8 障害復旧
本日2回目の投稿です。
「ふわぁ、こんなにゲームやり込んだのって今まで無い気がするよ。」
キャット君と安全な地帯まで移動した後、休憩する為にログアウトした僕はVRギアを横に置くとリビングへ向かった。喉乾いちゃったし、何か飲んで来よう。
「あれ、陸人もログアウトしたの?」
台所に行くと、姉さんがソーダを飲んでた。姉さんも休憩中だったのか。
「ちょっと遠征しててさ。疲れたからちょっと休憩しようかなって。」
「遠征って、どこまで行ったのよ?」
「エリアスパイダーが居る場所だよ。」
あーあの場所ね、と姉さんが言った。
既に姉さんはあそこをも突破してたらしい。まだ開始数時間だよ?姉さんは廃人にでもなるの?
「あそこの敵はレベル10で黄色になるからね。適正レベルは10前後の筈よ、陸人ってもうそんなレベル上げたの?」
「いや?僕はまだレベル3だよ。」
「・・・見つかったら即死よ、それ。」
分かってるよ。キャット君にも変な目で見られたし。
でも結構いい素材が手に入った上で敵の情報とかも分かったから、僕としては行って良かったと思うけどね。
「後、今ログインするのは止めた方がいいわよ。」
「え、どうして?」
「これ見てみなさい。」
と渡されたのは、姉さんのiPhoneだ。えーと、どれどれ。
Fantastic World Online運営局です。
接続状態の改善が確認されましたので、本日正午より規制を解除致します。
長らくお待たせして申し訳ありませんでした。後日、お詫びをさせて頂きます。
「あ、規制解除されたんだ。」
「ええ。だから新規キャラクターで埋まってると思うし、まともにプレイできないと思うわよ。」
あ、そっか。確かみんなキャラクター作成で止まってたんだっけ。
さっきまでがら空きだったけど(というか、今まで会ったのが姉さんとキャット君だけだった)、今は結構人がいるのかな?
「私は一人でのんびりプレイしたいのよね。だから、また夜ログインする事にするわ。」
「短期間で爆速レベリングしてる姉さんに、のんびりプレイなんて言葉は似合わないと思うよ。」
「結構のんびりよ?向かってくる敵に合わせて、剣を振り下ろすだけの仕事だし。」
いや、何かが間違ってる。リズムゲームみたいに敵を倒すのは何かおかしいよ、姉さん。
「そういえば姉さんと別れた後に草原に行ったら、やけにアケロンが居なかった気がするんだけど・・・」
「あーアケロンの群れね。片っ端から肉と骨にしたわ。欲しかったら後で素材まとめて渡すわよ。」
「・・・ありがとう姉さん。」
やっぱり姉さんでした。乱獲ダメ、ゼッタイ。
帰りには普通に復活してたからいいけどね。一時的にでも全滅できる姉さんって一体何なんだろう。
「姉さん、後でいいけどフレンド交換していい?連絡とか取れないから。」
「あー、そういえば忘れてたわね。なら、夕方5時くらいに南門入り口で集合しましょう。」
「分かった。」
よし、夕方の5時に集合だね。なら、それまでに学校の宿題とかやっておくかな。
「よーし、宿題終わり!って、もうこんな時間か。」
気が付くと、時計は16時44分を指していた。そろそろゲームに入ろうかな。
とVRヘッドギアを被りFWOへログインした僕を待ち受けていたのは、昼間とは全く別世界と化したアクラの街だった。
「うわっ、プレイヤーさんだらけだ!?」
昼間はガラーンとしてた街の中も、今はプレイヤーがひっきりなしに移動していた。
これが普通なのかもしれないけど、規制解除直後は寿司詰め状態だったかも知れないね。
南門に行くと、姉さんが居た。
遅いわよーと手を振ってるんだけど、まだ5時前なんだけどなぁ。
「女の子と待ち合わせする時は、15分前集合が基本よ?」
「いや、聞いた事無いよ?」
初耳なんですが。
姉さんとフレンド交換をして、ついでにアケロン素材も多数貰った。
その代わりに串焼き肉を渡した。「へぇー、料理なんてあるのね。」って感心してたけど、ただそれ焼いただけだからね。
その後、姉さんはまた後でログインするわね、と言い残してログアウトした。僕はどうしようかな、と考えてたけど、少しだけやる事にした。
南側エリアに初めて来たときは魔物の数が多くて採取がしにくいと思ったけど、今見ると魔物はあんまり居ないように感じる。
その代わりに多くのプレイヤーさん達が魔物と追いかけっこをしてたりする。多分魔物の需要と供給が間に合ってないんだろうね。
僕も気軽に採取に取り組めるね。たまーにゴブリンとかが近くによってきたりするけど、簡単に倒せるし大して問題にもならない。・・・あ、レベルが上がった。
多数いるプレイヤーさんのおかげで魔物の心配は必要なく、存分に採取ポイントを回ることができた。
薬草に毒消し草とかが大量に採れた。そろそろ合成の頃合いかなぁ。
そういえば、採取ポイントでアイテム採ってる人あんまり見ないな。
あちこちに剣とか杖もったプレイヤーはいるんだけど、近くに採取ポイントがあっても素通りしていくんだよね。何で取らないんだろう?
・・・まあ、競争相手がいなくなるから別にいいんだけどさ。