた。

 

「ヘタレ憲兵どもー! 後始末くらいはやってくれるんだろうねぇっ!?」

 

 死体の転がる中に立つシーラが、野次馬に紛れて怯える憲兵隊を叱咤する。

 

「は……、はいぃっ!!」

「すぐ行きます!! だから殺さないで……」

「なんでもやります!! お姉さまっ! こき使ってくださいませぇっ!!」

 

 シーラの言葉を皮切りに、憲兵たちは動き始めた。

 中には腰が抜けて立ち上がれない者もいたが、半数ほどはのそのそと動き始めた。

 そしてごく少数であるが、シーラたちに熱のこもった視線を向け、キビキビと動く者もいた。

 

 シーラたちが戦い始めると、野次馬の大半は恐れをなしてこの場を逃げ去っていた。

 残った者も多くは怯えており、気分を害して胸を押さえたり嘔吐したりしていた。

 しかし憲兵同様、畏敬や憧憬の眼差しを向ける者も少数だが存在した。

 

「ん?」

 

 そんな野次馬の中から、ひとりの少女がふらふらと歩み出し、シーラの前に出てきた。

 

「どうしたんだい?」

 

 ボサボサの髪に着崩れた服装、肌も少し荒れているその少女だが、きちんと身だしなみを整えればそれなりの美人に見えるだろう。

 少女は虚ろな目をシーラに向けたまま、無言で立ち尽くした。

 

「ちょ、姉さんっ! ……あの、すいませんっ!!」

 

 人垣から少年が駆け出し、少女の肩を抱いてシーラに頭を下げた。

 

「な、なにやってんの姉さん!! あっち行くよ!?」

 

 ちらちらとシーラを見る少年の目には怯えがあり、早くこの場を去ろうとしているようだが、少女は根が生えたように動こうとしない。

 

「あ……」

 

 ずっと黙っていた少女の口が開き、小さな声が漏れる。

 

「え……?」

 

 そのことに、少年は驚き、目を見開いて固まった。

 

「あり……が、とう……」

 

 そして少女はシーラに向かってひと言だけそう言うと、再び口を閉じてしまった。

 

「あー……なにがなんだかよくわかんないんだけど?」

 

 突然礼を言われたシーラは、困ったように頭を掻いた。

 少年は姉が喋った驚きからか、あるいは少しマヌケなシーラの姿を見たせいか、彼女に対する恐怖が少しだけ和らぎ、視線を泳がせながら口を開いた。

 

「えっと、その……姉さんは……あの連中に、ひどい目に、あわされて……。それ以来、ひと言も喋らず、ただぼんやりしてるばかりで……」

「そうかい……」

 

 少女に歩み寄ろうとしたシーラだったが、ふと返り血まみれの身体を見て踏みとどまった。

 しかし次の瞬間、彼女は淡い光に包まれ、身体中にまとわりついていた血糊がきれいさっぱりなくなった。

 ふと視線を動かすと、その先でライリーが杖を掲げており、シーラと目が合うと小さく頷いた。

 

「おいで」

 

 優しく言いながら、シーラは少女を抱き寄せた。

 

「あたしらもね、おんなじだよ」

「え?」

 

 シーラの言葉に思わず声を漏らしたのは少年のほうだったが、少女も無言のままピクリと眉を上げていた。

 

「ろくでもない連中にとっ捕まって、散々な目に遭わされたのさ」

 

 だが、とシーラは思う。

 自分たちには敏樹がおり、ロロアがいた。

 そして共に苦しみを分かち合う仲間がいる。

 この少女はどうだろうか?

