Big Girls Cry
4話目
Big Girls Cry
二人の馴れ初めの話し
ここで、暫し二人が出会った時の話しをしたい。
良い子(ホント良え子やぁ〜)の白夜が、気を使い社に戻ったのを確認すると、咲夜はアースバインドをケンに掛けてから(ココ大事!念には念を!、コレ大事!)、フリージングを解除した。
少し前までモゾモゾと動いていた、ケンは疲れたのか(飽きたのか?)寝てしまった様だ。
ケンの名誉の為断っておくが、断じて咲夜のアースバインドの所為で、身動きが出来ない訳では無い!眠くなった訳でも無い!無いったら無い!多分!
そもそも、物体の原子に直接影響を与えて、固定(動きを止める)する、難しく繊細な水系の魔法と違い(何故モゾモゾとでも動けたのか?答え→ケンだから 笑)、アースバインドは外力で単純に固める土系のオッさん向けの魔法である。
また、相剋から言えば水→火(ケンは火の性)→金→木→土なのでケンのステータスであれば、容易に解く事が出来る。ハズ!
しかし、ここで謎が残る。
咲夜が何故、水と土を使えるのか?
土は水に対して強く影響を与えて弱めるハズである。
妙齢の女性には秘密が多いのは仕方がないのか?
決して、おっさん化が進行した為に、土系を覚えた訳では無いと思いたい。
思いたいったら、思いたい!
あまり弄ると行間から咲夜が滲みでて来そうなので、ここいらで咲夜の回想に戻ろう。
[もう既に消え行くのを待つのみと言うのに、さっきからひつこく話し掛けてくる子供がいる・・・・]
[こんな辺鄙な場所にある、寂れた社にどうやって辿り着いたのかしら?]
[放って置いて欲しい・・・]
おい、なぁ、なぁ、お前、どうしたんだ?
お前、病気か?
何で、こんな山奥の御社に1人で寝てるんだ?
お父や、お母は、何処行った?
お前、飯など食ってっか?
お前、血の気が無ぇでねえか、顔が、真っ白だぞ?
こんな、布団じゃ寒いんでねぇか?
なぁ、なぁ、お前さぁ?
〈う、う、う・・・・・〉
ど、どした?
み、水か?
水なら、ほれ、これ飲め
大丈夫だ、俺以外は口付けて無いでよ
め、飯なら、蕎麦を固めたもんなら有るが?
食うか?、煮ないと固いから無理かの?
俺は(おらは)いつも、塩降って齧っとるが
に、煮て粥にするかの?
ど、どうする?
大丈夫か?
〈う、うるさーーーい!〉
うおぉぉ!?
おっどろいたなぁ
お前、頭ん中、話し掛けれんか!
びっくらしだぁ
俺も(おらも)、人間がぁ頭ん、中話し掛けてくんのは、初めてだぁ
〈うるさい!私は好きでここにいるの!〉
〈私が、人間か?ですって?〉
〈ふざけるのもいい加減にしなさいな!〉
〈そもそも、何でアンタに私が見えるのよ!〉
〈はぁ、はぁ、はぁ〉
お前、苦しいのか?
〈聞こえないの?〉
〈うるさいのよ!、はぁ、はぁ、はぁ、と、兎に角〉
〈今なら、見逃してあげるから、さっさと何処かに行きなさいな!〉
ええ!?
お前、人間じゃないんか?
たしがに、こうして良〜く見っと、ピカピカ光って薄っすら透けてて綺麗じゃのぅ
しっかし、身体は弱ってるくせに、えらく気の強い(つおい)女じゃあのぅー
そもそもお前様、俺を(おらを)見逃すも何も、動けんじゃろうが? 笑
実は俺も(おらも)村では、影で人じゃ無いって言われとるからな、お前様は俺の仲間なのかのぅ?
俺も(おらも)生まれてからずーと、1人じゃったから仲間なら嬉しいのう 笑
〈な、仲間ってなによ!?〉
〈今日は油断したけど、本来ならあんたみたいなチビッコになんかには、見向きもしないし、そもそも私を見つける事さえ出来ないんだから!〉
お前様も随分とちんまいがのぅ
まぁー大分、元気になった見たいじゃの?
そしたらこの水と、さっき見つけた猿梨、猿酒はここに置いて行くから、食べて下されや。
又、来るからの!
ほいじゃの!
〈なんなの!?〉
〈あと少しで、還元されて消えてしまうのハズなのに、あいつと話していただけで、僅かでは有るけれど力が戻って来ている。〉
〈あいつ、なんなの?〉
〈幾ら、還元が近くて弱っているとは言え、私の結界を潜り抜けて来るなんて・・・・・〉
初めての出会いから翌日、咲夜の結界から10里離れた、気高く美しい山の麓にケンはいた。
すぅー
お や が み さ まー
その小さな身体からは、信じられ無い位の大声でケンが叫ぶ!、いあ、次元を超えて走る言霊であった。
[ケン、咲夜に逢うて来てくれたのですね!]
[あの娘に逢えたのですね!]
お!、おぅ
逢うて来ましたぞ
しかし、親神様、もそっと前触れが欲しいところじゃ
いきなり、現れるとビリビリするからのぅ
[それは、すまない事を・・・]
[よくぞあの娘を捜し出してくれました]
[心底嬉しく思います]
[ケン、あの娘の様子はどうでした?]
うーむ、あまり良くはないのぅ
親神様、わしが行くよりも、親神様が行かれた方が良いのではないか?
あんな、寂しい社に1人は可哀想じゃ
親神様が行かれたら、それはそれは喜ぶのではないか?
[ケン、妾もそうしたい・・・]
[ですが、如何ななる事が有ろうとも、あの娘が選んだ事に、妾が介入する事は出来ぬのです]
[妾と通じ合える、ケン、あなただけがあの娘を救えるのです]
ケンと通じ合える、その姫神の名を『木花咲耶姫』と言い、その末の娘が咲夜であった。