5 得意な姉と苦手な僕
急ぎ書き殴ったので、誤字等が多いかもしれないです、後で修正します。
「・・・何してんのよリクト」
街へ死に戻りし、(やる事もないから)中央広場のベンチに腰掛けながら手持ちの素材で何かできないかと調合リストとアイテムボックスを睨んでいたら、姉さんに声を掛けられた。戦闘には行ってなかったのかな?
「ちょっとアケロンの群れに喧嘩売っちゃって、それで死に戻った所かな?」
「何やってんのよアンタは・・・。」
姉さんは凄く呆れた表情で、「あんな鈍足な的相手に、どうやったら死ねるのよ・・・」とか小声で呟いてた。う、うるさいな。死んじゃったんだから仕方ないだろー。
「そういう姉さんは何してるの?」
「レベルが10を超えたから、新しい装備とポーション類を買いだめしようと思ってね。」
「早っ!?」
さっき会った時がレベル3だったよね!?何でこんな短期間でそんなにレベル上がるの早いの姉さん!
しかも見ると、さっきまで着ていた冒険者の服(初期装備)じゃなくて革で作られた結構立派な鎧を着て、剣もルーキーソードじゃなくて幅広の剣を装備していた。早いなあ。
「そんな事ないわよ?それに、この状況だってある意味ラッキーだしね。」
「え?どういう事?」
「これを見てみなさい。」
と言って見せてきたのは、運営のお知らせ(メニューから常時見られる)だった。
Fantastic World Online運営局です。
ただいま、初期のキャラクター作成画面において過度なアクセス集中が原因で接続障害が発生しております。その為、暫くプレイできる人数を制限させて頂きます。現在、復旧作業を行っていますので―
まさかの接続障害!?
「・・・ねえ姉さん。一瞬で完売したようなゲームだから、アクセス集中する事くらい分かるよね、普通は・・・」
「ま、まあいいんじゃない?私達は運よくゲームに入れてるんだし。」
ここの運営のスタッフさん達ってどこか抜けてるような気がする。
普通は対策とか、事前にサーバーを強化するとか色々出来たような気がするんだけどなぁ。
「だから他のプレイヤーさんを全然見ないんだ。」
「私も結構遠くまで行って来たけど、他プレイヤーとは2人しか会ってないわね。」
最初からこんな調子で大丈夫なのかな?
いや、多分ダメな気がする。あ、そういえば。
「姉さん、モンスター狩りまくったんでしょ?何か余ってる素材無いかな?」
「あー、そういえばアンタ生産職だったわね。殆どNPCに売っちゃって残ってないけど、余ってる奴ならあるわよ?」
と言って渡してきたのは・・・あ、これアケロンの素材だ。
草食獣の骨 中品質:47
草食獣アケロンの骨。
軽くてまあまあ丈夫な為、活用できる機会は多い。
草食獣の生肉 中品質:54
草食獣アケロンの生肉。
臭みがあり、そのままではあまり美味しくない。
調理する事でさまざまな料理に加工できる。
アケロンの骨と生肉が大量に渡された。
うん、姉さん絶対にアケロンの群れを苛めてきたよね?僕には分かるよ。
「貰っていいの?結構量あるけど。」
「別にいいわよ、売っても大した金額にならなかったし。」
「あ、なら代わりにさっき調合したポーションをいくつかあげるね。」
「それがいいわね、助かるわ。」
大量の肉と骨をアイテムボックスにしまい込み、代わりにいくつかのポーションを姉さんに上げた。うーん・・・どうしようかなこれ・・・
「なら、私はもう行くわね。接続障害が復旧すればここらはプレイヤーで埋まるだろうし、リクトも今が経験値の稼ぎ時よ?」
「アケロンにすらボコられてる僕だから・・・」
「まあ頑張りなさいよ。」
姉さんはそう言うと、新品の剣を振り回しながら出口に向かっていった。あれ危ないよね、NPCに当たったらどうなるんだろう?
「それにしても、姉さんのゲームの才能は凄いよなぁ。」
楓姉さんはパズルだろうがRPGだろうが、ゲームと名のつく物なら恐ろしく強い・・・けど、クリアするまで熱中し過ぎる癖がある。
一番酷かったのは、シリーズ物の大作RPGを3日間寝ずにクリアするまで没頭してた時だ。あの時は流石にお父さんもお母さんも怒ったけど。
それに比べて僕は、ゲームって言ったら姉さんに無理やりやらされたくらいしか経験がない。
このFWOでも多分姉さんに追いつけずに、無名プレイヤーのまま終わるんだろうなあ。