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7 黒猫プレイヤーさんとの出会い。

食材と料理の確認を終えたリクトは、南門をくぐって魔物の徘徊するエリアの少し奥に居た。

何故かアケロンの群れは居なかったけど(姉さんの仕業じゃないと信じたい)、魔物の数は相変わらず多かったのでコソコソと隠れるようにして行った。


奥のエリアは小規模の木立が乱立していて、見通しは少し悪い。現れる魔物は草原よりも格段に少ないけど、今までよりも強いモンスターがいるようだった。

魔物のおおまかな強さは、魔物の上に表示される名前の色で分かる。弱い順番に青>緑>黄色>オレンジ>赤>濃い赤となっていて、赤色に近づくほどレベルが離れている事を意味している。

草原地帯の魔物は総じて緑程度だったのに対して、ここら辺の敵はオレンジ、一部に至っては赤クラスが徘徊していた。見つかったら全速力で逃げよう。


「でも、ここら辺で採れる素材は見た事無いのが多いなぁ。」


光ってる(採取ポイントだから)木の根元を掘り起こして、隠れていたキノコを手に取る。

赤色にオレンジ色の斑点があるキノコだ。・・・見た目は完全に毒キノコだなぁこれ。

現実でも、見た目は派手だけど食べられるキノコってあるみたいだし、これも多分そうかも――



赤毒茸 中品質:37

食べると毒を受ける毒キノコ。

食べる事は出来ないが、様々な使い道がある。



すいません、間違えました。完全に毒キノコです。

名前にも毒が入ってるし、説明文にもしっかり毒キノコって書かれてました。


モンスターの目を掻い潜りつつ、採取ポイントをグルグル回って色んなアイテムを回収していく。

何かスニーキングミッションみたいで面白いな。でもこれ、RPGの遊び方じゃないよね。



グレードフラワー 高品質:62

情熱的な赤色をした花。

調薬時に一緒に合成する事で、アイテムの品質を上げる事ができる。


リカバーグラス 高品質:66

薬草の一種。とてつもなく苦い。

そのまま使用すると高い効果が得られるが、加工すると効果が劇的に低下する。

HP回復+20%(再使用時間45分)


美味しい木の実 中品質:44

赤色の小さな木の実。

料理の素材として使えるが、そのままでも十分食べられる。

空腹ゲージ-5%(再使用時間180秒)



探索するたびに、色んなアイテムを発見できた。

自然素材が多いから、だと思うけど、調薬関係の素材が大半を占めてるね。

色々やりたいし、後で安全な場所で新しいポーションを作ってみるかなー。



「あれってプレイヤーさんかな?」


数十分後、リクトは物陰に隠れている怪しいプレイヤー?を見つけた。

まだ少し遠い為気づかれていないけど、黒っぽいフード付きの服を被り、半ズボンを履いているプレイヤーのようだ。

プレイヤーの頭上に表示されているHPゲージは2割を切っている。


「初めて見るプレイヤーさん・・・だけど、何で隠れてるんだろう?」


と考えながら観察してみるが、そのプレイヤーは隠れてるばかりで動こうともしない。

多分だけど、モンスターと戦ってHPが危険水域になったから逃げて来たんだろう。


「あのー、こんにちは。」


と近づいて声をかけると、プレイヤーさんがこっちを見た。

僕と同じくらいの背の少年で、黒髪で整った髪型をしていて、目は黄色。服はフード付きのを着ていた。しかもフードはネコミミ付きだった。こんな装備って売ってたっけ・・・?


「・・・こんにちは。」

「あの、どうしたの?HPが危ないから回復した方がいいんじゃ?」

「・・・ポーションを切らした。今は自然回復を待ってる。」


あー、成程。そう言う事か。

プレイヤーは、何もしなければHPが徐々に回復していく。だけど、あまりにも空腹ゲージが高いと回復しにくくなるんだったっけ。


「・・・でも、食料を忘れてきたからこのままじゃ死に戻り。」

「あー、なら少しあげるよ?困った時はお互い様だし。」


と、アイテムボックスから串焼きとノーマルポーションをネコミミフードの男の子に渡した。

じっと見ていたけど、受け取るとパクパクと両手で串焼きを食べだした。うんうん、食事は大切だからね。


空腹ゲージが減ったのか目に見えてHPが回復していく。ポーションも使い、HPは5割程まで回復していた。危険水域は脱したかな?死ななくて良かったよ。


「・・・ありがとうおかげで助かった。」

「うん、大丈夫だよ?ここら辺の魔物、強そうだからね・・・。」


きっと、このネコミミ君(仮)もちょっと無理してここまで来たのかな?

そうしたら、来たのはいいけど魔物と戦ってるうちに回復手段が無くなっちゃったって所だろうね。


「・・・・・」


じーっとこっちを見つめてくるネコミミ君。あの、怖いから何か喋ってほしいんだけど・・・。


「・・・友達。」

「え?」

「・・・フレンド登録、したい。」


あ、フレンド登録ね。声が小さいから聞こえてなかった、ごめんね。

フレンドで思い出したけど、姉さんとまだフレンド交換してなかったな、会ったらしておこう。


「いいよー。僕の名前はリクト。よろしくね。」

「・・・キャット。よろしく。」


よし、フレンド登録完了。

それにしてもキャット君か。ネコミミフードはいいとして、キャットって・・・。名前がちょっと安直すぎる気がするよ・・・?


「・・・戻る。できれば付いてきてほしい。」

「あー、うん。僕も戻ろうとしてたんだ。ここら辺の魔物、僕じゃ相手にならないからね。」

「・・・何で、こんな危険エリアに来る?」

「僕ってジョブが道具師だからね。アイテムの素材を探してたんだ。」


道具師、と言った瞬間、キャット君のネコミミがピクンッと動いた。凄い高性能なネコミミフードだねそれ。


「・・・同じ生産職。仲間。」

「え?キャット君もそうなの?」

「・・・僕は裁縫職人。布系の素材を探してた。」


裁縫職人?布とかを扱う生産職のジョブかな。


「・・・ここら辺に出没する『エリアスパイダー』から水蜘蛛の糸が取れる。それを縫い合わせると布が出来るから。」

「うえっ・・・蜘蛛かぁ。」


僕って蜘蛛嫌いなんだよね。

子供の頃、姉さんにでかい蜘蛛(確か黄色と黒の縞々の大きいやつ)を投げつけられてからトラウマなんだよね、ちっちゃい蜘蛛もダメ。悲鳴あげて逃げ出すレベル。


「・・・それじゃあ、移動する。」

「うん、行こうか。」


と僕はキャット君と草原までの道を戻った。

戻る途中でステータスウィンドウを見せてもらったけど、レベル6だった。僕より二倍近く高いとは・・・僕が弱すぎるだけだと思うけどね。

ちなみに、レベル3だと教えたら「・・・よくここまで来れたね。」って言ってくれた。うん、マグレだからね?



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