 

「あたしはシーラ」

 

 シーラは抱擁を解き、少女の肩に手を置いて彼女の目を見た。

 少女の虚ろな瞳には、心なしか光が戻っているように見える。

 

「あっちの背の高いのがメリダで、ちっこいのがライリー」

「ん、ちっこい言うな」

 

 憲兵に指示を出しているメリダにシーラの声は聞こえなかったが、少し近い位置にいたライリーには聞こえたのだろう。

 シーラはライリーのほうちらっとだけ見て軽く舌を出すと、すぐ少女に向き直った。

 

「あたしらは普段ヘイダの町で冒険者をやってるんだけど、ここにも結構来るからさ。会いたくなったらいつでも来なよ」

 

 自分には敏樹のような能力もなければ、ロロアのような包容力もない。

 だから彼らの真似事をするつもりもない。

 でも、似たような経験はあるのだから、話くらいは聞いてやれるんじゃないだろうか。

 それがこの少女に役立つのなら、少しくらいは意味があるのかもしれない。

 シーラの言葉に、少女は小さく頷いたように見えた。

 

「さ、あたしらはまだやることがあるから、こんなとこにいないでさっさと帰んな」

 

 先程まで頑として動こうとしなかった少女だったが、シーラの言葉を受けたおかげか、弟に促されこの場を去っていった。

 

「あの、ありがとうございました!」

 

 去り際に一度立ち止まった少年は、振り返って深々と頭を下げた。

 間もなく少年は、姉を連れて人垣にまぎれていった。

 

「おつかれさまでした」

 

 背後からかけられたマーガレットの声に、シーラは振り向く。

 

「しかし、少々やり過ぎでは?」

 

 シーラに向けたマーガレットの言葉や表情には、呆れつつもどこか責めるような色が含まれていた。

 

「そうかい? 何か問題でもあったかねぇ」

「いいえ。しかし、ためらいはないのですか? 犯罪者とは言えこれだけの人間をひとり残らず……」

「はんっ!」

 

 シーラは馬鹿にしたような声を上げる。

 

「あたしらにとって、こいつらはただの討伐対象さ」

 

 そして嘲笑を口元に浮かべながらも、無表情に近い視線をマーガレットに向ける。

 

「ゴブリンを仕留めるのにいちいちためらってちゃあ、冒険者なんてやってらんないよ」

「…………」

 

 それが冒険者特有の考え方なのか、あるいは彼女の個人的な価値観に基づく言葉なのかはわからないが、マーガレットはなにも言い返せなかった。

 

「こういう連中でも、一応このあたりの秩序を保つのに役立っていたんだがなぁ……。これから荒れるぞ……」

 

 シーラへと近づきながら、ドラモントは独り言のように、しかし明らかに彼女の耳に届くことがわかったうえでそう呟く。

 

「知ったこっちゃないねぇ!」

 

 そんなドラモントに対し、シーラは鋭い視線をぶつけて吐き捨てる。

 

「そもそも街の秩序を護るのは憲兵の役目だろうが。自分たちの無能っぷりを棚に上げて文句ばっか言ってんじゃないよ!」

「む……しかしだなぁ」

「どういう理由があるか知らないけど、あんたらがこういう連中を野放しにしてることで辛いに目に遭う人がいるってことを、ちったぁわかってんのかい!?」

 

 そこでシーラは先程の姉弟が消えていったあたりをちらりと見る。

 

「討伐対象を倒すのがあたしら冒険者の仕事だ。そのあとのことはあんたらお役人の仕事だろうが!!」

 

 シーラは叫び、ドラモントとマーガレットを交互に睨みつけた。

 

「大体あんたらが最初っから真面目に仕事してりゃあ、こうなる前になんとかできたんじゃないのかい!?」

 

 そう言ってシーラが指差した先には、メリダの指示のもと、憲兵たちの手で積み上げられた死体の山ができつつあった。

 

**********

 

「な、なぁ……どうなってると思う?」

「さぁ……。静かになって結構な時間が経つけどなぁ……」

 

 詰め所の近くで、警備兵と用心棒が不安げに話していた。

 他の人員も少しばかり門に近い場所に移動している。

 門を閉じたあと、しばらくは戦いのものと思われる騒音が鳴り続けていたが、徐々にそれも静まっていった。

 やがて喧騒がやみ、日常的なレベルの物音は聞こえるものの、なにが起こっているのか、門が閉ざされた壁の内側からは窺い知ることができなかった。

 

