日常
『瑛斗』
誰だ俺の名前を呼んでるのは…
「あ…にき…?」
『瑛人』
なんでそんな幸せそうに見つめるんだよ…
『瑛人』
辞めろ…そんな目で見つめんな…
「朱熹…兄…」
『瑛人』
頭を撫でられてついつい口元が緩む
『瑛人…』
「は?ちょっ…行くな!」
『瑛人…』
「兄ちゃん!」
目を覚ますとびっくりした顔の兄貴がいた
「朱熹…兄…?」
「ん?どうしたの?」
「朱熹兄…!」
俺は朱熹兄に抱きついた
「え〜?どうしたの?瑛君」
…ん?俺何してんだ?
「わぁ、瑛君が積極的だぁ〜」
「不法侵入してんじゃねぇよ。」
「酷い…」
素早く離れてあれは夢だったと痛感する
「瑛ちゃん起きてるにゃ?」
「…何。」
「うっ…ちょっと最近困った事があるにゃ…」
「困った事?」
「にゃ…最近付けられてるみたいだにゃ」
「は?それで?」
「守ってほしいにゃ…」
「ふぅん…どうしてほしいの」
「学校に…」
ずっと下を向いていて表情が見えない
「琴音、顔あげろ」
そう言えば最近琴音は表情が暗いとは思っていたが蒼白になっていた
「…いいよ。琴音」
「ほんとかにゃ!?」
「その代わり俺から離れるなよ。」
「分かってるにゃ!」
「…これやる」
「わぁ!可愛いクマにゃ!」
「かばんにぶら下げろ」
「分かったにゃ!」
「明日、迎えに来い」
「ありがとうにゃ!」
抱き着いてくる琴音
「幼馴染みだろ?」
「小さい頃から変わってないにゃ!」
「はいはい。」
「なんだ。」
「えっ?何が?」
「琴音じゃない。」
「あ、僕!?」
「兄貴以外どこにいんだよ」
「瑛君が笑ってたから」
「瑛ちゃんはよく笑ってくれるにゃ!」
「俺…笑ってんのか?」
「にゃ!」
「そうか…琴音だけ特別な」
「にゃあ〜!」
「えぇ…いいなぁ…」
「いいでしょ〜!僕にだけ笑ってくれるにゃ!」
「ずるいー!」
兄貴に笑うなんて出来る日は来ないだろうな