「っつか、中から誰も出てこないってのも変だよなぁ……」

 

 少し前まではかなり騒がしく、中にいるドレイクらの耳にも届きそうなものではあるが、会長はおろか、メイド部隊すら姿を見せないのは異常である。

 何人かを商館に向かわせたが、ドレイクらの姿は発見できなかった。

 

「お、おい!」

 

 だれかが声を上げ、指をさす。

 その先には、なにかが放物線を描いて投げ込まれ、まもなくドサリと地面に落ちた。

 商館の者たちが遠巻きに見守る中、警備兵と用心棒は恐る恐るそれに近づいていった。

 

「こ、これは……!?」

 

 それは外にいるゴロツキ集団の、ボスの首だった。

 

「大逆犯は無事鎮圧されました! もう心配はいりませんので、門を開けてください!!」

 

 壁の向こうからマーガレットの声が響いてきた。

 

(あの集団を鎮圧したとなると、憲兵隊にも多少の被害が出ているに違いない)

 

 警備兵はそう考えた。

 であれば、こちらは恭順の意志を示して連中を誘い込み、返り討ちにできるのではないか?

 

「いいか? 外の連中が弱っていたら、なんとか誘い込んでとりあえず拘束しよう。あとは旦那様に相談するしかないな」

 

 外に聞こえないようその場にいた人員に指示を出し、警備兵は詰め所に戻って門を開けた。

 そして開いた門の向こうには、50ほどの死体が積み上げられていた。

 

「これが大逆犯の末路です」

 

 ゴロツキどもの死体はメリダの指示で、門からよく見える位置に積み上げられていた。

 そして中の者が死体の山を見て恐れ、固まっている所にマーガレットは歩み出た。

 シーラたちのやりように納得したわけではないが、せっかく出来上がった状況を利用しない手はないと思ったのだろう。

 いまは任務を遂行することが最優先であり、そのために思考を切り替えるくらいのことはできるのだ。

 

「改めて命じます」

 

 やがてゾロゾロと憲兵たちもマーガレットのうしろに並び始める。

 数が減っているようには見えず、死体の処理で血まみれになった彼らの表情は、さきほどよりも引き締まっているように思えた。

 まぁ、大半は引き締まるというよりも引きつっていたのだが。

 

「いますぐ武器を捨てて投降しなさい。さもなくば――」

 

 マーガレットが言い終える前に、その場にいた全員が武器を捨てて両手を上げた。

 

**********

 

 その後しばらく敏樹らは商都にとどまり続けた。

 というのも、崩壊したランバルグ商会の引き継ぎに時間がかかったからである。

 多方面に手を伸ばしていた王国随一の商会が、いきなり沈黙することによる経済的な損失は計り知れない。

 事前に準備をしていたドハティ商会がその後釜に座ったものの、そう円滑に事が運ぶわけではないのだ。

 多くの商売敵に旨味を持たせて業務を分散させつつ、ドハティ商会もきっちり恩恵に与る。

 クレイグとファランが中心となって奔走し、ひと月ほどで混乱はある程度の収束を見せ始めたのだった。

 

「しっかしまぁ奴隷の数がすっごく多くて大変なんだよねー」

 

 ある日の午後、敏樹はクレイグ、ファラン父娘と昼食をともにしていた。

 世間話をしながら気を紛らわそうとするのだが、どうしても仕事の愚痴が出てしまうのは仕方がないのだろう。

 

「元々ランバルグ商会は奴隷商から成り上がった存在ですからな。そこに最も力を入れていたのですよ」

 

 結局ドハティ商会が業務としてランバルグ商会から引き継いだのは、奴隷売買のみとなった。

 それ以外の権利は他の商人へと振り分けたのだが、資産のほとんどを受け継ぐことができたので、いまのところ大きな黒字ではある。

 しかし奴隷商の経験がないドハティ商会では、いまだ正式な商売を始めるに至っておらず、奴隷というのは維持するだけでもかなりのコストがかかるので、もたもたしているとあっという間に赤字になってしまうだろう。

 なにせ商品といっても奴隷は人なのだ。

 維持するということは、人を養うことと同義なのである。

 そして人である以上、引き取られた先で奴隷が不幸になるというのも寝覚めが悪い。

 なので、引き継ぎ前に決まっていた取引分に関してだが、敏樹の『情報閲覧』で相手の素性を探り、問題なしと判断した者とだけ取引を済ませていた。

 

「奴隷に関してですが、俺にひとつプランがありまして……」

 

 敏樹はそのプランとやらについて、ドハティ父娘に話して聞かせた。

 

「えー、それって需要あるのー?」

「いや、素晴らしいプランだ!! 大当たり間違いなしですよ!!」

 

 と、父娘の意見は対立したが、それに関しては敏樹の予想通りだった。

 

「まぁ、俺も大雑把にしかわかってないんで、専門的な知識を手に入れてからの話になりますがね」

 

 敏樹はそう言うと、用意されたナプキンで口元を拭き、立ち上がった。

 

「それで、商売のほうはだいぶ落ち着いたんですよね?」

「ええ。おかげさまで」

「すっごく大変だったけどねー」

 

 疲れたような声を漏らすファランに、敏樹は微笑みかけた。

 

「よくがんばったな。ってことで、ファランにご褒美をあげたいんですが?」

 

 敏樹がクレイグを見てそう言うと、ファランは勢い良く立ち上がった。

 

「ご褒美!? なに? なにくれるの!?」

 

 そしてキラキラとした視線を敏樹に向ける。

 

「これファラン、落ち着きなさい」

 

 クレイグは娘を窘めつつも、嬉しそうに口元を綻ばせる。

 

「いつも気を使ってくださって申し訳ないですな。ただ、この子はトシキ殿がくれるものであれば何でも喜びますから、私からもお願いします」

 

 そう言って頭を下げる父親の姿に、ファランは口をとがらせた。

 

「むー、なんでもいいってわけじゃないんだけどなー」

 

 そうは言うが、嬉しそうな雰囲気はごまかせないようである。

 

「はは。じゃあ慰安旅行なんてどうかな?」

「旅行!? どこどこ? どこにいくのさ!?」

「ふふ……」

 

 父親の言うとおり、敏樹の提案に尻尾を振る勢いではしゃぐ娘の姿に、クレイグは少しばかり呆れながら笑みを漏らしたのだが、ファランは気づかなかった。

 

「温泉とかどうよ?」

「温泉!? 行くー!!」

 

 ファランはその場で飛び上がって喜んだ。

 

「シーラたちも頑張ったからさ。みんなで行こうか」

「みんなで!? やったー!!」

 

 そう言ってファランは敏樹に飛びついてきた。

 

「ちょ、おいおい……」

「んふふー! じゃあさっそくみんなのとこへ行こー!!」

 

 抱きついたあと、ファランは敏樹の腕を取って歩き始めた。

 

「はやくはやくー!」

 

 敏樹はファランに引っ張られるままよたよたと数歩歩き、振り返ってクレイグを見た。

 

「よろしくお願いします」

 

 クレイグは笑みをたたえたまま頭を下げ、敏樹も軽くお辞儀を返す。

 

「ほらほらー! みんな待ってるから行くよ―!!」

「いや、まだみんなには言ってないから」

「細かいことはいいの!」

「はいはい」

「じゃ、いってきまーす!!」

 

 ファランは食堂のドアを勢いよく開け、敏樹を引っ張って出ていった。

 

「いってらっしゃい」

 

 ふたりが出ていき、開けっ放しとなった扉を見ながら、クレイグは笑みをたたえたまま穏やかに呟くのだった。


第七章終了

次回からの第八章はほのぼの日常編です。


挿絵(By みてみん)

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